第3話 閉店てマジですか!? 

『おはよう~。

実は他のお客さんには手紙を発送済みなんだけど、

うちの店半休業状態なんだよ。

で、亜夢ちゃんの月一の予約も今回が最後になる。

詳しい話は、店についてからするね。

今日来るの楽しみにしてるよ~』


「閉店てマジですかーーー!!!」


 スマホを左手が赤くなる位強くで握りしめ叫ぶ。

 今日程このマンションで良かったと思った日はない。

 オートロックのマンションなら、多少大きな声を出してもアパートの薄い壁のように隣の音が丸聴こえにならない。

 大声を出した後、小心者は近所迷惑を気にする。

 今分かっている事は、閉店する事と、予約は今回が最後という事。

 店に行ってから話を聴かない限り、これ以上得られる情報は無い。


 取りあえず、身支度を整える。


 いつもは

ファンデーション機能付きオールインワンゲル→アイブロウ→色付きリップ。

 今日は

ファンデーション機能付きオールインワンゲル→フェイスパウダー→アイブロウ→アイライナー→マスカラ→アイシャドウ→ハイライト→シャドウ→チーク 

 つける種類が増えるうえに、慣れていないせいで、メイク完了まで1時間近く費やしていた若い頃、今は月に一度の為にメイク用品を買うのも高上りなのでメイク専門店でメイクをしてもらっている。


 着替えたら、いつも予約を入れているメイク専門店に向かった。





 駅前近くと利便性の高い所にありながら、個人経営のメイク専門店は、チェーン店よりも1.5倍と価格が若干高い気もするが、有名ブランドの経営する美容室よりはリーズナブルだし、最初のカウンセリングシートで接客方法を細かく記入してから、必要以外の話をしなくて済むのと、当日着てきている服に合わせたメイクをしてくれる事の二点重視で、カウンセリングシートは、初めて行く病院の問診票位の時間で書き込める内容。


 メイクのコースは、


・いつものコース

二回目から利用可

・おまかせコース

今回のコース

・相談コース

メイクさんと相談しながら進めたり、メイク前にカウンセリングを行う

・お勉強コース

メイク学校の新卒さんがいる時期や、コンテスト前の練習に時々ある


 今回のメイクは、入店からお会計まで30分で終了。

 余計な話や気疲れが無く爽やかな気持ちで変身。

 いつもこの時メイクに使用したリップをお化粧直しの時に使うので購入する。

 姉にあげる事が多いが、数種類色が揃ったリップパレットを用意して置くのも面倒。

 月に一度の贅沢をする日には、多少の出費は必要経費。


 まだ予約時間には2時間程早いので、今まで美味しいお料理と癒しの時間をくれたお礼の品をデパートで選ぶ事にした。


 

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