カキダシ

伊右衛門 千夜

ユウグレ

 橙色から藍色へと変わりゆく空のど真ん中に、剃刀みたいに鋭利な二日月が浮かんでいる。


 星はまだ一つも出ていない。


 雲一つなく透き通る秋空の下には民家が立ち並ぶ。太陽の光を喪いつつある彼らは、急速にその姿を黒いただの塊に変え始めている。

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