Episode11

夜、薄暗い路地を会社帰りの男が歩いている。


残業した後だったので、男はすっかり疲労していた。不意に、電話に着信が入る。非通知からだ。


不審に思いつつ、男は街灯の下で立ち止まった。とりあえず電話にでようとして――、


直後、背後から何者かに刃物で刺された。


男はくぐもった声を上げて倒れる。


地面が、真っ赤に染まってく。電話越しに、見知らぬ女の笑い声が聞こえた。意識がどんどん遠ざかっていく……。


男は考える――私は一体、誰に刺されたのだろうか?


もしかしたら、巷で有名な例の切り裂き魔のしわざかも知れないかった。


通報しようと思ったが、男にもうそんな気力は残されていない。やがて呼吸が途絶え、動かなくなる。







血まみれの男の死体を、薄いレインコートを身にまとった人物が、じっと見下ろしている。フードで顔は隠れているが、口元はうっすら笑っていた。


この人物こそ――まさしく連続通り魔事件の犯人だ。


やがて、その場からゆっくりと立ち去っていく。


この通り魔の正体は?



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