10話 「領地相続戦争②ー包囲殲滅陣ー」

ぶろぐvar

http://suliruku.blogspot.jp/2016/10/10_12.html


Q.どうやって四百人も動員したの?


A.レイプされた獣娘達を扇動して、親御さんの前で演説して貰いました。しかも、破れた衣服を着せて雰囲気たっぷり。

ミルクも大量にぶっかけて、とんでもない凌辱を受けたんだと説明したら――皆、投石紐や農具を持って、参戦してくれた。

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獣人獣

獣獣獣   

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ちなみに僕がやった策は、数の暴力を覆す事ができる最強すぎる戦術だ。

その名を釣り野伏せ。


『敵を釣って罠にはめているだけな件』

『ネットゲーで、モンスターを釣る時によく見る戦術な気が……?』


戦闘民族や、熟練した兵士集団じゃないとできない高等戦術だ。

まず、囮が劣勢を装って、敵軍を罠がある場所に誘導する。

そして、疲弊した敵軍を、一気に襲撃して潰走させるんだ。

半包囲している状態からスタートするから、一度に大勢の味方で、少数の敵をボコボコにできる。

奇襲効果があるから、敵軍はとんでもなく動揺して、一時的に戦闘力がゼロに等しいレベルで激減する。

更に、僕を追いかけるために、人間達の戦列は長く伸びて疲弊しているから、一方的に多勢に囲まれて各個撃破される。

その上、敗走した傭兵達が邪魔で、まともに戦えなくなるから、集団の力が逃げる方向に割かれ戦えなくなる。

これら複数の効果が同時に発生する上に、僕たちの兵力は8倍。獣人の身体能力を加味すれば、実質80倍の戦力を瞬間的に叩きつけた事になる。

犠牲を出さずに、敵を虐殺できて当たり前だった。

わざわざ近づく必要もない。

獣人達がひたすら投石紐から、石を放ち、圧倒的な火力でチマチマと苛めれば勝敗は明らか。

弓兵は僕が狙撃して潰す。

そんで僕の投石で、叔父を死なない程度に痛めつけて指揮系統を混乱させる。


「ぎゃぁ!やめろぉぉぉ!ワシを狙撃するなんて親不孝な奴めぇぇぇぇ!」


『ちょwwww殺さずになぶり殺しにする時点で私怨たっぷりな件wwwww』

『犬さん一人でも壊滅できたような……?』


もう傭兵達に戦う気力はほとんど見られない。

しかも、敵軍の背後に伏せていたホワイトの別働隊が――動き出した。

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 ◎ホワイト率いる別働隊


獣人獣

獣獣獣   

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半包囲している状態で、敵軍の背後に蓋をすれば包囲殲滅陣の完成だ。獣人の身体能力は高いから、人間どもはどうやっても逃げられない。

ふぅ……、きっと戦史に残るね。これ。

芸術的な包囲殲滅陣として、長く伝承され続けると思う。


『いや、犬さん一人で戦争しろよってツッコミが入るだろ……』

『犬さんの戦闘力が過剰すぎて、この小規模の戦だとツッコミ所しかないお……』


叔父達は盾を可能な限り集めて、小規模の密集隊形作って耐えているが全滅は時間の問題だろう。

さようなら叔父さん。

アナタのおかげで、僕の支持率がグングン跳ね上がりそうだ。

獣娘を強姦して殺そうとした事は許せないけど、その点だけは感謝できるよ。

あとはそうだなぁ……僕のレンジャースキルが、この場に異物があると告げている事かな?

視線を感じる。それも侮蔑を込めた強い視線だ。

少し周りを見渡すと――大木の上に立っている黒装束の男を見つけた。

人間の耳だ。獣人ではない。僕の犬耳+レンジャースキルの効果で、遠い場所で響く音を聞き取った。すると――


「くくくっ……!獣人風情が歯向かうとはっ……!

陛下が聞いたら、さぞや怒るであろうなっ……」


誰だ、これ。叔父の手下じゃないのか?

陛下って、この領地が所属している国の王様か?


「子爵など、所詮は幾らでもいる帝国貴族の一人に過ぎぬっ……!

何時か、その事を思い知らせてやろうっ……!くくくくっ……!

その暁には狐娘を愛人にして、可愛がってやろうっ……!」


中二病か……。恐らく、孤独な時間を長く過ごしすぎて独り言が多くなってしまった人間なんだな。

話の内容だけを聞いてみると、陛下とやらの密偵っぽい感じだが、ただの妄想設定かもしれない。


「この情報を持ち帰れば、私は間違いなく恩賞を貰えるっ……!

帝都に家を構えて、良い家のお嫁さんを貰って、安心できる公務員生活が待っているのだっ……!」


とりあえず、密偵だとしても、不審者だとしても、怪しい人間は殺しておこう。

紐を二回転させて、僕は石を解き放つ。


「高い酒を飲み放題っ……!

高級娼婦も抱いてスケベーして、えと、それから――アバブッ!」


男の左足に着弾して、頭を下にして、大木から転げ落ちた。

落ちた際に、骨が折れる音がしたから即死だろう――しかし、なんで大木なんかに登っていたのだろうか?

この地点に、僕たちが布陣する事を知らなかったはずだから、降りようにも降りれなくて、困っていたんだろうなぁ……可哀想な奴。

独り言が多かったのは、恐怖を紛らわせるために、自分で自分を鼓舞していたのだろう。

大木を道具なしで登ったようだから、それなりに手強い強敵だったに違いない。


『公務員生活を味わう前にあの世行き』

『犬さんがマジ鬼畜だお』


戦場で不審な行動を取る奴が悪いんだ。

密偵だったら大変だが、後で地面に埋めておけば何の問題もない。

どうせ……何やっても情報漏れるし……。


『普通の主人公なら、敵の密偵は捕まえて洗脳して利用すると思うお……』


この領地、見た所、かなり貧乏だから財源ないだろ。

スパイって、高い給料プレゼントしないと、洗脳が解けたら、すぐに寝返る人材じゃないか……。

お前らがスパイの分だけ働くんだ。

ご先祖様。


『酷いお……ご先祖様を働かせすぎだお……』

『あれ?久しぶりにご先祖様って言ってもらえましたぞ?』

『このツンデレめ!』


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●スパイ物


ベテラン・スパイ「スパイを殺すのは三流。

生かして利用すべき」



アメリカ「スパイ網を放置するのは三流。

国内にいる日系人を片っ端から、収容所に送ればいいや、財産も没収な」





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