第22話 闇エリ子の承

起。


俺の名前は、光リエ(ヒカル・リエ)。女の名前だが、れっきとした男である。


「女の子が欲しかった!? 男の子が生まれたら、男の子の名前をつけやがれ! 小さい頃から、「リエちゃん? え!? 女の子と思った!」とか、好きな女の子に告白をしては、「私、女の子の名前の人とは付き合えません!」とか、そんなことばかりだ!? 俺の人生で楽しいことなんて、やって来ないんだ!」


と、思いつめ、学校の屋上から飛び降り自殺を図ったのだが、不幸な俺は死ぬことすら許されなかった。そんな俺の前に、レンタル福の神という、偉そうなでキチガイな女が現れ、不幸を幸福に変えるという。俺は、福の神に憑りつかれてしまった。福の神のおかげで、俺にも久野文香という彼女もできた。そして、俺の不幸との戦いが始まった。「貴様の不幸、私が頂こう。」あ~ん、パク、モグモグ、ゴックーン「おいしい!」「ほんとに食うな!」俺の生死の不幸はおいしいらしい!?


富士山が大爆発を起こすという、大不幸から人々を守ることができた。俺と福の神だけでの作品としての形もでき、後は舞台を変えても永遠に続けられる所まできてしまった。ということで、新キャラクターを登場させ、作品の世界を拡げる所まで来た。新キャラ以外は、過去作から再登場という形になる。第1号が地味な佐藤さん。第2号がスケバン・気づかい・猫の3人組。


不幸を呼び寄せる俺は、ついに不幸な神まで呼び寄せた。闇エリ子に憑りついていた貧乏神が俺に乗り移ったが、俺の不幸は貧乏神の貧乏という不幸すら吸収しようとする恐ろしさだった。やっぱり不幸な俺に耐えれるのは、福の神しかいないのだった。


先に先に進めようとすると、進むが頓挫するので、ここで闇エリ子こと、闇エリと貧乏神サイドを書いてみよう。これがアニメとは違う、小説の良い所だ。なんと闇エリは、親の貧乏神を誕生日プレゼントのお人形さんのエリザベスとして、なすりつけられたのだった!?


承。


「あ~、ついてない。」

「憑りついてる。憑りついてる。」


暗い顔の女子高生に、楽しそうな顔の貧乏神が憑りついている。


「零点!? 名前を書くのを忘れた!?」

「あ!? 卵を買い忘れた!?」

「あ!? パンツ履くのを忘れた!?」


私には、不幸なこと、貧乏くさいことが良く起きる。


「おかしいな? どうして私には、不幸が起こるんだろう?」

「そんなことはないよ、エリちゃんのおかげで、いつも楽しく暮らしているよ。」

「私のおかげ?」


この時は、まだ、お人形さんが貧乏神とは知らなかった、純粋な私。


転。


「今日は、エリザベスは研修でいないのか・・・ついに一人ぼっちになっちゃったな・・・寂しいな。」


ある日、お人形さんが私の側から離れた。


「やった! 100円玉を拾った!」

「やった! ポケットティッシュもらった!」

「やった! 胸が大きくなった!」


すると、私に運が向いてきた。


「エリザベスがいなくなったら、私に幸せがやってきた・・・なぜ?」


一つの疑問が湧いてきた。


「エリちゃん、ただいま。」

「エリザベス、あなたはどこに行っていたの?」

「お人形さんの研修だよ。」

「その研修は何をするの?」

「ギク!?」

「エリザベスがいなくなったら、私に幸せが舞い込んできたの! あなたもしかして、貧乏神ね!?」

「バレたか! そう私の正体は貧乏神だったのだ!」


私が、お人形さんと思っていたのは、実は貧乏神だった。


結。


「お父さんとお母さんなんか、大っ嫌いよ!」

「エリごめんよ!」

「許しておくれ!」


私はお父さんとお母さんに貧乏神をなすりつけられたことを怒った。部屋に一人で閉じこもり、落ち込んでいた。


「エリちゃん、ごめんなさい。」

「ぷん。」

「私が貧乏神と知ったら、みんなに嫌われるから言えなかったんだ。」

「・・・。」

「私は幸福を食べてしまうの、だからエリちゃんの幸せを、私が食べていたの。」

「・・・。」

「エリちゃんのことが好きだから、どこかに行くね。」

「え!?」

「エリちゃん、今までありがとう。これからは幸せになってね。さようなら。」

「ダメ!」

「え!?」

「どこかに行っちゃあダメ!」

「でも、私、貧乏神なんだよ?」

「エリの友達は、エリザベスだけだもん! 私を一人にしないで!」

「エリちゃん・・・、私、エリちゃんに憑りついていてもいいの?」

「いいよ、その代わり、エリの幸せを全て食べないで、少しダイエットしてね。」

「うん、わかった!」

「わ~い!」


私は貧乏神との共同生活を送って来たのだ。


つづく。







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