第12話 入国、アルマリス共和国

 一瞬のうちに壁の外まで移動した俺は、入国審査を受けることにしたのだが―――

「ゴブリン!何故ここに!」


 知ってた。鎧を着た槍兵が2人、俺を見て構える。俺は即席の棍棒もどき(鉄)を持っている。なお、面白いのでそのまま突っ立っていることにする。


「何だ、このゴブリン、戦意がないのか…?」

「馬鹿野郎、ゴブリンはゴブリンだ!殺すぞ!」


 そう言いつつ1人が俺に槍を突き出した。当たっても痛くはないが一応回避する。


「避けた!?」

「何してる!さっさと殺せ!」


 3人に増えた。1人から槍を奪い、捨てる。取り敢えず200mほど向こうに。


「槍がっ!?」

「何だ、こいつ…本当にゴブリンか?」

「―――ゴブリン相手に何をしている?」

「「隊長!」」


 隊長が出てきたかー…楽しめそうかな?簡単に挑発してみる


「ぬっ…挑発か?」


 その間にも兵がぞろぞろと出てくる。

 でも超スピードで雑魚の槍をとって捨てる。捨てた槍は全てさっきの場所だ。


「ふむ、なかなかにやるようだな。これなら我々の言語を話せてもおかしくはないな…」

「ん、そだね。」

「驚いた…まさか本当に話せるとは…」


 そっちが話せるって言ったんだろが。


 この後、冒険者登録書ギルドカードを見せ、マロンに確認を取り、俺は怒られ、訓練を行うことを約束し、最後には無事に入ることが出来た。




 その後、ギルドにダイナミックボア撃退装置を5個売り、やって来たのは宿屋『アラト』。此処は剣の流星の拠点でもある。


「いらっしゃい…てゴブリン!?ちょっと!エイバル!助けて!」


 ―――残念、エイバル君はこっち側だ。ククク、驚いてる驚いてる。


 その後宿屋の主人、アラトさんに説明をして、泊めてもらうことが決まった。―――のだが、


「ギン、君、お金とかで困ってない?」

「今は適当に工面して来たからそうでもないけど…何で?」

「いや、此処は魔物の買取もしててね。君、強いんだろ?強い魔物持ってきてくれたら、相場より少し高く買い取ってあげる。」

 おお、嬉しい話だ。

「マジか。じゃあ、これ買い取ってほしいんだけど?」

 そう言って出したのは東アルマリア森林の中でもだいぶ強い部類、具体的にはA ランクのニナンダという蛇の亜龍(龍の一種)の魔物。これの肉が旨いんだまた。あれ、皆驚愕してる。


「ちょっと、これどこで?」

「うちの酪農場で育てたやつ。大人しいから育てやすいし、強いから自分の身は自分で守ってくれるし、ペットとして飼育してる奴もいるな。」


 この言葉に嘘はどこにもない。自分の境遇を理解してるから、素直に食糧にもなってくれていい子。目的もなく殺そうとすると痛い目みるけど。


「大人しいって…二ナンダは凶暴で知られてるのに…」

「ソレは怒った個体だけ。刺激しなけりゃ穏和だ。」


 一同さらに驚愕。


 これ以上は止しておくが、結果としては超高級肉らしく30万z手に入れた。多すぎると思ったら、情報料入りだそう。それでも割に合わないと思ったので、マスマホを何個か渡した。客との連絡用として、指定した地点から指定した距離離れた所に指定した時間あった場合指定した地点に戻るというハイテク機能付き。主に盗難防止の意味が強い。

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