今もっともキャラクターの活きている学園ミステリー!

ある日主人公は、学園祭で起こった殺人事件の容疑者になってしまいます。そこで、セイタン部という謎の部活に解決を依頼して──というようなミステリー。

楽しかった!
ミステリーを読んだ気がしないのに、今振り返るとちゃんとミステリーしてましたね。もちろん貶しているわけではありません。すごいことだと思います。

ミステリーって、やっぱり悪意があるものが多くて読んでると、こう、どよーんと暗い気持ちになることが多いんですよね……。特に本作品のように、殺人が起きるものとなるとなおさらです。

でも、このセイタン部は笑えるんです。主に主人公と蜷川くんのやり取りがサイコーです。

殺人事件の犯人として疑われる主人公とそれを解決する立場の蜷川くんがこんなコントみたいな会話をしていていいのか……なんて、よく考えると思ってしまうんですけど、そんな細かいことはいいんです!

(もちろんそういった状況に準じたシリアスな場面もあって読み応え抜群! 特に中盤の由衣と蜷川くんが喧嘩してしまう場面とその後仲直りするところとかすごい好き! あと蜷川くんとりっちゃんの馴れ初めがとてもとうとい!)

フィクションとしてのリアルさといいますか、キャラクター性がしっかりと確立されていて、生き生きしてるんですね。見習わなきゃ……。

とにかく、ミステリーのくせに(?)抜群のリーダビリティがあります。全く読みにくさを感じない。それどころか、ページをめくる手が止まらない。

それは紛れもなく、親しみやすいキャラクターと作者様の筆力によるものです。

声が堀江○衣にそっくりな主人公の由衣(名前までそっくり!)、大の声優好きにして探偵役の蜷川くん、常識人の伊賀先輩、アホ担当のくせにちゃっかり美味しいところで頼りになる明里ちゃん、恥ずかしがりやで一途なりっちゃん。

ポジショニングが完璧ですよね、もう。最強にして最適の布陣、という感じ。

気になる方はもちろん、私のレビューを疑っている方も、本作を読めばあっという間に引き込まれてしまいますので、ぜひ読んでみてください!

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