第5話魚が欲しい俺

 家のそばを流れている小川に添って歩いて行くと渓流があった。

 魚影もあったので貴重なタンパク質が補給できるかも。



 ……思ったと通り、手づかみでは取れませんでした。


――どうするかね。そういえば昔釣りキチ三瓶で読んだな~。魚が隠れそうな手頃な岩に思いっきり岩を叩きつけるショックで仮死状態にする漁が。


 手頃な岩を持ち上げて……

 持ち上げて……

 持ち……


 持ち上がらない。

 持ち上がるぐらいの岩を叩きつけても何も変化が無い。

 当然魚も浮いてこない。


――さみしい。


――そうか!網を作って追い込み漁をすればいいのか。でも網が無い。


 周囲を見渡して使えそうなものとなると……

 ツタは生えているけど余り強度が無さそう。手ですぐにちぎれてしまう。

 周囲の様々な木の皮をナイフで剥いでみるとよさそうな繊維質の細い枝を発見した。


――これは良い。ロープの木と命名してやろう。


 たまにちぎれてしまうが同じような樹皮を剥きまくって三つ編みのように編む。

 ある程度の長さに編んだものを長籠状に編みこんでゆく。


――多少不格好だけどこんなもんか。


 石を隙間なく組んでいき流末に網を仕掛ける。

 そして、上流から手に枝を持ち、振り回しながら魚を追い込んでいく。


――よし!どうだ!)


 網を取り上げると人差し指程度の小魚が入っていた。


――やった!!…のか?しょぼいけどタンパク質だ!



 今日の献立は煮魚のシチュー(ほぼお湯)だったとさ。

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