アニメを見ているような気がします

一つずつ文字を読んでいるというより、その場面が勝手に目に浮かんでくるようです。
まるで映画、いいえ、アニメを見ているような気がします。
意味不明に繰り返されるセリフ(と名前が面白いキャラクターら)、ツンデレの女主人公、痛烈な色彩(白と黒の対比)、苦しみと安心感に重ねられ嗅ぐと解放されるような、匂い(シンナー)。
一言で、
軽すぎたり、重すぎたりすると、
悲しいです。
「おそらく今も生きていて、同じ空をみているのだろうと思う――。
 それが、黒シリーズの旋回するこの街の空と同じかどうかはわからないが。」
こんな風に、中二病みたいな描写が、第9話以後の、闇で黒シリーズの世界に、嵐の前の静けさのような暗示を与えました。
そして、文章の書き方が全く変わりました。

それは、思春期の未熟ささえ許されない残酷な世界です。
しかもこの現実には醜い社会だと、読みながら思っていました。

それでも先生のような小説が存在だからこそ、泥沼から這い上がろうとして足掻く読み手として私は癒されています。

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