シムさんと一緒に城の中を歩いていく。干したばかりの俺の毛は、動く度にフワっフワっと揺れ動いた。


 何となく嬉しくなって、スキップしてみる。

 そうしたら、失敗した。

 コケた拍子に、シムさんへ頭突きをお見舞いしてしまう。

 

 俺のデコは、シムさんの膝裏へ綺麗に極まった。

 崩れ落ちたシムさんに、俺は『ヤベ』と慌てて近寄る。決して駆け寄りはしない。何故なら、前にそうやって二次災害を巻き起こした事があるからだ。


 その節は大変申し訳ありませんでしたシムさん。その後、股間のお加減はいかがでしょうか。


『だ、大丈夫っすかシムさん』

「あー、びっくりしたー。もう、驚かさないで下さいよー」

『さーせん。でも、あの、ワザとじゃないんっすよ? ただちょっとスキップに失敗しただけでして』


 羊語でメェメェ言い訳していると、通じたんだか通じてないんだか分かんない顔で微笑まれた。取り敢えず、頭を撫でられたから和解って事にしておこう。


 俺は立ち上がったシムさんとまた歩き出した。今度はスキップとかしないで、慎重に進んでいく。どれ位慎重かというと、母ちゃんにバレないよう父ちゃんのエロ本を盗み見る時位の慎重さだ。抜き足差し足忍び足で、本棚の一番下の図鑑を目指したあの頃が懐かしい。

 

 あ、でもあれ、結局は失敗したんだっけ。


 その節は大変申し訳ありませんでした父ちゃん。母ちゃんに洋モノが好きだってバラして本当にごめんなさい。その後、行方不明になった金髪美女は見つかったのでしょうか。


 幼き頃の失態に苦い思いを馳せていると、唐突にシムさんが止まった。気付くのが遅くて、またしても頭突きをしてしまう。しかし今度は慎重に慎重を期していたお蔭か、軽い衝突だけで済んだ。ホっと胸を撫で下ろし、俺はシムさんを見上げた。


「シムですー。メータ様をお連れしましたー」


 他の部屋よりも豪華な扉をノックして、シムさんは声を掛ける。

 すると中から「入れ」と返事が返ってきた。


「失礼しまーす」


 シムさんは扉を開け、俺を促す。一言お礼を言ってから中へ入り、目の前の机に座る人物を見上げた。


「おぉ、メータ。よくきたな。ほれ、こちらへおいで」


 俺のご主人、ミルギレッド・モファットさんが、笑顔で出迎えてくれた。持っていた羽ペンを置き、相変わらずドーンな胸を揺らして立ち上がる。


 俺は嬉しくなって、一目散にご主人の元へ向かった。

 そうしたら、ツルっと足を滑らせてコケた。

 横向きに倒れ、敷かれた絨毯の上でもがく。


「全く、お前は相変わらず鈍臭いな。そんな事では生きていけないぞ。ん?」


 ご主人は、じいちゃんみたいな事を言いながらしゃがみ込んだ。それから両手を広げて、「ほれ」と俺を待ち構える。

 俺は急いで起き上がり、ご主人目掛けて飛び付いた。メェメェと甘えた声を出せば、ご主人は嬉しそうに笑って俺の体を抱き締める。


「む、太陽とシャボンの匂いがするな。それに手触りも良くなっている」

『あざっす。それもこれもシムさんのお蔭っす』

「うーむ、実に心地良い」


 ご主人は俺の黒い毛に顔を埋め、首を左右に振った。これでもかと揉んでくるから凄ぇくすぐったいし、これでもかと嗅いでくるから凄ぇ変態くさい。

 でも俺はご主人の飼い羊ですから、飼い主の望むままに可愛がられますよ。

 どさくさに紛れ、ドーンな胸に顔を埋めながら。


「良かったなメータ。シムに洗って貰って。気持ち良かったか?」

『うっす。ついでにご主人の胸も最高に気持ちいいっす』

「そうか、それは良かったな。はぁ、しかし何故こうもお前の毛は心地良いのだろうか」


 ご主人は一旦俺を下ろすと、改めて俺の体を撫でていく。モフモフと揺れる毛の感覚が、背中や腹に広がった。


「この飾りも、とてもよく似合っているぞ」


 そう言って、俺の首に巻かれた青色の縄を触った。

 複雑に編み込まれていて、真ん中にはモファット国の紋章が掘られたプレートがぶら下がっている。水の流れで出来た馬みたいな感じの柄で、裏にはご主人の名前と俺の名前も入っている。要は、迷子札みたいなもんだ。


「さて」


 ご主人は俺の頭を一撫ですると、徐に振り返った。


「では、メータもきたことだし、ここいらで休憩にしようではないか。なぁ、アイリーン?」


 声を掛けられたアイリーンさんは、少し顔を顰めてから溜め息を吐く。


「……畏まりました」


 持っていた紙の束を置いて、ご主人の机の上を片付けていった。


「あ、ではこちらにお茶をお持ちしますねー」


 扉の近くに立っていたシムさんは、隅に置かれた休憩用のテーブルへと近寄っていく。


「シム」


 それを、アイリーンさんが止めた。


「お茶は私が用意しますから、あなたは先に着替えてきなさい」

「え? 着替えですかー?」

「えぇ。肘と膝、それから後ろに汚れが付いています」


 指摘された箇所を見れば、確かに土や草が付いている。


「そんな恥ずかしい恰好を、いつまでも姫様に晒さないで下さい。さぁ、早く整えていらっしゃい」

「分かりましたー。姫様ー。申し訳ありませんが、少し席を外しますー」

「あぁ、構わないさ」


 シムさんは一つ頭を下げると、部屋を出ていった。

 扉が閉まり、ご主人は立ち上がる。


「あれ位、放っておいても妾は気にしないぞ?」


 休憩用のテーブルに向かうご主人。俺もバーンな尻を拝みながら、後をくっ付いていく。


「そういうわけには参りません。部下の身だしなみ一つをとっても、姫様の沽券に関わってくるのですから」

「だが、ここには妾達しかおらぬではないか」

「用心に越した事はございません」

「心配性だな、アイリーンは」


 ソファーにどっかりと座り込み、ご主人は笑う。


「あなた方が気にしなさ過ぎなのですよ」


 アイリーンさんは不満げに唇と尖らすと、休憩用のテーブルに乗った花瓶に手をかざした。

 途端、花瓶の中の水が蛇みたいに這い出てきた。

 操られながら床の上を滑り、よく分かんない模様を描いていく。


 と、不意にそいつが光った。

 模様の中から、茶セットの乗るワゴンが現れる。


 推理するに、あれは召喚魔法なんだと思う。シムさんもああやって桶を出してたし、ご主人も俺のオモチャとかたまに呼び寄せている。


 何度見ても凄ぇなぁとか思いつつ、俺は花瓶に戻っていく水を眺めた。

 すると、アイリーンさんと目が合った。

 瞬時に睨まれる。

 俺は小さく声を上げ、逃げるようにご主人の足元に伏せた。


 アイリーンさんは、俺の事をあまりよく思ってないらしい。いつも睨まれるし、邪魔扱いするし、たまにご主人から引き離す為に魔法とかも使ってくる。水で出来た柵に囲まれた俺は、正しく牧場の羊。似合い過ぎてて思わず腰を落ち着けちゃったよ。


 まぁ、アイリーンさんは、最初から俺を飼うの反対だったもんなぁ。嫌われるのは悲しいけど、万人に好かれる人間がいないのと同じで、万人に好かれる羊だっていない筈。よってしょうがないって事で受け流している。


 それでも、睨まれるのはやっぱ怖いわけですよ。


 だってほら、見てよあの眼光。なまじ顔が綺麗だから、凄ぇ迫力があるわけよ。田舎のじいちゃんばあちゃん達と平和に過ごしてきた俺には、笑ってくれない相手にどうしたらいいのか分かんないわけ。

 しかも名前がアイリーン・シェパードだよ、シェパード。牧羊犬だよ? そりゃあ俺じゃ勝てねぇわって話だよね。


「はぁー、しかし肩が凝ったな。おいアイリーン。今日は随分と書類が多いんじゃないか?」

「そうでしょうね。なんせ昨日終わらなかった分も混ざっておりますから」


 アイリーンさんは茶を注ぎながら、しれっと言った。

 ご主人は一瞬口籠ると、俺を見下ろして頭を撫でてくる。


「なぁ、メータ。聞いてくれ。妾はとても疲れておるのだ。肩も首もこのように凝り固まり、満足に動かせやしない。このまま石となってしまうのではと、最近はとても心配になっておる」

『お疲れ様っす』

「本日は朝からずーっと執務室に籠もり、手を止めるのは公務の時のみ。下心のある輩とくだらぬ会話を交わし、それはそれは心身共に傷付いているのだ」

『お仕事ご苦労様っす』

「何故妾がこのような苦労をしなければならぬのか。いや、分かっておる。それもこれも、妾が時期国王だからだろう。母上の跡を継ぎ、このモファットを立派に治める為に、妾はこうして身を粉にしているのだ。それは十分分かっておる」

『凄いっす。ご主人超頑張ってるっす』

「だが、それでも妾も女の子だ。弱音を吐きたい時もあれば誰かに守って貰いたい時もある。こうして疲れた時、お前のように妾を癒してくれる存在が必要なのだ」

『頑張るっす。俺、飼い羊として立派にご主人を癒すっす』


 ご主人の手に擦り寄ってメェメェ宣言してみる。ついでに尻尾も振ってご主人を見上げた。


「ふふ、愛い奴め」


 ご主人は、嬉しそうに笑った。上半身を屈ませ、俺の頭と言わず首や背中を撫で回す。

 だから俺も、すぐそこにあるご主人の胸に顔を擦り付けた。

 これはセクハラではありません。ただ飼い主に甘えているだけです。


「……戯言は、終わりましたか」


 冷たい声色と共に、テーブルの上へティーカップと菓子の入った器が置かれた。


 アイリーンさんが、それはそれは怖い眼差しで俺達を見下ろしている。


「では、私からも言わせて頂きます。まず、執務室に籠もる羽目となった原因は、昨日のご自分にあると分かっておられますか」

「う、むぅ」

「次に、ご公務は姫様の大事なお仕事でございます。下心がある者達と強かに対話出来ずしてどうします」

「む、そ、それは」

「そもそも、姫様が国王陛下の跡を継ぎ、このモファット国を立派に治める為に身を粉にしていると本当に理解していらっしゃるのならば、昨日、何故そこの生き物と中庭へ逃げたのですか」

「べ、別に、妾は逃げてなど」

「あれを逃げたと言わずして何としましょう。執務を放り出し、こうして本日苦しむと分かっていながら、何故、そのような真似を。納得のいく説明をお願い致します」


 超ロングスカートの裾を僅かに揺らし、アイリーンさんは詰め寄ってきた。それから逃げるように、ご主人はカップを掴んで茶を啜る。


「それは、だから、あれだ。メータが、寂しがっていたのだ。お前が作った水の柵に捕まり、妾の元へこれず、とても悲しんでおったのだ」

「そうでしょうか。私には、暢気に寝転がっていたようにしか見えませんでしたが」

「いや、そんな事はない。妾には分かるのだ。メータの円らな瞳が、妾と遊びたいと訴えておったのだ」

「だから、私の目を盗んで、執務室を抜け出したと?」

「む、ま、まぁ、そういう事になるな」


 目をあっちこっちに泳がせて、ご主人は菓子に手を伸ばした。マドレーヌみたいな奴を取り、口の中に詰め込んでいく。


「……姫様」


 凄ぇ怖い声で、アイリーンさんがご主人を呼んだ。

 怖過ぎて直視出来なかったけど、怒った直後の母ちゃんに似たオーラがこっちにまで流れてくる。


「いいですか。あなたは、このモファット国の姫なのです。尊く、正統で、唯一無二のお立場にあられるのです」

「それ位、妾も分かっておる」

「分かっていらっしゃるのならば、それ相応の振る舞いをなさって下さい。生き物を愛でるなとは言いません。癒しを求めるお気持ちも理解しているつもりです。ですが、それを理由に執務を疎かにしないで頂きたいのです。これ以上目に余るようであれば、その生き物と別れる覚悟もなさって下さい」

「そ、それは困るっ」

『お、俺だって困るっすよっ』


 同時に前のめりになった俺達に、アイリーンさんは眉を顰める。


「アイリーン、考え直してくれ。妾が悪かった。反省する。これからはきちんと仕事をこなしてみせよう。だから、どうかメータを取らないでくれ。この通りだ」

『アイリーンさん、考え直して下さい。俺、超大人しくしますから。これからはご主人に遊びに誘われても、断固拒否しますから。だから、どうか捨てないで下さい。この通りっす』


 一生懸命言い募るご主人と俺。でもメェメェ鳴いて立ち上がったら、水の縄で縛られた。

 どてっと転がるモフモフボディ。仰向けでもがいていると、アイリーンさんと目が合った。


「では、そうならないよう、ゆめゆめお気を付け下さいね」


 ふんと鼻を鳴らし、俺に向けていた掌を下ろした。水の縄が解け、花瓶の中へと戻っていく。

 自由になった体を起こして、すぐさまご主人の足にひっ付く。怖かったっす、という気持ちを込めて擦り寄れば、慰めるようにご主人は背中を撫でてくれた。いい飼い主っす。


「それと」


 アイリーンさんは別のカップに茶を注ぎながら、口を開いた。


「いい加減、ご結婚の事も真剣に考えて下さい」


 そう言われると、ご主人の手が、止まる。


「姫様は次期国王になられるお方。次代へ繋げる為には、お世継ぎが必要不可欠でございます。今すぐお相手を決めろとは申しませんが、せめてもう少し積極的になられた方が」

「うるさいな。そんな事、妾だって分かっておるわ」


 ご主人は、ぶすくれた顔で俺の黒い毛を揉んだ。


「だが、仕方ないだろう。妾の気に入る男がいないのだ。誰もかれも、時期国王の夫の座を狙う獣ばかり。そんな奴らからどう選べというのだ」

「国王陛下は、見事お選びになりましたよ」

「母上は運が良かっただけだ。父上のように穏やかで無欲な方を見出すなど、メータの毛の中から一本の枝毛を見つけ出す事位難しいではないか」

「ですが、やって貰わねば困ります」

「……分かっておる」


 ご主人は唇を突き出すと、俺の背中に抱き付いた。両手で毛を弄りつつ、顔をこれでもかと擦り付けてくる。何やらウガウガ唸っているが、よく分かんないから取り敢えずメェメェ相槌を打っておいた。


 お姫様も結構大変らしい。いや、本当はよく分かんないんだけど。


 だって俺、基本庭か執務室かご主人の部屋にしか行かないから、ここは何なんだか、外はどうなんだか、全然分かってないんだよね。一応周りの話を聞いて情報収集とかしてみたけどいまいち理解し切れなかったし、そもそも城の中でさえ把握し切れてない。広過ぎて、誰かと一緒じゃないと絶対に迷子になると思う。


 取り敢えず、この国がモファットっていう所で、ご主人がお姫様で、アイリーンさんが秘書的な感じで、シムさんがアイリーンさんの補佐的な感じだという事は分かった。

 ご主人は魔法が苦手で、アイリーンさんは超凄くって、シムさんはそこそこだという事も分かった。


 この一カ月で俺が知った事、以上。


「シムですー、失礼しまーす」


 シムさんが戻ってきた。新しい服の裾を揺らして、俺達のいるテーブルへと近付いてくる。


「あ、アイリーン様ー。お茶の用意変わりますよー」

「もう終わりますので結構です。あなたは、そちらに座って待っていて下さい」


 目線でソファーを指して、アイリーンさんはポットを傾けた。

 シムさんは一瞬迷ったみたいだけど、「じゃあ、お言葉に甘えてー」と微笑み、ご主人と対角の席に座る。


「あれー? どうされたんですかー、ミルギレッド様ー? メータ様にしがみ付いちゃったりしてー」

「あぁ、気にしなくて大丈夫ですよ。いつものあれですから」

「あー、いつものあれですかー」


 シムさんは苦笑いを零し、アイリーンさんからティーカップを受け取った。


「あ、そうだそうだー。アイリーン様ー、あのー、先程事務方から連絡がありましてー、この後、えーと、昼餉の後に、リッチモンド伯爵との面会が入ったとの事ですー」

「リッチモンド伯爵とですか。分かりました。では昼餉が終わり次第、姫様のお着替えとお部屋の準備を致しましょう」

「あ、お部屋の準備は、トインビー様の方でして下さるそうですー」

「そうですか。では事前にどういったお花を飾るかなどを、トインビー大臣に窺っておきましょう。それに合わせ、ドレスや髪飾りを選ぶよう使用人に伝えておいて下さい」

「分かりましたー」

「……嫌だ」


 ご主人が、のっそりと顔を上げる。


「妾は、面会などしたくない」

「姫様。そのような我儘を言ってはいけません」

「だがアイリーン。あのリッチモンドとかいう奴、息子を妾に当て付けるだけではなく、あわよくば己が、などと思っておるぞ。あの顔はそうに違いない」

『え、マジっすか。息子いるのにご主人に色目使うんっすか』


 思わず声を上げたら、ご主人が俺の顔を上から覗き込んだ。


「おぉ、なんだメータ。妾を心配してくれるのか?」

『そりゃあしますよ。そいつロリコンじゃないっすか。ご主人俺より年上っぽいっすけど、それでもうちの父ちゃんと結婚するって考えたらヤバいっすよね。犯罪っす犯罪』

「そうかそうか。お前はなんと優しい子なのだろう。妾の味方はお前だけだ」


 ご主人は俺を持ち上げると、膝の上に乗せてギューっと抱き締めた。凄ぇボリュームの膝掛けみたいになってる俺の頭に頬ずりをしてくる。

 お蔭でドーンと飛び出してる胸が、これでもかと押し付けられております。誠に至福でございます。


「兎に角、これはもう決定事項でございます。姫様は昼餉後、ご公務としてリッチモンド伯爵のお相手をして頂きますので、そのおつもりで」


 きっぱりと言い切ったアイリーンさんは、ご主人を一瞥すると優雅にティーカップを傾けた。

 無視の体勢に入った彼女を、ご主人はまだ何か言いたげに見つめている。しかし諦めたのか、呻き声を上げながら俺のモッフリとした黒い毛を蹂躙し始める。握っては揉み、頬ずりしては匂いを嗅いだ。


 俺は飼い羊として少しでもご主人を癒すべく、身を委ねてされるがままとなった。

 さぁご主人。俺のボディを存分に楽しむがいいっす。


「あ、それとですねー」


 不意に、シムさんが声を上げる。


「本日、こちらにおばば様がいらっしゃるそうですー」


 不吉な単語が聞こえたと同時に、俺はご主人の膝の上から飛び降りた。

 しかしすぐさま水の縄に捕まってしまい、逃亡は失敗に終わる。

 無様に転がる俺を、ご主人は苦笑いで見下ろした。助けてくれる気配は、ない。

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