Cosmic Serenade

ミーシャ

cosmic serenade


あまりに大きな皮肉

それは神の皮肉

もし私が 何かを生み出した親ならば

自分の想定しない者が生まれた時にこそ

歓喜を覚えるだろう


自分を愛するはずの子どもたちが

自分を愛さず 顔を背けたときに初めて

自分が神たるゆえんを知る


あぁ私は この子が欲しい

私を愛さないこの子に 自分を憎ませて

力づくで自分に従わせよう


愛することと そのような支配とは常に表裏の関係で

その二つを持たなければ自分は神では無いのだ


迫害の裏にあるのは 神の寵愛

神にとっての特別を恐れる多くの人びと

彼等は正しい


彼等はすぐさま見抜くのだ

神によって運命によって

責め抜かれるべき一部の人間を


彼等を血祭りにあげて問われる罪は

ことのほか軽いように思える


なぜならその罪は 特別では無い者たちの

特別足りえない証のようなものだから

彼等は喜びいさんで示そうとする


まっさらな自分の額を差し出して

今日も宇宙からのラブコールが

「誰か」を選んで 自分を選ばないことを

至福と考えている


この乾き切った真実を前にしてはどんな言葉も

なぐさめも意味をもたない

涙さえ足りないのだ

ただ血だけがそれに応えてくれる

これは「血の思想」


敷かれたルールが意味をもつのは

そこから外れる者たちにとってのことなのだ

もし神がすべてを支配したいと望むのなら

最初から彼は何も用意したりはしないだろう


なのに彼が法を敷いたのは

彼の支配を免れる者たちを追いかけ追い詰める楽しみを

残しておきたかったからであろう


愛と制裁

激しく行き来する運命の振り子に

身も心も引き裂かれて 

最後に残るのは

静かなる「NO」の意思表示と震える指先


一思いに殺してはくれない

むしろこの魂をそっくり生かして浮かぶ恐怖の滓を

じっくりと味わう様に


責め抜かれて息も絶え絶えに

まるで神のエロティシズムを誘うためにそうしているかのような

倒錯を刻み込まれて

何度も試される 


頭から落ちていく漆黒の沼底に

自分の顔を映してみるまで

はっきりとした意識 自分の形を

忘れることが出来ない


生まれ変わっても消えない印は

ただこの心によって現れ続ける


『神の身元へ』 しかしそれは 

神への恭順では無く 服従ということなのだ

私の叛意が 神の隠れた愉悦であることが

なんと惨い運命を産むことだろうか


しかし嘘も通用しないこの関係に置いては

何もかもが 整然として美しく

拭いきれない私の迷いさえ ひどく輝かせて見せる

迷い続けて揺らぎ続けて それでも堕ちていくところには

神の大きな手が先回りしている


どうか私をお救いください

人であることを許されない私が 人として生きていくための手段を

お与えください


神は笑って私に応えた

いいだろう ほら行きなさい

私は始めから何もしていない 何かをしたのは人間なのだ

人間なのだと


恨むなら人を恨めと 神は笑って言ったのだ

カインの娘よ カインの孫たちよ

わが健やかなる同胞たちよ


『神を愛せ』 

何度も念じ 何度も試せ これが真実となるように

アーメン、



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