第32話 試作データその名は風雲

補習合宿中の虎太郎は苦戦していた、機体の練り直しである。


元が近接格闘型であるゆえに、空や海や宇宙などでの活動や対抗策

といったものをトックミオーは考慮していなかった。


装甲で耐えて接近戦で殴る、耐えられなければ死ぬだけの無茶な機体ゆえに

欠点も改良点も可能性もありすぎた。


「虎、お前の機体を飛ばしてみないか?」

新たなルームメイトのチャーリーが、提案してくる。


「確かに飛ばねば、おはんの戦人が殴れんからの。」

頷く虎太郎、コンピューターでゲームソフトにしか見えない

シミュレーションソフトを立ち上げて見る。


このシミュレーションソフト、各パーツがバリエーションが豊富で

好きな機体を作れてヘッドディスプレイと手袋を付けて作った機体に

乗った体験をしながら対戦できるという代物。


虎太郎が選んだのは、腕と肩と背にタービンの付いたパーツで

かつて地球にあったオスプレイに頭と手足を付けたような機体ができた。

「試作一号、トックミオー風雲じゃ!!」


虎太郎が叫ぶが、チャーリーは唖然としていた。


「・・・・・・確かに、これならホバリングができるな姿勢制御も出来る。」

チャーリーは空中で、地上でやるような殴り合いの格闘戦をする気らしい虎太郎の

正気を疑い後に舌を巻く事になる。


レッドオウルと風雲の対戦は、空中に浮かび上がった両者。


牽制で撃ったミサイルが、風雲の周りで起こった竜巻で阻まれた。

「・・・・・お前の行力、風使いかよ!!」

チャーリーが吠える!!


行力、戦人を操るチャーリー達が持つ自然や元素等の力を操る異能の力。


チャーリーは虎太郎の行力を大地の属性だと勘違いしていた。

風使いに空は、水を得た魚と同じであった。


そして、火の鳥となっての体当たりと虎太郎が起こした竜巻に負けた

時自分が虎太郎に風使いの戦い方に気づかせてしまった事を後悔した。







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