プロローグ
プロローグ
俺の名前は根路連太(ねじれんた)友人達からはネロって呼ばれてる。意味わかるよね? 言っておくけど暴君の方じゃないよ。ベルギーの悲しい童話の方のネロね。
只今、予備校通いの浪人一年生。毎日の勉強に飽きて、只今絶賛サボって散歩中。両親は家庭内別居中で、俺の事はあまり関知していない。お金は出してくれているので、たいして気にはしていない。
いつもの散歩コースの途中にある橋の上で、俺はそれを見つけてしまったのだ。
見つけた物は川の真ん中辺りを子猫が箱に入った状態で流されているところだ。誰があんな事したんだ。なんて酷いことしやがる。許せないだろ普通。
俺は自慢じゃないが猫アレルギーだ。猫は好きだが近寄れない。なのに自分でも何故そんな衝動に駆られたかわからないが、気付いたら水面まで五メートル以上ある橋の上から飛び込んでいた。
服が水を吸って重くなり思うように泳げない。子猫が乗った箱が流されて行き、子猫の鳴き声だけがミーミーとはっきりと聞こえる。
ヤバイ。このままだと俺が死ぬ……って、思ったら負けだ! 死んでたまるか、ぜってぇ子猫も助けて生きてやる! まだ、死ぬには早過ぎるでしょう!
何十メートルも流されたが何とか子猫の箱を捕まえ、川岸の水門の所にたどり着つけた。
息も絶え絶えに何とか這い上がる。ビショビショだ……。パンツ一丁になり服を絞る。今いる場所は水門の下の所なので、誰にも見られていないはず。子猫以外にはね。この子猫さっきから綺麗なサファイアブルーの瞳でジッと俺を見ている。さっきまであんなに鳴いていたのが不思議なくらいだ。不思議な子猫だな。
濡れているのを我慢して服を着た。これも何かの縁だ、この子猫を連れて行こう。せっかく助けたのに、ここで別れて死なれたら寝覚めが悪い。里親探しくらいはしてやろう。可愛い白猫だから直ぐに見つかると思う。
子猫を抱え上げると、やっと「みー」と鳴いた。大丈夫なようだね。水門から外に上がる階段を上っていると、子猫が肩の辺りまで登ってきて俺の顔をペロペロ舐め始めた。感謝の気持ちを伝えているのかな。可愛い奴だよ。
と思った矢先、くしゃみが出た拍子に階段から足を滑らせた……。
視界が空一面になり体に衝撃が伝わり激痛がはしる。何とか子猫を庇ったけど俺ヤバイかも。
そう言えば俺、猫アレルギーだったよなと思いながら意識が遠のいていった。
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