1-6 スライム狩ったらスキルが4つ奪えました

 早朝6時、街の門の解放とともに街の外に出てサリエと2人で魔獣狩りを始める。


 その前に最後のAP1ポイントを使ってオリジナルをもう1つ創ろうと思う。



 【魔法創造】

 1、【殺生強奪】

 2、・殺した相手からSP・AP・Exp・技・スキルをすべて奪う

   ・相手が死亡した時点で強制強奪

   ・全てを奪われた者は蘇生魔法が無効になる

   ・この機能はON・OFFできる

 3、イメージ

 4、【魔法創造】発動



 効率よく経験値やスキルを得るためのものだが、我ながらチートすぎる。

 管理システムがよく許可したなと思うのだが、こちらとしては嬉しいかぎりだ。




 ステータスを見るための【クリスタルプレート】だが、日本のタブレットPCとよく似ている。

 サイズはA4ぐらいの大きさで、タッチパネルになっている。ステータスや【亜空間倉庫】、俺はよくやっていたゲームの呼称だった【インベントリ】を創ったが、これらを操作することができる。パーティーを組んだり画像保存、メールや通話機能まである。


 この【クリスタルプレート】は神が人に与えたもので、全ての者が持っている。習得スキルやレベル、犯罪歴なども記録されるため、街などの入門の際に専用の神器を通すことによって犯罪者を街に滞在させないようにできる仕様になっている。ギルド登録などにも使われているため、犯罪者にとっては嫌なシステムだ。


 ギルドや門に置かれている神器はあくまでレベルや犯罪歴を見るためのもので、スキルまでは見れない。なので俺のヤバいスキルもバレることはない。個人を守る配慮はちゃんとできているようだ。



 今回サリエとパーティーを組むのだが、パーティーリーダが経験値の配分を決める事ができる。



 1、パーティーでの均等割り

 2、貢献度順位での配分


 これも日本のMMOに似た機能だと思う。

 今回は俺のレベルアップが目的なので、パーティーでの均等割り設定にしてある。



「じゃあサリエ、僕だけ何もしないで経験値をもらって悪いんだけど、今日はよろしくね」

「ん、問題ない」


「とりあえず僕が即死しない程度に、街周辺の雑魚魔獣から始めようか」

「ん、スライムやゴブリンあたりが妥当」



 【周辺探索】を発動しているのだが、レベル1だと1kmしか探れないようだ。ナビーに聞くとポイントを振ってレベル10にすると最大で10kmまで探れるようになるらしい。


 既存魔法の雷系の探索スキルに100kmまで探れるものがあったはずだ。それを考えれば俺のオリジナルスキルは探索エリアは狭いかなと思ったが、ナビーが言うには調べられる精度が桁違いなのだそうだ。雷系は範囲は広いが何かいる程度にしか判らないとのこと。風系にも探索スキルがあるが、タイムラグがあるから使い勝手が悪いらしい。闇系の空間把握の探索魔法は優秀だが、探索エリアはせいぜい50mと狭く、ダンジョンでは有効だが広い地上では目視の方が先に敵を見つけられるほど範囲が狭い。



 街を出て10分ほどでMAPに反応があった。

 街道から200mほど林に入ったところにスライムがいる。まずはこれを狩ろう。



「サリエ、ここから200m程先にスライムがいる。まずはそれを狩ってみよう。周辺に4匹いるから全部で5匹狩れる。1レベルぐらいは上がるだろう」


「ん! リューク様は200m先の魔獣の種類が判るほどの優秀な探索魔法持ち?」

「そうだよ。サリエには追々話すつもりだけど、皆には僕のスキルのことは内緒ね」


「ん、分かった。絶対言わない」



 スライムだが、サリエの一撃だった。


 俺たちの装備はかなり高価な装備だ……流石公爵家。

 武器はミスリルの剣だし、防具も軽装だがかなりの防御力があるものだ。



『……マスター、先ほどの戦闘でスライムからスキルを3つ奪ったようです』

『え!? あ! そうか、さっき創ったやつだね。最弱雑魚のスライムなのに3つも奪ったんだ』


 今回倒したスライムはブルースライム……奪ったのは水系魔法が3つ。


 ・【アクアボール】レベル2

 ・【アクアカッター】レベル3

 ・【アクアヒール】レベル3


 俺の種族レベルは上がらなかったが、これは美味しい。特にヒールは嬉しい。

 本来この3つの初級スキルは水系を得意とするリューク君は習得済みで、レベル10なのだが転生時に初期化されて全て消えてしまっている。


 さぁ、どんどんいこうか!


 2匹目のスライムを狩ったらレベルが上がった。スキルも1つ奪ったようだ。


 ・【アクアシールド】レベル2


 この魔法は体の周りに水系のバリアを張って火耐性効果が高い防御魔法が付与される魔法だ。

 今回奪えたスキルは1種だけか。


『……マスター、先ほどのスライムは【アクアヒール】レベル2と【アクアボール】レベル2を持っていましたが、マスターがすでに獲得済みでしたので、APに還元されたようです』


『既に持ってるスキルが被ったら、習得に必要分のAPとして還元されるってこと?』

『……はい。マスターがポイントを振ってレベル2にするのに2ポイント要ります。さっきのスライムはレベル2の被っているスキルを2つ持っていたので4ポイントAPとして還元されたようです』


「ん? リューク様どうしたの? 気分でも悪いの?」


 ナビーと念話でやり取りしていたので、傍から見ればぼーとしていたように見えたらしい。


「あ、違うんだ。ちょっと考え事をしていてね。少し待っていてもらえるか?」

「ん、分かった。待ってる」


 【クリスタルプレート】で確認したら、さっき倒したスライムの還元分のAP4ポイントとレベルアップ時に入ったAP3ポイントで現在7ポイントもAPが入っていた。これは美味しすぎる。スキル創り放題だ。


 さっそく補充だ。


 【魔法創造】

 1、【獲得経験値倍増】

 2、・敵を倒したときの経験値が倍増される


『……マスター流石に倍増しは無理だそうです。増量ぐらいなら認めるそうです』

『そうか、分かった。ユグドラシルとの間に入ってくれてありがとうな』



 【魔法創造】

 1、【獲得経験値増量】

 2、・敵を倒したときの経験値が増量される

   ・ON・OFFできる

 3、イメージ

 4、【魔法創造】発動


『……マスター、どうやら熟練度のレベルがあって、レベルごとに10%増しになるようです。このパッシブはLv10が最大で、増量100%までです。つまり2倍ってことですね』


『そういうことか、倍増だと倍・倍・倍で最終的にとんでもない数値になるから却下されたんだな。でも、2倍か~。女神様の所で見た一覧表には【獲得経験値10倍】があったのにな~』


『……欲張りすぎです。10倍はいかないかもですが、【獲得経験値増量】と【殺生強奪】と併用すればかなりの経験値が得られそうですね。むしろ全て奪ってしまう【殺生強奪】の経験値の方が【獲得経験値増量】より得られる経験値は多いかもしれません』



 【魔法創造】

 1、【獲得AP増量】

 2、・レベルアップ時に得られるアビリティポイントが増量される

   ・得られる増加量は熟練度が反映される

   ・ON・OFFできる

 3、イメージ

 4、【魔法創造】発動



 【魔法創造】

 1、【獲得HP増量】

 2、・レベルアップ時に得られるヒットポイントが増量される

   ・得られる増加量は熟練度が反映される

   ・ON・OFFできる

 3、イメージ

 4、【魔法創造】発動



 【魔法創造】

 1、【獲得MP増量】

 2、・レベルアップ時に得られるマジックポイントが増量される

   ・得られる増加量は熟練度が反映される

   ・ON・OFFできる

 3、イメージ

 4、【魔法創造】発動



 【魔法創造】

 1、【身体強化】

 2、・皮膚、骨、腕力、脚力がメインで強化される

   ・視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚の五感も強化される

   ・熟練度により強化度合は反映される

 3、イメージ

 4、【魔法創造】



『……マスター、やりたい放題ですね。ステータスポイントが226ありますが、どうされますか?』

『これもなんかスライム2匹倒しただけなのに多いね。元々100持ってたから126入ったことになる?』


『……レベルアップボーナスとして100入りましたから、スライムから26奪ったようですね』

『2匹から奪って26か。1匹平均13ポイント奪ってることになるけど、この奪った基準はどうなっているのかな』


『……スライムが持っていた総ステータスポイントの数パーセントが還元されるようですね』

『最弱のスライムで13ポイントは良いね。ドラゴンとか倒したら凄いことになりそう』


『……今、挑んだらドラゴンの鼻息だけで吹き飛んで死んじゃいそうですけどね』

『あはは、そりゃそうだ。とりあえずHPに126、MPに100振っとくか』



 念のため防御スキルを使っておく。

 俺は【無詠唱】で【マジックシールド】【プロテス】【シェル】を自分とサリエに発動した。


「ん!? リューク様! 今、私に何かした?」

「へー、こっそりしたつもりなのに気づいたんだ? 流石だね」


「ん! 何したの!?」

「防御系魔法の【マジックシールド】【プロテス】【シェル】を掛けたんだよ。熟練レベルが低いから効果は薄いけどね。ないよりグッと安全性は高まるよ。変な魔法は掛けてないから安心して」


 サリエは俺に黙ってスキルを掛けられて少し不安だったのか、【クリスタルプレート】で確認している。わざわざ【クリスタルプレート】を開かなくても網膜上で見れるのに敢えて俺に分かるように出したのだ。一声掛けろという意思表示の表れだと判断できる。


「ん! 本当だ、リューク様は支援系? しかも【無詠唱】?」

「黙って支援バフ掛けて悪かったね。支援系ってわけでもないよ。【無詠唱】のことも暫くは内緒ね」


 実はこの【無詠唱】、賢者クラスの者がやっと使えるような代物だ。種族レベル2の者が持っていていいスキルではない。


「ん、支援バフありがとう。頑張る!」

「じゃあ、どんどん行こうか」



 50m程先に居るブルースライム3匹を狩るために移動するのだった。

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