終章

第1話

 灰ヶ峰椿姫の保護を無事終えた俺はその後に事実を知る。


 どうやら俺は〈大罪セブン〉の一員になれるらしい。


 というか、俺に憑いている悪魔がサタンだなんて俺自身が知らない。俺はずっと、俺に憑いている悪魔はアバドンだと思っていた。


 まさか、サタンだとは。


 自分に憑いている悪魔についてもっと調べておけばよかったと思う。


「きみには〈大罪セブン〉に入る資格がある」


 そう甘木遊楽先輩は言う。


「そんなこと、いきなり言われても……」


 俺は答えに困る。どうすればいいのか?


「そもそも〈大罪セブン〉って何するところなんですか?」


「ここの住人であるにも拘わらず知らないって言うの? 〈大罪セブン〉は政府の諮問機関。政策に対する審議を行う組織よ」


「いや、まあ、それはわかってるんですけど」


 諮問機関で、実は政府以上の権力を持っていることも知っている。


「〈大罪セブン〉って実質的に最高権力を持っている組織なわけでしょ。そういう組織ってなんかいろいろ忙しそうじゃないですか」


「何を言っているの、夜刀くん。あくまで、〈大罪セブン〉は諮問機関に過ぎないわ。やることはただ一つ。政策の審議。それだけだよ」


 そう言って不敵に微笑む甘木先輩。なんだか信用ならん笑顔だ。


「ぶっちゃけ、私としてはきみに〈大罪セブン〉入りしてほしいなと思っている。いろいろ心配事はあるだろうけど、その辺はあれだよ、私が教えてあげる」


「はあ……」


「まあ、別に今すぐに首を頷けとは言わない。ただ、早めに決意を固めてほしいかな」

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