れーかんにっき

アイオイ アクト

第0回 我が家はオカルト体験者だらけ

 これはエッセイである。

 創作要素は一切なく、ほぼ全て筆者とその家族の記憶に基づく事実であり、霊的体験を信じられない方には狂人家族の記としか映らない内容となっている。

 許容できない方はここで回れ右をしていただきたく、お願い申し上げる。

 また、本作は筆者の妙な家庭環境について自分語りをしたいという欲求を満たすためのものでもあるため、このような内容に嫌悪感を抱く方も、是非ここで回れ右をしていただきたく。


 また、保険をかける意味でも、以下についてご承知いただきたい。

 記載されている事は全て筆者アイオイ アクト、及びその家族の霊的な実体験であり、必ずしもすべての人のオカルト体験に一致するものでは無いと思われる。

 筆者自身、自らの体験について、未発見の心理的な病である可能性や脳障害、他人と同じものを見てしまった事について、科学ではまだ解明出来ていないテレパシー現象、または相手が極めて精緻な嘘を吐いているという可能性を捨ててはいない。

 いずれ科学で私と私の一家に狂人の烙印が捺されたとしても、それはそれで構わないという立場である。


 本作に記す内容については全て科学では説明できない心霊現象であるという前提で、一部想像で補いながら考察するものである。

 また、本作はみだりに人を怖がらせる目的で書くものではなく、同じ悩みを持つ人に対し、どう対策してきたかの情報提供もする目的であるため、恐怖を煽るような描写は控えめとする。

 もっと別の良い方法があるなどの情報もいただければ、それは是非コメントいただきたい。




第0回 我が家はオカルト体験者だらけ




「ああ、あそこ! あそこらへんがこんもりしてて、横穴があってね、そこの中にたくさん座ってるお侍さんとよく話してたの」


 幼稚園児の頃だったと思う。

 叔母と母、そして私の三人で散歩していた時の事である。

 都内有数の有名なお寺の境内へと通りかかった時、叔母が突然こんな話を私にし始めたのだ。そこは母姉妹の小学校時代の通学路だったそうだ。

 叔母が指差した場所は真っ平らで、一切こんもりとはしていない。


「こんもりしてる時だけ会えるの」


 もちろん小さい私は震え上がり、母にすぐそんな話は否定してくれと縋ったのだが、母は残念ながら否定せず、困った顔をするだけだった。

 母は、叔母がよく消えるように居なくなるので、お巡りさんを呼びに行って戻ると、いつの間にか叔母がそこに立っていたので狼少女呼ばわりされて迷惑していたというのだ。


 今でこそ商店街化し、たくさんのお店が立ち並ぶ場所になってはいるが、60年近く前の当時は都内だったとはいえ、田畑と一般家屋の中に、九体の仏様が祀られているお寺が建っているだけという場所だったそうだ。

 私が初めて我が家がおかしいと感じる事となる切掛となったのは、この話である。

 母も叔母も、それ以降はしばらく私にこのような話をしてはこなかったが、小学校高学年くらいの頃、私がオカルト話に興味があると知るや否や、怒涛の勢いでたくさんの体験談を教えてくれたのである。

 あまりの恐怖でしばらくオカルト番組が見られなくなる程であった。それらの証言も適時紹介していく。ただ、個人情報に関わるものについては少々改変する点はご了承いただきたい。


 もう一点の注意事項だが、私ことアイオイ アクトは、アイオイと名乗っている理由は単純に「あいおい損害保険会社」の「アイオイソンポ」という響きが好きだったからであり、「あいおい損保」様とは一切関係はないことを明確にしておく。

「アクト」という部分は適当に考えたものであり、恐らくその時にレトロゲーエッセイなどを読んでいたので「アクトレイザー」からヒントを得たものであると思われる。

 つまり、この名前に私の本名を匂わすものは一切無く、あまり追求しないでいただきたいところでもあるが、原因と結果の探求のために一部特定されない程度に公開する。

 私の困った体験の数々は、母方の曽祖父、祖父の家業が原因と思われるからである。

 ただ、もしかして関係あるお家ではと思う方がいらしたら、ぜひともご連絡いただきたい。



 母方の家系にて、不思議な体験をしたのは以下である。


曾祖父

実業家。

伝記が多数出版され、Wikipediaにもページがあり、日本の経済史にも登場する。


祖父

曽祖父の企業とは別に、巨大企業を数名の仲間と創業する。国会で答弁した記録も記録に残っている。

 人の生き死にに非常に関わる企業(軍需等ではない)の取締役、関連会社の社長・会長を務めていた。


祖母

祖父の元秘書だったらしい。妹がアメリカ人と結婚している若干不思議な家庭。


大叔父

姻族関係。祖母の妹の結婚相手で、当時は珍しい国際結婚。純粋なアメリカ人で、かつてはアパルトヘイト論者だったらしい。この人物に私はチャーリーと呼ばれていた。チャーリー・ブラウンそっくりだったからである。

夫婦間に子供なし。


大企業令嬢。

子供の頃の姿はお笑い芸人『響』の「ミツコ」に似ている。

祖父の立ち上げた大企業は一部上場企業のため、継承などはしていないが、株は保有している。


叔母(母の妹)

大企業令嬢。

美人。未婚。還暦してもストーカーが居たことがある程。

この中では一番多く恐怖体験をしているが、真面目な人物。

一貫校のお嬢様学校卒。


姉(長女)

元美人。小さくてデブでぶっさい弟がコンプレックスだった。有名大学を出て堅い仕事に就く。既婚、子供無し。


私(長男)

上記の通り。

数字に若干の教育障害があり、三流大学すら卒業出来ず、レベルが低い専門学校工業課程ネットワーク系学科卒。

既婚、子供無し。



 とまぁ、結構多い。

 ここまででお分かりかと思うが、私はいわゆる『ボンボン』の家系である。

 ただ、ボンボン育ちはしていない。

 父方は普通よりちょっと良い家くらいの家庭だったからだ。


 私の知る限り、お家に多数の利害があったり、人の生死に非常に関わる家業であったりする人間はオカルト的体験をしやすい。

 推定される理由は後述する。


 だが、本物のボンボン育ちからの証言は信憑性に欠けるケースが多いのも特徴である。

 大人から怒られたことがなく、自分中心でないと我慢がならない子の「かまってちゃん」的な性格から出る虚言であったり、極めて自己中心的で高圧的な親から受ける攻撃で精神的に追い詰められた子が見る幻覚であったりする可能性も当然ある。

 しかしそれらを差し引いても、やはり多いはずだと私は断言する。


 昔はIT長者などのように、世界中の人々へ提供するコンテンツで少しずつお金を得る事が出来て、結果巨大な資産を得るようになったという者はそうそう存在しない。

 お金をたくさん得た者は相応の危険を犯している事が多いのだ。

 製造業にしても物流にしても旅客業にしても、今よりもずっと死亡率は高く、人の命の上に成り立つ産業であった。

 もし、霊というものが言説の通り、未練を持つ死者の魂が多くを占めるのであれば、これらの産業によって死に追いやられた人々は当然、関わる人々に対してなんらかの恨みを持って襲いかかる事だろう。

 つまり我が家には、おかしな体験をする土壌があったという事である。


 これらの事を前提に、今後不定期に思い出した順で体験談及びどう対処してきたかを記していく予定である。

 恐怖体験に苦しんでいる方へ、貴方は一人ではない事、是非ともご認識いただきたい。

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