夕焼けのノスタルジックな雰囲気が魅力的

夕方の景色が郷愁を誘い、温かい懐かしさとほんのりと寒い寂寥感の両方が感じられる作品でした。

冒頭で語られる、喫茶室から眺める景色がありありと浮かんできます。
そしてそれに続く、動いていく景色が徐々に夕日に色づき、暗くなって、点々と灯る明かりの美しい夜景へ変わっていく姿が鮮明に思い描かれて、語り手の郷愁と寄り添うことができました。
そういう景色のセピア色の気配が、自然と彼との思い出へと繋がっていきます。
ノスタルジックな雰囲気に包まれたまま迎えたラストも素敵でした。

作者の方の描写力が、夕焼けの持つ寂しさを伴った郷愁をしっかりととらえた作品です。

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