第7話

「キョン、言っとくけどね」

 ハルヒは唐突に俺を指差した。

「活動再開後のSOS団の活動資金は、全額あんたの負担だからね。がむしゃらに働いてどんどん出世して、じゃんじゃん稼ぐのよ。いいわね?」

 とんだ団長命令だ。

 しかしながら、別に文句を言う気は起きない。SOS団の活動と称して、三人で一緒にあちこち出かけてようってんなら、喜んで活動資金を負担してやるさ。その為に毎日仕事を頑張ろうって思えるくらいだ。

 そこでふと、ある考えが浮かぶ。

「なぁハルヒ、一つ提案があるんだが」

「……提案?」

「ああ、提案だ」

「何よ? 平団員のくせに団長に意見するってことは、よっぽど有益な話なんでしょうね?」

一応そのつもりだぜ。少なくとも、俺とお前とハルキには、な。

「SOS団が再活動する時は、新しい団員を募集するのか?」

「そりゃそうよ。あんたも小泉君も有希もみくるちゃんも、昔みたいにいつでも動けるわけじゃないでしょ。自由に動ける若い団員は、ハルキ一人じゃ大変だから、なるべく多い方が都合がいいわ」

 さすが団長様、ちゃんと再活動後のことも考えてるな。

「そこで提案なんだが……」

 そう言ってゆっくり顔を近づけると、ハルヒは俺の顔を怪訝そうに見る。

 その表情を少しばかり堪能した後、耳元に小声で囁いた。


「これから、ハルキに続く未来のSOS団員をつくらないか?」


 一瞬の間の後、意味を理解したハルヒは急に顔を赤らめて

「ばっ、馬鹿じゃないの!? いきなり何言い出すのよあんた!?」

「ちょっ、そんな大きな声出すなよ。ハルキが起きちまうぞ」

「あんたが変なこと言うからでしょ! まったく信じられないわ何なのよもう!」

 早口でまくしたてたハルヒは、こちらの視線を避けるように流しの方へ向かうが、背を向けていてもどんな顔をしているのかは大体予想がつく。


 俺がお前に、好きだと言った時の、あの顔だ。

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