スイーツトリップ

雪夏 ミエル

第1話 古都響(コトネ)

 私は甘いものが好きだ。

 しょっぱいものも好きだけれど、甘いものを食べながら、ブラックコーヒーを飲むのが大好きだ。

 この世界には、様々な甘いもので溢れている。ショートケーキと一口に言ったって、それぞれ趣は異なる。そして、どれもまた良い。

 そんな私の一日の〆は、甘いものである。


 

 さて、今日はなに食べよう?



 本日の〆は、京都のお菓子。

 友人のお土産だ。『古都響』という、いかにも京都らしい名前。

 パッと見で、「ことひびき……?」と、なんだか四股名っぽいな、なんて思ってしまったけれど、古都響と書いて「ことね」と読むらしい。おや、一気に可愛らしい印象になった。

 マットな手触りの高級そうなパッケージは、五重塔と赤い鳥居がデザインされ、これまた古都、京都らしさ満載。そして、持ってみたらビックリ。大きさの割に、しっかりとした重みを感じる。抹茶サブレを抹茶チョコでコーティングした、お味もイメージしやすいポピュラーなお菓子なのだけれど、重みだけじゃなく、厚みもしっかりある。

 さすが関取……! と一瞬思ったものの、「いや、これはコトネ。コトネ」と打ち消した。それほどにしっかりとした一枚なのだ。

 中のお菓子は、松の枝をデフォルトしたような形なんだけれど、これは一体なにをモチーフにしたものなんだろう?

 形を不思議に思いながらも一口食べると――抹茶チョコレートの柔らかさと濃厚さ、そしてこれをコーティングと言っていいのかと思うほどの分厚さに、一気に心が持って行かれた。


 これ、美味しい!!


 サブレはサックサク。でも特徴的なのは、そこにたっぷりとコーティングされた抹茶チョコの美味しさ。

 このようなお菓子は、チョコが固くなってしまい、食べた時にサブレと分離してしまう残念さがあるのだけれど、これはそのようなことがまったくない。

 分厚いのに、柔らかくサブレを包む抹茶チョコは、サブレをしっかりと抱きしめており、離れ離れになることはない。お行儀悪くポロポロ零れることもなければ、サブレのサックリ加減もしっかりと守っているのだ。


 これは是非、また食べてみたいと思う一品だった。

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