遊びの保険(300字SS)

 チェーンソーで邪魔な大木を切り倒す。掘り起こした深い根は切り刻んで均してしまう。

 てこの原理で岩をどかす。どうにも動かないのなら発破という手も考える。

 拓いた土地を整えていく。柱の土台に石を据え、これぞと見込んだ木を立てる。

 穴ぼこだらけの床を敷き、風の吹き込む壁を据える。それも『味』だと苦笑しながら、日が暮れるまで土にまみれて汗をかく。

 休日毎休暇毎、仲間と通い続けた秘密基地。


 馬鹿だねと呆れられても。

 なんでわざわざ、言われても。

 3Dプリンタでたった数日の時代でも。

 不自由な自由を酔狂だと嗤われようと。


 *


 本気でやるから遊びという。


 *


「マグカップ、忘れた」

「ほい、タブレット」


 保険には電書魔術があればいい。

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