第2話半吸血鬼

 ガンガンと照りつける日光の中、目の前の現実が受け止めることができず慌てふためく俺がいた。

 何をすればいいのか分からず周りを見渡すことしかできなかった。

 先ほどまでいた自分の部屋は嘘のように消え去り新たに現れたのは小さな町並とライトノベルに出てきそうな亜人族だ。


 まずは状況の整理をしたければ始まらない。

 まずここはどこだ =わからない

 なぜこうなった =少女が原因なのは明らかだが、いや、もはやこれは夢なのかも知れない。

 帰るためにはどうするか =少女が頼り

 帰る必要があるのか =わからない

 結論、まずは少女に原因究明が必須。

 原因であるはずの少女は先程と少し雰囲気が変わり圧倒するようなオーラが感じ取れた。

 なぜだろう、いくら考えようとも答えに達することはなかった。

 こんな可愛らしい少女に恐れを感じるなんておかしいとは思いつつも目の前にいる少女には敵対するな! と本能が告げているかのように冷や汗が流れ落ちる。

 少女もオレが恐れていることに気付き申し訳なさそうな顔へと変わる。


「おっとすまん常時発動型能力パッシブスキルを解除するのを忘れていた………これで大丈夫か?」


 先程まで感じていた圧倒するかのような雰囲気? オーラ? のようなものが無くなる。

 こちらを見ていた少女の頬を両手で引っ張りながら質問した。


「あぁーここはどこだ?」


 オレはとりあえず落ち着きを取り戻し目の前にニヤニヤしながらこっちを見上げてくる少女の頬を引っ張ったりつねったりして答えを促す。

 少女は何故頬を引っ張られているのか分からず困惑しながら答えようと口を動かすが言いにくいのかちゃんとそた言葉として聞き取ることのできるものにはならなかった。


「なっやへろいふぁいへはないはよへ、よへのは」


 何を言っているか分からないし、十分に楽しめたので両手を頬から離す。

 楽しめた、というのは柔らかくすべすべな肌の手触りを楽しむと同時に憎たらしい顔をしていた少女にイタズラして楽しんだということだ。

 オレの行動に少女は困惑したのか痛そうに頬を撫でながら質問してくる。


「なぜ怒る?

 お主はあの世界が嫌だったのではないか?

 私はこちらの世界に連れてきてやっただけだろう!

 むしろ感謝されてもおかしくはないはずだ!」


 そんな、自己中心的な考えを一方的に伝えられてもこちらは納得できない!

 何か説明があっても良かったはずだ、それに異世界に行くなんて思わなかった。

 いきなり連れてこられても困るだけだ、オレは焦らない方だからこれくらいで済んでるけど常人なら発狂してもおかしくないぞ。


「一言くらい説明があってもよかっただろ。俺だから大丈夫だったけどな! 常人ならおかしくなってるぞ、いや……まぁ~あっちの世界が嫌だったことは確かだがな。今では感謝しているよ」


 最初責めてばかりいたら少女は今にも泣き出しそうなほど顔を歪ませていた、そんな様子を見て罪悪感こら少女のフォローを自分でしてしまった。

 それを聞いた少女は泣きそうな顔に笑顔が戻る、だがその笑顔の中には少量の罪悪感が残っているようにも見えた。


「それはすまなかったな、その~仲直りとして自己紹介をしよう! まだお前の名前を知らないからな、今後こっちの世界で暮らす上では名なしではいろいろと不便だろう、それにお互いのことを知るいい機会だろう」


 とオレの様子を見ながら言ったのを見て、オレは少女がよく反省していたのが伺えたから許すことにした。

 決して可愛かったからとかじゃないから!

 いや、マジで!!………しょうがねぇーよ! あんなん見たら怒れねぇーって!

 昔の人だって言ったろ?可愛いは絶対普遍の正義だって。


「まぁ~いいか、オレは三山 利久人だ 歳は17、趣味は~、、、ゲームかな」


「次は私の番だな

 だが私は自己紹介するほどの情報はないな、

 まぁーとりあえずお主のやり方にを真似てみるよ

 私は~……名前がない、趣味はお主との他愛もない会話だ。上下なく対等に会話するのは面白いものだ」


 とその言葉を聞いてオレの頬が無意識に緩んでいた。

 というよりそんなことより気になることを言われた名前がない………らしい、なにやら含みのある言い方をしていたから言いたくないのは察したけど名前がないというのはなかなかに面倒なことだ。


「つかお前、名前ないのか?」


 少女は躊躇いながらも開き直ったかのように頷き、一瞬間をおきながらも話し始めた。


「当たり前であろう

 誰にも名前など呼ばないのだから必要ないしな

 だがこれからはお前がいるしな名前を考えねばな........

 う~んだが自分で決めるのもおかしくはないか?

 よしお前は私をなんと呼びたい?」


 こうなるとは思っていなかったから正直びっくりした。

 まさか、異世界に来て初めてすることが女の子の名付けとは誰が予想できる?

 予想出来た奴は天才だろ!


「えっオレが決めるの?そうだなぁ~、、、ミラなんてどうだ」


 いきなりのことでなかなか気のきいた名前が浮かばなかったが少女は意外と気に入ったみたいだった。

 この名前の由来は? とか聞かれたら正直引かれそうだ、なんせ、オレが大好きなゲームのキャラの名前だからな。

 ゲームオタクなオレが気の効いた名前なんてつけられるか!



「ミラかぁ~なんとも可愛い響きじゃのぉ~」


 予想外程に少女も喜んでくれたがそんな様子を見て適当に名前をつけてしまった罪悪感が出てくる。


 まぁ~本人が気に入っているんだからいいか!


「よし!名前も決まったし、

 ミラ、説明してくれ、ここはどこだ?」


 慣れていない名前を呼ばれたせいか少女はうつ向きながらも顔を真っ赤にさせていた。

 数分するとミラは落ち着きを取り戻し質問に答えてくれる。


「んっん~ここは元の世界の裏側

 科学が発達した世界の裏にはこの魔法が発達した世界がここだ」


 魔法という単語が出て来て一瞬、頭が真っ白になるような感覚になる。


「ちょっと待ってくれ、えっ魔法ってマジ?」


 あまりのことに驚きつつもミラに問い詰めるがミラは、さも当たり前かのように返答を返す。


「本当だぞ」


 その言葉を聞いてオレはなんとも言えない高揚感をおぼえた。

 ミラは少し呆れながらも説明を続けてくれる。


「えっと、話しを戻すぞ魔法の他にスキルやモンスターといったファンタジー世界だ、どうだお主が夢にまで見た世界だろ?」


 そんな夢のような設定に心踊らせながら、はやく魔法という非化学的ものを使ってみたいと思いつつ興奮する。

 だがそんな思いも吹っ飛ぶような疑問がふと出てきてしまった。


「あれ? オレ異世界語なんてできねぇーよ

 ミラどうしたらいい?」


 こっちの世界にきて1番重要なことに気が付いた。

 話しが通じなければこっちの世界に来たとしても対話が出来なければつまらない。

 その疑問をミラはすぐさま解決してくれた。


「その事なら心配はないぞ言葉ならだいたい伝わるんだよ」


 とミラは説明してくれるが言葉が雑だし分かりずらい、と1人で考え込んでいるとミラは簡単に説明してくれた。


「わからんか?、、まったく先が思いやられる

 意思のある言葉が知性、魔力あるものに届くと大まかな意思を汲み取ってくれるんだよ」


「マジかよ! ご都合主義の世界だなぁ~。

 まぁ~便利だからいいけどな」


 とこの世界の摂理に少し呆れ気味になった。

 新米女教師みたいに教えてくれた、そんなミラに脳内でスーツを着せて遊んでいたらミラが注意してきた。


「こら、人の話しはちゃんと聞かんか!」


 うん、聞いてはいたぞ可愛いからな。

 可愛く人差し指を立てながら怒ってきた、うん可愛いな。

 オレの家にもって帰りたいな。

 あっオレの家ここにはねぇーや。


「可愛いな、オイ」


 と思わず口に出してしまったそんな言葉を聞いたミラは顔を真っ赤にしながら恥じらいを隠すように怒った


「なっ、、、、やめろ!お前はことあるごとに………可愛いなどと変態、スケベ!」


 そんなことを言ってはいたがただの照れ隠しだと見抜いてニヤニヤしながら見ているとミラは顔を染めたまま説明を再開してくれる。


「まったくお主といると辱しめられてばかりで疲れるお前が説明しろと言うから……まぁ~いいか説明を再開するぞ、今度は余計なことは言うなよ!

 次に魔王軍の存在だがさして気にする必要はないな

 お前に手出しさせる気ない、お前に実害が及ぶことは無い」


 オレは魔王軍の単語を聞いた瞬間から心から驚いた

 もしかしてオレが勇者様になっちゃったりするのかなぁー。

 異世界から来たオレって勇者候補だったり!?

 ヤバイヤバイテンションあがってきたーまず、どうしたらいいんだ? 勇者っていったら聖剣だろ探しに行かなきゃと心の中で妄想をしていると。


「オイ、何をそんなに考え込んでいる?

 他に何か聞きたいことはあるか?」


 とミラが下から覗きこんでくる。

 微かに香るミラの香りに思わずドキッとしてしまった。

 そんな邪念を振り払い先程までの思いミラに確認する。


「勇者の聖剣ってどこにあるの?」


 と真顔で質問した。

 大事なことだ勇者なんてゲームでしかなれなかった。

 憧れ?あるに決まってる、むしろ憧れしかない。

 パーティーを組んで魔王を倒す、うん最高だな。


「ん?なぜ聖剣が必要なのだ?

 お前は勇者なんてなれないぞ」


 ミラは容赦のない言葉をさらっと言ってきた。

 薄々気が付いてはいたが事実を突き付けられると、いささかきついものだ。

 オレは心にダメージを受けその場にへたりこんでしまった。


「そんな、、、ここまで来て才能ないなんて

 マジかよ、なんだよそれやってらんねぇーじゃん」


 絶望仕切った感じで言っているとミラは少し笑いながら慰めてくれた。


「まぁまぁ気にするでない才能以前に権利がないしの」


 先程の仕返しにニヤニヤしながら言ってきた。

 だが権利かないってどういうことだ? 異世界人だからか? でも異世界人っていったら勇者候補第1位みたいなもんじゃん? 何でだ。

 と考え込んでいるとミラが追い討ちをかけてきた。


「まぁ勇者なんぞには絶対にならせんぞ」


 と意味のわからんことを言っていた


「はぁ?なんだよさっきから

 権利がどうのとかさせねぇーって」


 と意味がわからず少し大きな声でミラに言った

 ミラは少し申し訳なさそうにしていた意味がわからず

 そのままじーっと見ているとミラが視線を横に向け

 冷や汗を流しながら言葉を選ぶように区切れながらも言葉を言っていく。


「それがな、お前の体は転移の反動に耐えきれなくてバラバラになってしまった。だけどな!お前の精神体は分離させてバラバラになったお前の体を出来る限り再生させて足りなかった部分は私が作った物で代用した! 元の体より強くなっているぞ!」


 ミラは視線が右往左往し、冷や汗を流し焦っていた。

 焦っているミラも可愛いなぁ~。


「えっマジで?前の体と大差ないぞ?」


「それはの、お主の元の体を再生させて作ったからです」


 ミラは変な敬語へと変わり視線をリクトと合わせようとはしなかった。


「何かこっちきてからおかしくね?

 元の世界だったら何も知らないって感じだった

 こっちの世界だとやけに物知りだな?」


 違和感の正体が気になりミラをジロジロと見ているとミラは気まずそうにこちらを見返すばかりだった。

 沈黙の時間が数秒続いたかと思うとミラは少しためらいながらも声を出した。


「妾の秘密をうち明かす前に1つ問いたい、

 お主は魔物は絶対悪だと思うかの?」


 とミラが答えを聞くのが恐ろしいと言った表情だった、なぜそんな表情を向けられるか理解できなかったが1つだけ理解できたことがあったそれはミラのそんな表情は見たくはないと思ったということだったその感情に気がついた今は質問の答えは決まっている


「いいやぜんぜん、

 ミラはミラだろ?なに変なこと言ってるんだ?」


 さも当然かのように言う。

 よっしゃめっちゃカッコいいこと言えたと内心ウキウキしていた。


「お前は気にしないのだな………こちらの世界では魔物は絶対悪だからの、人間に化けて友になろうとしてもバレてしまった時は追いかけられた上、殺される」


 と、ミラはうつ向きながら消え入りそうな声で言った。

 そんな辛い人生魔生を送っていたなんてさぞや辛かっただろう。

 今まで友と呼べる物もいず孤独と戦っていたのだろうか? この、か弱いそうな少女は。


「オレはずっと側に居てやるよ。お前に何があろうとオレはお前の側にいよう。

 それに、ミラはもうオレのパートナーなんだからな」


 ミラの肩にそっと手を置き、出来るだけ優しい声を出そうと心がけたながら声を出していく。


「そうだな、パートナーに隠し事はなしだな………私は元はこちらの住人だったんだ……それに…私は………に、人間ではない!」


 と、少女はうつ向きながら怯えていた。


 うん、大体予想してたよ、あれだけフラグ立てればバカでもわかるだろ。


 軽蔑されるかもとミラは恐れていたのかもしれない。

 いやミラは軽蔑される覚悟で告白したのだろう。

 それを証明するかごとくに、ミラの華奢な肩は今にも崩れそうなほどに震えていた。

 何をそんなに怯えているのだろうか?

 そんなことでは軽蔑も嫌ったりはしないんだかな。


 むしろ人間じゃないなんて逆にすげーじゃん!!

 オレはそんなことに嫌になるどころかむしろ凄いとすら思える。


「なんとなく察していたぞ、それよりさ、人間じゃないなら何なの? マジか! スゲーなオイ」


 リクトは半ばテンションが上がっていた。

 無理もないだろう目の前に空想上の生物がいるに等しい。

 人間じゃないなら何だろう?妖精?悪魔?まさかモンスターだろうか。

 考えただけでまたテンションが上がったきた。

 そんなオレの様子を見たミラは少しの間キョトンとしていたが少したつと盛大に笑いだした。


「ふっ……ははははは………私がすごく気にしていたことなのにあっさりと……あっはははは。しかもスゲーかそんな考え方、人間ではお前が初めてだよ。」


 ミラの暗い雰囲気は嘘だったように無くなっていた。

 よかった、ミラはやっぱり笑った顔が一番可愛いからな、結局ミラは何者だろう?


「結局ミラって何者?」


「ん? あー私は吸血鬼ヴァンパイアの真祖だ……この世界でも魔王に匹敵する強さとまで言われたんだぞ。

 確か異名が血塗られた吸血姫ブラッディ・ヴァンパイアプリンセスとか血塗られた悪夢ブラッティーナイトメアだぞ!!!

 こんなにも美しい私を見てそんな2つなをつけるのだぞ!!

 まったくもってありえん!!」


 誰だよそんな中2全開な異名付けたのセンスありすぎだろ。

 だけどミラも言っている通りミラには似合わないな。

 今すごい過去をさも当然かのようにミラが言っている。しかも笑いながらである、少し危機感が足りなさそうだな。

 まぁ~可愛いからいいけど。


「えっマジでか凄いな吸血鬼かよ! 血とか吸うの?

 なんならオレの血吸うか?」


 少し痛そうだか憧れがある行為をしてみるかと催促してみた。

 するとミラは柔らかそうな頬を赤くし赤面する。


「なっっ! 意味をわかって言っておるのか? 私みたいな吸血鬼の真祖は生涯愛すと決めた者の血しか吸わん。

 もちろん野蛮な混血吸血鬼なら見境無く血を求めるが高貴な私は血を吸ったことがない」


 とミラは真っ赤になりつつも説明してくれた。

 残念だ、吸血鬼に血を吸われるなんて超レアな体験ができないなんてと。

 だが、あんな理由があったのならば仕方ないとうなだれる。

 もしかしたらオレも吸血鬼になれるかもって期待したんだけどな、残念だ。


「マジかぁ~血吸われたら人間じゃなくなったりとか面白いことになると思ったんだけどなぁ~ダメか」


 人間じゃなくなったりしたらどうなるんだろ? モンスターとして討伐対象になるのかも、もしかしたら勇者の仲間になったりして。

 吸血鬼になったら強そうなのに、人間だと相当訓練しないと強くならないだろう。

 吸血鬼なら、ぱぱっと強くなって好き放題できそうなのに。


「何を言っている? お主は私のパートナー眷属なんだからもはや人間じゃないぞ? 種類で言うと半人半吸血鬼だ」


 さらっとすごく重要なことを言われた。

 あまりのことにびっくりし過ぎて放心状態になってしまう。

 もはや半分人間では無くなってしまったようだ、体に違和感がまったくないので気が付かなかった。

 血を求める衝動........とかはないな。

 牙はないかと思い口の中に指を突っ込み牙を探したがそれらしいものは見付からなかった。

 何度も探してみたが牙は無かったあっても人間と同じ犬歯だけだ

 ミラの口の中も見てみたが牙はないようだなぜだろう?


「先程からなんじゃ?

 いきなり口の中を見せろだの歯を触ったり」


 ミラは何をしているか分からないといった顔になっている。

 だがやはり吸血鬼と言えば牙だと思う。


「牙がないか探していた」

「なぜじゃ? 牙などないぞ?」

「えっ? だって吸血鬼なら牙だろ?」


 ミラは何を言っているか分からないという顔をしていた。

 おかしいな、元の世界では当たり前のようにある伝説なんだが?

 何故だろう? オレの知ってる情報とミラは違うのか?


「は? 血を飲むのに牙なんて使わんぞ。

 血を飲む時は皮膚を切り血を吸い出すだけだ」


 衝撃の事実だ。

 本物が言うのだから間違いないのだろう、だが元の世界にはどう伝わったら牙がある! なんてことになるのだろう?


「人間がどんなイメージかは知らんが偏見だぞ」


 と注意されてしまった。

 確かに偏見はいけないが固定概念がどうも抜けない。

 吸血鬼は血を吸う、ニンニクが苦手、日光で焼け死ぬ、、、ん? 日光?

 今はこっちの世界では真っ昼間だ、雲の間から差し込む日光が暖かい気候だ、そんな中で吸血鬼が歩くなんて大丈夫なのか!

 心配しミラを見るがミラはいたって平気といった様子だった。

 どうもオレの元の世界の知識は間違いだらけのようだ。

 パートナーになったのだから知らなければならないだろう。ミラの苦手なこと得意なこと性格、などのことを事細かに。


「なぁ~ミラのこともっと教えてくれよ。苦手な食べ物は?」


 少し困惑していたミラは眉を寄せながらこたえた。

 ミラからしたら何故そんなことを聞くか分からないがしぶしぶ答える。


「なぜ今、食い物の話に?

 まぁお前のことだ意味があるのだろう。苦手な食べ物か?

 うーん………ないな」


 ミラは真剣に考えているが、どう考えようとも答えは出なかったようだ。


「食べ物はもういいや、苦手な物はなんだ?」


 オレは食べ物以外の苦手な物を聞き出そうとしたなぜならこの世界に来てしまった以上ミラのことはよく知らなければならない。


「苦手な物か~妾は最強だからなぁ~………ん? いやいや本当だから、疑いの目線を向けるんじゃない」


 先程も魔王に匹敵する強さがあるとか言っていたな、正直信じられない。

 途中から変なことを言い出したので疑ってしまった

 いや今も疑ってはいるがめんどくさいから苦手な物を聞いた


「なぜ疑う?確かに妾は一見弱そうかも知れぬが魔将位なら一撃だ!、くっ…なぜ疑いの目で見ておる? やめろ私は強いと言っているだろ苦手な物などあるか!」


 必死に言う姿は可愛らしいがどうも信じられない。

 しつこいと思ったことは内緒にしておこう、内緒にしておかないとうるさそうだからな。

 だが仮にミラが最強だったのならなぜ非力なオレを異世界から連れてきたのだろう?


「最強ならなぜ非力な人間のオレを異世界に連れてきた?」


 元の世界に未練はさらさらないが聞いてみた。

 もしや、オレに無限の可能性があったりして! そう考えるとテンションが上がるな!


「暇潰し」


 ミラは最高の笑顔だった、かわいかった………が上がっていたテンションが一瞬にして下がってしまった。

 これが最強とはとても信じられない、が多分本当のことだろう先ほどミラ自身がパートナー同士で嘘はいけないと言っていたからな。まさか本人が言ったばかりで嘘は言わないだろう。

 こうしてミラとオレはパートナーとなった。

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