第20話 不幸を呼び寄せるの結

起。


俺の名前は、光リエ(ヒカル・リエ)。女の名前だが、れっきとした男である。


「女の子が欲しかった!? 男の子が生まれたら、男の子の名前をつけやがれ! 小さい頃から、「リエちゃん? え!? 女の子と思った!」とか、好きな女の子に告白をしては、「私、女の子の名前の人とは付き合えません!」とか、そんなことばかりだ!? 俺の人生で楽しいことなんて、やって来ないんだ!」


と、思いつめ、学校の屋上から飛び降り自殺を図ったのだが、不幸な俺は死ぬことすら許されなかった。そんな俺の前に、レンタル福の神という、偉そうなでキチガイな女が現れ、不幸を幸福に変えるという。俺は、福の神に憑りつかれてしまった。福の神のおかげで、俺にも久野文香という彼女もできた。そして、俺の不幸との戦いが始まった。「貴様の不幸、私が頂こう。」あ~ん、パク、モグモグ、ゴックーン「おいしい!」「ほんとに食うな!」俺の生死の不幸はおいしいらしい!?


富士山が大爆発を起こすという、大不幸から人々を守ることができた。俺と福の神だけでの作品としての形もでき、後は舞台を変えても永遠に続けられる所まできてしまった。ということで、新キャラクターを登場させ、作品の世界を拡げる所まで来た。新キャラ以外は、過去作から再登場という形になる。第1号が地味な佐藤さん。第2号がスケバン・気づかい・猫の3人組。


不幸を呼び寄せる俺は、ついに不幸な神まで呼び寄せた。闇エリ子に憑りついていた貧乏神が俺に乗り移った!?


承。


「その馬鹿野郎から離れろ!」

「ヤダ。」

「なにを!?」

「呪われてる男には、貧乏が似合うのさ。」

「そいつは、今年の不幸12に選ばれているから、担当の私の獲物だ!」

「なら私に憑りつかれてないようにしていれば、良かったじゃないか? 福の神が不幸を食べて、お腹を壊してるんじゃ、福の神失格だな。」

「仕方がないだろう・・・そいつの不幸が強すぎるのだ・・・。」

「あら!? 負け惜しみかしら? 福の神も地に落ちたモノね。 ホッホホホ!」


貧乏神は、まだ俺の不幸を知らない。


「ねえ、福の神。」

「あんた誰?」

「私は貧乏神に憑りつかれていた、闇エリ子。行くとこがないんだったら、私に憑りついていいよ。私も幸せになりたいし。」

「それがダメなんだ。不幸12のレンタル福の神の期間は1年間。その間、他の人間とは契約ができないんだ。」

「そうなんだ、ガッカリ・・・。」

「私も貧乏神と一緒に憑りつかないといけないと思うとゲッソリする・・・。」


俺と福の神と貧乏神の夢の3人プレイ!?


転。


「貧乏神さんに、ぺちゃ。」

「いい子だ、よしよし。」


ドックン! 俺が貧乏神に触れている時だった。貧乏神の全身に違和感が走った。


「な、なんだ!?」

「貧乏神! すぐにそいつから離れろ!」

「い、嫌なこった! 離れるもんか!」

「おまえ体が馬鹿野郎に吸収されてるぞ!?」

「なんですって!?」


俺は不幸を呼び寄せる。そして不幸を吸収する。ということは、貧乏神=不幸なのだ。俺の不幸の方が、貧乏神を凌駕した。ということで、俺は貧乏神を吸収しようとしている。


「ギャアアアア!? なんなんだ!? こいつの不幸は!?」

「貧乏神さん! 離しませんよ!」

「不幸の目が燃えている・・・。」

「離せ! セクハラ野郎!」

「絶対に離しません! ウワッハハハハ!」

「助けて! 福の神!」

「もう、この馬鹿に憑りつかないか?」

「憑りつかない! 約束する!」

「本当に~?」

「本当だ! 誰が私を不幸として吸収する奴に憑りつくもんか!」

「仕方ない、助けてやるか。おい、貴様。」

「なに!? 今、取り込み中だ! 邪魔するな!」

「少しだけなら触らしてやるぞ。」

「本当!? キャンキャン!」


俺は、半分、体が溶けている貧乏神を手放し、福の神の方に尻尾を振って駆けて行った。飼い主に呼ばれた犬のようだ。


結。


「よしよし、貴様の不幸に耐えることができるのは、私だけのようだ。」

「キャンキャン。」

「私は、貴様の福の神なのだからな。」

「キャン。」

「ああ、こんなに貧乏神の不幸がまとわりついて・・・、貴様の不幸、私が頂いてあげよう。」


福の神は、俺から不幸を取り出し、ア~ンと口を開け、パクッと不幸を食べ、モグモグと噛み、ゴックンと呑み込み、プワーと一息ついた。


「ああ、おいしかった!」

「やっぱり俺には、福ちゃんしかいないね。」

「そうだろう、そうだろう。」


俺は福ちゃんに可愛がってもらう。


「帰って来たのね・・・。」

「エリちゃんの方が居心地がいいんです。」

「あ、不幸に吸収されて溶かされた体が再生してる!?」

「貧乏が似合いますね。」

「はぁ・・・やっと貧乏から抜け出したと思ったのに・・・ガックン。」

「これからもよろしくお願いします。」


貧乏神も雨降って地固まった。


「う!?」

「どうしたの福ちゃん?」

「貧乏神の不幸を食べたら、またお腹が痛くなってきた・・・。」

「なんだって!? 大変だ!?」

「いいか! 私がトイレに入っている間に、他の変なのに憑りつかれたら、許さないぞ!」

「大丈夫、俺に憑りつけるのは、福の神だけだから。」

「な・・・!?」


俺が決めて、福ちゃんが見惚れて、1瞬だけ時間が止まる。


「漏れる!?」


福の神は、ダッシュで女子トイレに消えて行きました。だって、コメディだもの。


つづく。


















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