184錠.落花


蕾のまま落ちていく花を見つめて


可哀そうね


なんて、笑いながら


まだ落ちない花の蕾を見つめて


諦めなさい


なんて、笑いながら


貴女は細くて綺麗なその指で花をむしり取る

貴女の細くて綺麗なその指が棘で傷ついても


一枚

一枚


愛おしそうに


花弁を剥がして棄てて


また蕾に手を伸ばす


可哀そうね

諦めなさい


笑いながら


座り込んだ貴女の周りには花弁が満たされていく


白いワンピース

赤い花弁

白い月


そんな夏の夜









  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る