泡となりて消えよとて

ぷくぷくぱちん、ぷくぷくぱちん

真っ暗な海の底

暗い暗い水の底から湧いて出てきた

あぶくが登っては消えてゆく

儚くもあり、また力強くもあり

どっちもどっちで、多分あぶく自身には関係無い

ゆらゆらゆらゆら浮かんでは消え、浮かんでは消え

幽鬼の如く消えゆきて

悲しみも無く、苦しみも無く

きっと意味は無いのだろう

ただただそうあるだけ


けど時々ふと目を覚まして思ふ

浮かんでは消える、あぶくには罪も枷も何も無い

だったら──

人が人である事は一つの枷になりうるのだろうか……?



蒼空を見上げて思う

『人とは何か』と

人を見て思う

『感情とは何か』と

木を見て思う

『行動とは何か』と

水を見て思う

『流れるとは何か』と


けれどそれは一向に答えの出ない質問で

考えるだけ思考の沼に嵌って堕ちるだけ

じゃあ……

何者にも無い答えは何か?




答えは──────

あぶくのようにぱちんっと弾けて消えた

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