第2話 秘め事
麻耶子は月1くらいのペースで実家に帰る
仕事柄
不規則な生活なので家族に負担をかけたくないという理由から始めた独り暮しだが
両親は
「嫁入り前の娘が家を出るなんて……」
とはじめは反対だった
しかし
麻耶子はしっかりしている性格で
悠介と違い真面目で優等生だったので
最終的には両親も信用し麻耶子の独り暮しを許すことになった
その条件として
月に一度は必ず実家に帰り
家族と食卓を囲む
と言うことだった
最近 麻耶子にとって
この月に一度の里帰りが気が重い
家族の会話は
年頃を迎えた娘への結婚話が中心になるからだ
「結婚を考える方とお付き合いしてないの❓
相手がいないなら
お父さんのお知り合いとお見合いしてみる❓」母
母の口癖
「今が一番良い時期だからな」父
父の口癖
「姉ちゃん結婚できないんじゃないの❓」
悠介まで最近では面白がって
この話に乗っかってくる……
正直
息苦しい
この家では
彼氏がいない
仕事ばかりしている
ただただ真面目な娘
と思われている
「お付き合いしている人いるよ」麻耶子
と言えれば
連れてきなさい❗
と言われるだろう
栞との事は言えるわけがない
だって
悠介の幼馴染だから……
もし言ったら家族たちはどんな顔をするだろうか❓
きっと弟の幼馴染の若い男に手を出した
だらしない娘だと軽蔑されるだろう
悠介はきっと口も聞いてくれなくなるだろう
最近
考えことがある
私と栞との関係
それはいったいなろう❓
彼と居たらホッコリ幸せな気分になる
そばにいるだけで癒されるし
キスも相性もピッタリ
適度に会いに来てくれて
忙しい時疲れている時には空気を読んでくれる
とても心地のいい存在
だけど
結婚を『先』と言うのなら
彼とは先がない
栞はまだ大学生だし
これから就職や現実的な生活をしていくうちに心境や環境が大きく変わる
その時 足かせになるような存在にはなりたくない
それを思うと
あまり深入りせずに
ある程度のラインを踏み込まないようにするのが必要だと思う
たとすれば
栞は『彼氏』ではない
『大切な人』
これが一番しっくり来る表現だ
やはり
家族には言えない存在だと冷静に思う
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