ヒトミ

椎堂みやび

第1話 見ちゃった

「えっ」


信じられなかった。思いを寄せていた後輩が、ボーイズラブの本を買っていることを。

見なかったことにしよう。うん、そうしよう....うん...

「ぅっあああぁあぁあ....。」



ことの発端は小さな出来心。ヒトミをデートに誘うためだった。

彼女はあまり人と話さず、黙々とデスクワークをこなすいわゆる出来る女だ。

おまけに美人。

 そんなヒトミを捕まえるのは本当に至難の技で、タイミングを見計らっていた。

声をかけようとしても、その硬派なオーラに圧倒されなかなかできない。

.....べつに、俺はへタレじゃないぞ!ただ、何の特徴もない人間ではある。

学生時代はただひたすらにクラスの王様格に媚を売り、自分をある程度の位置に置くようにしていた。  そんな人間だ。

 だが!このナンパを成功させたら、俺は一味違う男になれる。


そう思いつつ彼女を追っていたらいつの間にか本屋にいた。

そしてあの衝撃的な光景を目にしてしまったのだ。


普通はここで萎えて終了コースだろうけど、俺は割り切った。

自分の好きな女が腐女子だということを!!

でも、このテンションでナンパするのも気が引けるので、明日の自分に任せた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る