期待

「あー……クラクラする……頭痛てぇ……」

頭を強く締め付けられる痛みを感じながら風呂から上がる。

「あー……やばっ……血流さなきゃ……」

壁に軽く付いていた血を流し風呂から出る。

「だるい……気持ち悪い……」

腹の中に手を入れられ臓物をグチャグチャにされる感覚を感じながらジーンズとパーカーだけ着て風呂場から出ると弟とぶつかりそうになった。

「チッ……」

ウザそうに、そして消えてほしそうに俺を見て部屋から出て行った。

「飯は……と……」

机の上や、洗い終わった様子の食器を見て夕飯を考える。

「メンドイ……多分カレーかな……」

そう思い俺は床にダンボールで入っているインスタントのカレーを1袋取り出す。

『……ガシャン!グチャ……ピチャ……ピチャ……』

イヤホンからアニメの音が聞こえてくる。血と、肉が見れるからこのアニメは嫌いじゃない。

インスタントのカレーが茹で上がり、袋を開けご飯の上にかける。

「いただきます……」

さっさとこの部屋から出たい、その一心で噛まずに飲み込む。

「ごちそうさま……」

親から離れるように食器を洗い、自室に向かった。







『グチャ……ブチッ……ピチャ……ピチャ……』

スマホの画面では肉が引きちぎれ、血が滴る映像が流れている。

俺はそれをなにも感じずに見続ける。

時計を見ると時刻は22:30。

「明日は……誰か殺してくれるかな……」

俺はありもしない期待をしながら睡魔に逆らわず意識を手放し深い深い沼の中に身を沈めて行った。

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