第19話 『勝負の一発芸(ナカヤマさん編)』


 戻ってきたヌクミズさん達が横一列に並んでそのときを待っている。


 みんなそれぞれ手に何か持っているけど、なんだろ?

 どんな一発芸をするのか今から楽しみだよーっ。


「それでは今からこのお三方に一発芸をしてもらいます。この一発芸によって場を一番盛り上げた方が真のリーダーとなりますので、皆さんよろしくお願いしまーす」


「「「「「「「「「ういぃぃぃぃぃ」」」」」」」」」


 趣旨を理解したのか、観客となったゾンビさん達が返事をする。


 私は最初に戻ってきたナカヤマさんを一番手に指名した。

 するとナカヤマさんはいきなり着ていた服を脱ぎだす。


 ええっ!?


 っと驚いている間にナカヤマさんは、ビキニパンツ一丁になっていた。


「すごいマッチョですね。しかも色が真っ黒で健康的。……あの方、本当に死んでいるのでしょうか」


 素朴な疑問を口にする栞ちゃん。そして、


「あいつ、手に持ってたのサラダ由だったよな。はは~ん、分かったぞ」


 『うめぇ棒』にかじりついている鳴ちゃんは、ナカヤマさんが何をするのか分かったらしい。


 そして、


「はぁずかしぃ」


 スズちゃんは照れてるのか、ナカヤマさんから目を逸らしていた。


 

 ◇


 

 そしてそして始まるナカヤマさんの一発芸。

 ナカヤマさんは、手に持っている二本のサラダ油を頭からドバドバとかける。

 それはすぐに全身を回って、ナカヤマさんの体は怪しくぎらついた。


 えぇ!?


 っと一驚している間にナカヤマさんは、満面の笑みを浮かべてポージングを始めた。


「まずぅは、リラックスゥ・ポオォズ、ほおおおぉぉぉ」


 筋肉のアピールが始まったっ!

 あ、知ってる、これって確かボディビルだっ。


「やっぱりな。奴の体でサラダ油=ボディビルだしな。意外性はないが、これはこれでけっこう見ものかもな」


 食い入るように見ている鳴ちゃん。

 もしかして鳴ちゃんは、筋肉のある男の人が好きなのかな。


 そのあともナカヤマさんの筋肉アピールは続く。


「つぎはぁ、フロォント・ダブルゥバイセップスゥ、ふううううぅぅん」


「そしてぇ、フロォント・ラットォスプレッドォ、はあああああぁぁ」


「からのぉ、サイドォ・チェストォォ、ぬはああああぁぁ」


「うしろむいてぇ、バックゥ・ダブルゥバイセップスゥ、どうだあああぁぁ」


「さらにぃ、バックゥ・ラットォスプレッドォ、あぴいいいいぃる」


「そこからぁ、サイドォ・トライセップスゥ、えがおぉがだいじぃぃ」


「てはぁうしろにぃ、アブドミィナルゥ&サイィィ、ふっきんとぉ、あしをみれぇぇ」


「さいごはぁ、モストォ・マスキュラァァ、なかやまぁ、さいこおぉぉぉぉ」


 最後に“力強い”を印象付けるようなポーズをして、ナカヤマさんの一発芸は終わった。

 

 男性陣はほとんど反応なし。

 でも女性陣(スズちゃんは除く。鳴ちゃんは含む)の歓声は飛び交った。


 ナカヤマさん、お疲れ様でしたっ!

 それとそのサラダ油、ちゃんと落とせるといいですねっ。





 ◆第20話 『勝負の一発芸(イトウさん編)』へ続く。

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