だから、散歩をしましょう?

羽純燈伽

第1話 一人でいってきます

私の夫は全くつまらない。

私がいるというのにパソコンにかじりついて、こちらのことなど見向きもしないとのだから。

パソコンは彼の仕事だし仕方がないとも言えるがやはり、寂しいことには違いない。

「ねーねー!今日は外を案内してくれるんでしょう?」

夫の仕事部屋の扉に向かってさけぶ

「…うん。」

がこの気のない返事、絶対聞いてない!

実はここ、夫の地元に引っ越してきたのはつい2週間ほど前のことである。

荷解きが終わって冷蔵庫の中身を埋めたいのに、スーパーの場所さえわからない私には動きようがないのだ。

だから今日案内してもらうはずだったのに、

こうなってしまってはしかたがない。

食事は生活において必要不可欠である。

「もー!一人で行くから!そのうち帰る。」私はもういちど叫んで、新しい街へ繰り出した。

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