第2話

後日、皆最集合をした。

GMが大好きな某レストラン最奥部にて。


GM「セッション始めたいけど大丈夫?」

一同「イヤァァァァー!!」


一応公共施設なので声は抑えめに、それでも精一杯掛け声を出す。

これは、某クトゥルフ動画のネタで、イヤって言ってるけどオッケーの意味である。

冬休みに入り、皆のテンションは少し高め。どんどん下世話な話に流れていき、話に花が咲く。

これはいかん、という所で先程の台詞だ。


落ち着いた所でピザを一枚注文し、ドリンクを軽く飲んでから、喋り出す。


GM「トレーラー読みまーす」


GMが考える結構怖い瞬間の一つ。皆がシン、と静まるからだ。


GM「こほん」


昨日と同じ今日が来て 今日と同じ明日が来る


20年前世界は死んだ 彼らはそれを知らない


あの日の再現儀式の履行 悪夢だらけの星月夜

燃え盛る火と静寂な夜 思惑は既に闇の中


合わせ鏡の二人の世界 振り向けばほらーー輝ける。


ダブルクロスthe 3rd edition『既知か未知かknown or not



PC⑤「アイタタタ……」

GM「うっせーー!」


結構、真っ赤になってたと思う。こういう煽りには弱いGM。


PC③「いや、いいんじゃない。言ってる意味あんま分かんなかったけど、雰囲気は好きだ」

PC④「7・7・7・5か」

PC①「オリジナル?」

GM「たりめーよ。疑ってんの?ww」

PC①「いや、普通に良いじゃん。だから気になってさ」


思いの外、好評だった。余計に恥ずい。


PC②「あの日の再現、儀式の履行……アカンなぁ」

GM「まぁ、情報知ってる奴からしたらねw」

PC④「え、なに、気になるなぁw」

GM「あ、もってる情報はRPで伝えてほしいから、まだ待っててね。これからオープニングフェイズ(以下OP)入りまーす」


キャラクターシートは公開すると、ネタバレが入ってしまう。全ての物語が終わってから、皆で見せ合うことにした。



OP1:初手〜SP:PC③


広くもなく、狭くもない無個性な部屋にひとりの男がいた。彼は目の前の端末をじっと見据え、時折頷いたり、口調を鋭くして語りかけている。

端末には2人の写真が映し出されている。見れば、どちらも大物。中枢評議会のメンバー、対立深まる穏健派と改革派の代表達だ。


PC③→りょう

シーンイン:侵食率上昇:34→38


GM「といった具合でキミはタカ派とハト派の代表に囲まれているね。勿論、気分的にだけど」

PC③「ハト派……フクロウ派は分かるけど、タカ派は誰だっけ」


おい、とツッコミが入る。


PC①「ホントは口出しちゃいけないけど。あれだろ、ムスカだろ」


分かる……のか?


GM「あー。アッシュ・レドリックね。確かにまぁ、似てるかも」

PC③「オーケーオーケー。そいつらと揉めてるのな」



燎「ですからアッシュさん。その決断は余りにも、浅慮です」

アッシュ「君が口を挟む事ではないだろう!大体何故、テレーズは支部長にこの案件を任せているのだ」

テレーズ「A市の守護者、だからよ。彼は信用できるもの。でも……」


テレーズ・ブルムは言い淀む。小さく息を吐いて、ゆっくりと言葉にした。


テレーズ「燎さん。この件は、仕方がないと思うの。この街の未来と、あの子を天秤にかけるつもりはないけどーー」


空白が生まれる。しかし語は絶望の表情を浮かべはしない。一瞬だけ口ごもり、大きく目を見開いた。


燎「えぇ。分かっていますよ。しかし彼女がどれ程有能で、UGNに尽くして来たか、貴方達は分かっているのですか」


それをアッシュ・レドリックは一蹴する。


アッシュ「下らんな。知るべきは結果だけだ。

造られし魔バイオニックデーモンがこの街で暴れれば、大惨事は予想できる。結果的に、被害を抑えて奴を倒せるのは、"グレイプニル"しかいないだけの事」

燎「UGNは、非難されるでしょう。FHと同じ、非道な人体実験をするーー」


その言葉が言い終わらないうちに2人の鋭い眼光が燎に突き刺さる。無言の圧力が画面を超えて、飛んでくる。


テレーズ「言いたいことは、分かるつもりよ。けれど、それは、間違っている。アダムカドモンの落とし子は、もう、居ないのよ」


アッシュ「どちらにしても。代替案が提示されるのなら考えても良い。成功率99.99%を叩き出すプランがあるというなら、聞かせてみたまえ」



PC③「なんか反論できるかな?」

GM「いや、悔しいけど、ムスカの言ってる事は正論だね。"グレイプニル"に頼らざるを得ない」

PC③「そうかぁ」



今度は、何も言う事が出来なかった。

全ては、もう遅すぎたのだ。



GM「皆、把握できてる?」

PC⑤「アッシュ・レドリックも別にムスカほど露骨に悪役ではないな」

PC③「取り敢えず、"グレイプニル"って奴が人柱なのは分かった」


胸をなでおろすGM。


PC①「うん、まぁ。特別ルール入るぐらいだし、シナリオに関わるんだろうなーとは思っていたよ」

GM「あぁww」

PC①「早いよ!そして、そっちかよ!」

GM「いやぁ、どうだろうね?」


程々に雑談を挟んで、シーンを再開する。


GM「出来れば、PC②のオープニングもやっちゃいたいな。このまま執務室に呼んでくれない?」

PC③「まぁ、いいんじゃない?」



数秒の沈黙があって、アッシュの回線が消えた。その後、悲しそうな顔をしたテレーズが、口を開こうとして、閉じる。無個性な会議室にはもう語しか残されていない。

燎は長い息を吐いて、内線電話を手に取った。


燎「"飾られし焔ブリーシンガメン"か?私だ。急ぎでーーいや普通でいい。"グレイプニル"を呼んでくれ」


シリアスが……


一同「痛いwそれはw」

笑った。

GMは、PC③の手下みたいなNPCを出していいよといったのだ。

その結果がこれだよ。


本人曰く、PC③のコードネーム"終焉の鳴動ギャラルホルン"に関係する名前らしい。

まぁ、どっちにしても痛いけど。

なお、これから出てくる時、長いので省略します。

「ブリ」に。


ネタが分かるのはPC⑤だけ……。でもPC⑤のコードネームが決まったらしい。


PC⑤「北欧神話ならこれでしょ(ドャ」


ヒントはキュマ×ブラム。

さて、戻すか。



要件を伝えて、早急に切る。なにか、自分の声が自分じゃないようだったから。


PC①「えっ」

PC⑤「お前が"グレイプニル"なのかよ!人柱w」

PC②「表のハンドアウトに『鬱注意』って書くべきだよGM。これ……」

GM「あるぇ?そう?」



その後に3秒もたっただろうか?目の前に漆黒の大扉が鎮座する。戸が開き、禍々しいレネゲイドの渦と共に現れたのは小柄な少女だ。配給される制服No.9を身につけ、誇らしそうに敬礼をしている。門が閉じ、その長い黒髪が宙に舞う。


PC②→かい

シーンイン:侵食率上昇:33→40


戒「チルドレンNo.13"グレイプニル"、到着しました。お待たせして申し訳ありません」


長い沈黙の後で、燎は口を開く。顔は歪み、刻み込まれたように、動かない。


燎「君に、命令を与える。FHの作り出した兵器を、君の力で止めるんだ。対象は"千剣の永久凍土フィンブルヴェト"。データは君の部屋に送った。見ておきなさい。そして恐らくFHは今にでも街を襲撃するだろう。即時戦闘出来るよう、臨時体制で待機しなさい」

戒「はっ」


燎「ここからは、『戒』に話しかけよう。ーー大事な決戦の前だ。何処か行きたいところはないか?」

戒「ーー」


両者の息が止まる。沈黙が再び流れた。


戒「いつも、良くして頂いています。これ以上の待遇は望みません」

燎「いつも良くしているつもりなどない。今日が特別なだけさ。チルドレン皆にもケーキを振る舞おうと思っている」

戒「珍しい、事もあるものですね。では、街のパトロールというのはどうでしょう?丁度、黄昏時ですが」


見れば、窓の外はぼんやり暗くなっている。しかし出掛けるのに遅すぎるという事はもう、無い。


燎「了解だ。しかし、そうなると私服が良いだろうな。UGNの物ではなく」

戒「えっ」

燎「さぁ、さっさと着替えてこい。楽しい時間は長い方がいい」

戒「あっ、お待ち下さい!」


この休日が果たして彼女の心に安息をもたらしてくれるだろうか?

そんな事はわからない。この孝行は、もう遅すぎるのだから。


シーンアウト:PC②&③


長すぎるOP1となってしまった。


そういえば、PC③はコードネームで呼ばれてないや。

何はともあれ、いいロールプレイに拍手。

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