第10話 侵入、アルマリス共和国

『了解しました。皆さんには秘密にしておきますね。』

 おお、やはりいい子だ。すぐ返してくれる。さらにこのあとの予定も送ってくれた。一旦宿に戻って荷物整理した後にギルドに行くんだとか。

『でも、あれは何です?流石に怒りますよ?割と本気で。次ダイナミックボアと遭遇したら餌にしてやりますからね?』

 前言撤回。あまりいい子じゃない。『割と本気で。』までだったらまだ可愛げがあるけど、それ以降は駄目。あの年頃の子が人を餌にするとか言っちゃ駄目。

『…あれ実は超高価なんだ。具体的には2万z。』

 嘘ではない。

『後でください。』

 うわぁがめつい。あとでと返して、終了した。




 ―――うっわ、でけぇ。

 俺はアルマリス共和国王都、アルマリアを守るどでかい城壁の前に来ていた。今『剣の流星ソード・ミーティア』のメンバーは入国検査をしている。と言っても簡単なもので、身分証を掲示し、本人確認をするだけの簡単なものだ。俺は得意の隠密―――俺より危機察知力が強くないと見つからない―――で軽々侵入した。


 あれ?ザルくね?

 まあ、不法入国になる訳だけど。


 さて、今はあいつらソード・ミーティアを追わねば。街観光は後だ。

 宿に入って…すぐに出てきた。いらない物ほっぽっといた感じだな?つまらん。覗いてやろうかと思ったのに。

『覗こうと思ったでしょう?』

 おぉ、こわいこわい。ばれてら。

『ンなわけねーだろ。一瞬よぎったけど。』と。

 嘘はいけない。『変態!』とか『キモイ!』とかきたけど無視。悪い子は無視。―――俺も悪い子?知るか。

 あ、追わなきゃ見失う。感知に頼ればすぐ見つけられるけど。




 そして我々はギルドについたのだった。…おしまい。




 はい嘘ですごめんなさい。終わりません。俺達の戦いはこれからだ!




 天丼同じネタの繰り返しですみません。

 さて、隠密を駆使してギルドに入る。何人かに気づかれるんじゃないかと思ったが、杞憂で終わった。エイバルが受付嬢と思わしき女性と話すと、奥の方に行った。俺もそれについて行く。隠密最高。普通に後ろ付いてるのに誰にも気づかれない。流石にリンちゃんは気づいたけど。


 ギルドマスターは少し小柄なエルフのようで、見た目は銀色の髪に赤い瞳。ポニテが似合う可憐な少女だった。


 ―――ほう、ギルドマスター、俺に気づいたな?

 剣の流星の面子がうちの村について話している時に、こちらを見た。つまりはそういうことだろう。話しているうちに、そんなに凄いなら、その村長、つまりは俺と会いたいとこちらを見ながら言った。気づかれてるか。問題ではないけど。

 エイバル君、

「連れてきますよ?」

 リンちゃん、

「あ、その必要はありません。」

 ガロンドさん、

「どういう事だ?」

 またリンちゃん、

「今、ここにいます。」

 一同騒然。ギルドマスターは大して表情を変えることなく、

「うん、確かにいる。出てきたらどう?気づかれているのわかってるくせに、見苦しいよ?」

「だって面白そうじゃないか、ギルドマスターさんよ。見苦しくたって、俺はこの為だけに隠密を続けたんだ。速攻バレたのには驚いたけど。」


 一同また騒然。今度はギルドマスターも。本当に話通りだ、凄い、みたいな驚きの目をしている。エイバル君、

「いっ…いつから…」

「初めから。別れた後にリンちゃんだけに説明してね。結果として俺は不法入国者な訳だけど。」

 と、これまでのことを説明しようとした途端、

「パーティー『剣の流星ソード・ミーティア』、一度席を外して。このゴブリンと話がしたい。2人で。」

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