No.6『とけろ、脳』
佐原「ストレス社会!」
根岸「ストレス社会!」
佐原「胃も脳も肩も目もガタガタな誰かを助けるスーパーヒーロー、サラリーマーン!」
根岸「サラリーマーン」
佐原「サラリと現れサラリと解決」
根岸「するらしい」
佐原「というわけで、2号」
根岸「あぁ、やっぱり俺が2号なんだ。サラリーマンの」
佐原「他に誰がいるよ、2号」
根岸「……まあ、サラリーマンってだけなら、社会にはゴロゴロと」
佐原「というわけでな、サラリーマンの敵はストレスなわけですよ」
根岸「そうですね」
佐原「ストレス社会に求められているのは、そう、癒し」
根岸「癒し、ねぇ。―――おっさん二人でどうにかなるんですかね?」
佐原「おっさんに癒されろ!」
根岸「動物とか、子供とかのほうがよくない?」
佐原「俺らはおっさん!」
根岸「そうだね」
佐原「おっさんに癒されろ!」
根岸「諦めろってことか、いろいろ」
佐原「というわけで、癒しとは何かを独自に調査いたしました」
根岸「はい」
佐原「どうやら、脳が蕩ければいいらしい」
根岸「すっごい疲れてるときの、甘いモノとか、そんな感じか」
佐原「薬物を用意しました」
根岸「……それは、お前、用意しちゃダメなやつだろ……」
佐原「ペーハーのすごい液体!」
根岸「アバウトな液体だ……。っていうか物理的に溶かしちゃうのか」
佐原「これを、かぶります!ざばーっと!」
根岸「あぁ!」
佐原「でんでろりんです!」
根岸「佐原……お前、止める暇もなかったぞ今」
佐原「さはらではないー、さらりーまんいちごうだ!」
根岸「セリフが平仮名だけになってるじゃないか」
佐原「でんでろりーん」
根岸「脳というかもう、全部溶けてるな……」
佐原「えきたいになることによって、いろいろなものからかいほうされるのです。せけんのしがらみも、すとれすも、むえんなのです!」
根岸「読みづらいなぁ」
さはら「ふはは、どうだー」
根岸「……スライムが現れた」
さはら「すらいむ の たいあたり」
根岸「うわっ、おい当たったとこ溶けたぞ!」
さはら「すべてをとかすぜー」
根岸「モンスター、モンスターだねこれはもう」
さはら「あぁ~、とろけるぅ~」
根岸「お前、そんなんで、明日から仕事はどうするのさ」
さはら「あー、しごとー、なー」
根岸「思考能力も落ちて……いやこれは元からか」
さはら「えきたいでも、できるしごとを、さがします」
根岸「液体でも、できる仕事……。って何だ」
さはら「プールの監視員。というかプールになる」
根岸「エロいことしか考えてないだろお前」
さはら「なぜわかった!」
根岸「しっかりしてたもん。セリフも漢字になってたし」
さはら「ばれたか」
根岸「そうね」
さはら「いや、まあほら、液体だからできることってあると思うんだよ。世間の様々なしがらみから解き放たれた液体だからこそ、ね」
根岸「さっきのはしがらみっていうか、理性から解き放たれてたよな」
さはら「それも脳を溶かした者の悲しい宿命」
根岸「そもそも、癒しっていうか、脳を溶かすとか、そういうことじゃないだろ?」
さはら「間違っていたと!?」
根岸「ゆるーいアニメとか見とけよ。心ぴょんぴょんするやつとか」
さはら「それで溶けるの? 物理的に」
根岸「電波で視聴者が物理的に溶けたらなんかもう、やばいだろ」
さはら「溶けないのかぁ、物理的に」
根岸「なんで物理的に溶けたがってるんだよ」
さはら「人間の、ストレスとかそういうのは、人間が人間であるせいで発生するんだよ」
根岸「微妙にもっともらしいことを……」
さはら「だから、人間でなくなれば、ストレスともおさらば、ってわけさ」
根岸「……それ、安易じゃないか? 考え」
さはら「そう?」
根岸「心が人間のままなら、むしろ人間でなくなった苦しみとか出てきちゃうんじゃないの? 昭和のヒーローみたいな」
さはら「じゃあ心も溶かそう!」
根岸「いやいやいや……」
さはら「というか、根岸も溶けてみればいいんだよ、いろいろ解放されるぞー」
根岸「いや、俺はいいよ、人間のままで世間と戦うよ。サラリーマン2号としてサラリと解決するよ」
さはら「おりゃー」
根岸「うわぁ! ちょ、うわー!」
さはら「……」
ねぎし「……」
さはら「……」
ねぎし「……」
さねし「とけたかー? ねぎしー!」
さねし「…………………………? ……???」
さねし「まざった!」
さねし「まざっちゃった!」
さねし「まあいいや!」
さねし「あたらしいひーろーのたんじょうだ!」
さねし「さらりーまん1ごうと、2ごうががったいして、むてきのひーろーだ!」
さねし「さらりとあらわれ、さらりとかいけつ!」
さねし「ドロドロだけどな!」
閉幕
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