The Dead Angel

炉夜牛029

Hell Chain

第1話 死神天使のお仕事

命あるものはみんな死ぬ、死ねば体は消えて無くなる。

そして死んだものの魂はからに来るのだ。


私はそれの案内人、私の名前は月島楓。


私は困っていた。人間界からが大量に来ていたからだ。

待ち合い室は今日死んだ人間、大体の数で100人が項垂れて座っている。1人はイライラしているのか貧乏ゆすりをしている。木製の床がギシギシと軋んでいる。突然の死に悲しいのは分かるがこの待ち合い室も老朽化が進んでいるのでやめてほしいところだ。

「あああ! クソ!! 何であんなとこで死ななきゃなんねぇんだよ!」

若者が泣きながら叫んでいる。最近の人間は落ち着きが無い奴らもばかりだ。


そういう場所を私は待ち合い室の隣の部屋の窓越しに見ていた。

「何があったんです?」

私は質問する、相手は呑気にドーナツを食べている上司、フランシッドに。

フランシッドはドーナツをブラックコーヒーで流し込み咳をしながら答える。

「なんかテロがあったんだと、大規模の」


そんなこと窓越しでわかる。何があったのかとは、なぜいつもなら1日に100000人死んでもこんなに待ち合い室がこむ事は無いのにこんなに死人が項垂れて待ち合い室の座り心地の悪いビニール製の長い椅子を埋めつくしているのかだ。

「分かってるよ、なんでこんなに流れがスムーズじゃ無いのかだろ?」

「はい! 何でこんなに?」

分かってたんならさっさと言え、と思うが彼は私の上司なので愛想良く質問する。


「実はテロリストは自爆テロみたいでね、まあそいつらは地獄行き確定なんだが待ち合い室の奴らの中にも数人地獄行きがいてね」

「? つまり?」

「待ち合い室の奴らの地獄に行く数名がテロリストへ復讐を企てるかもしれないだろ?」

「前世の復讐……ああ、それを止めるのも死神の仕事でしたね」

「というわけでテロリスト達の地獄入りの護衛をしてくれ」

「……死神としての命令ですか?」

「そうだ、死神から天使への逆らうことの出来ない命令だ」

「護送ってあの長い道をですか? 3日は掛かりますよ?」

「いいから早く準備しろ、テロリストはもうエンマ・システムにかけられて地獄行きが確定している頃だ」


ひゅおうひゅおう、と暗い大穴(半径1キロメートル程度)から風音が聴こえる、人間が聴けば亡霊の声だのに喩えるだろう。

私はフランシッドに命令されて暗いの大穴の前でテロリスト達を待ち構えていた。

この場所は地獄への唯一の入り口で地獄へ行く罪人が何処へも逃げられないように空間は穴と少しのベニヤ製の足場しかない。


「今日も大変ねあんたは」

私はテロリストが中々現れないので暇を持て余し、カラスの頭の剥製を被り黒いレインコートを羽織り下はデニムを履いた有刺鉄線を鞭にした物を持つ誘導者に話しかけていた。は中々暗い大穴に飛び込まない地獄行きの人間を落とすことを仕事にしている。

地獄行きの罪人を迷ったり逃げ出したりしない様に導く誘導者のなかでも汚れ仕事の方だ。

「……………」

「ははは……仕事中だしね、私語は禁物か」

彼女はカラスの頭を縦に2回振る。


そんな事を話していると(話してはいないが)ハゲ頭にサングラス、裸で筋肉のつきすぎで血管が何本も浮かんだ上半身に大中小様々なサイズの鎖が巻かれていてダーメージジーンズを履いた男が大穴の前に立っている。

地獄裁判を終えて出て来たようだ(この場所へ人間の魂が来たということは地獄行き以外にない)

「何だ? ここが地獄か?」

「そんなわけないでしょ、少しの足場にでかい穴がある所の何処が地獄なのよ」

そう言い、鎖を巻いた男に話し掛ける、中々変なファッションの奴だからどういう人間なのか気になったのだ。

「そこの穴に飛びこむのよ、そうすりゃあ地獄へ旅立てる」

「俺は高所恐怖症なんだが」

「今更何に恐怖するのよ? 死んでいるのよ? 痛みも死もないわ」

鎖を巻いた男は、大穴の中をみる。

「底が見えねぇんだが……」

そう言った瞬間鎖を巻いた男は胸を有刺鉄線の鞭で打たれ吹き飛ばされる。

うわあああああああ! そう喚きながら鎖を巻いた男は見えない底へと堕ちていった。

「酷い事するわね、あんたも」

行為を実行したカラス頭にそう言うが勿論返事は返ってこない……つまらない奴だ。


ぼうっ、と暇なのでカラス頭を見ているとカラス頭は私の後ろに指を指す。

後ろには褐色の肌をした裸の少女4人が怯えてこちらを見ていた。


つづく

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