昨日の今日で…

二十二時間前のの話だ。幸い、仕事場がその屋敷の近くだった為に見に行くことは容易かった。俺は何気無いような気持ちで足を運んだ。その気持ちとは裏腹に火事の被害は凄まじく…焼け跡からは無惨な死体が発見されたそうだ。



「見なければ良かったな……」

俺がそう呟くと背後から、嫌味ったらしい声が聞こえた

「嫌ですねェ、そんな目で人を見てたら、嫌われちゃいますよ?」

こんな現場を見て笑える訳が無いのだ。なのにケラケラと面白おかしそうに笑っていた。



「あ、申し遅れました。私の名は空蝉椎莵です。まぁ、今日は、ちょっとした?仕事でしてね……」

引きつった笑いで愛想笑いを返しながら

「俺は、隼崕湊人。単なる野次馬みたいなもんだな」


俺が溜息混じりにそう言うとその椎莵とか、言うやつは俺にこう言った…

「丁度良かった。実は私は、困っていたんですよ。」

そいつが言い出した言葉に自分の単細胞な脳は着いて行けず、困惑した。

「は?何言って!?……っ…………」

何故か俺は1度きりしか会った事の無い様な、見知らぬ奴に回し蹴りを食らわされた……。



そして今に至る。何故だか、鉄格子の暗くて嫌な気配しかないようなこの牢獄に囚われている。気配を悟られないように周りを見渡していると…耳に響く様な、声と足音と共に

「やぁ、囚人番号、802番君♪……」



「はぁ?」

困惑気味の俺の脳内はもう、何がなんだか分からなくなってしまった。

嗚呼……「初めてのあった時」と同じ様な、意地悪そうな笑を浮かべている。

俺が椎莵を睨むと…

「何時もその目をしていましたねぇ〜、そんなに、私が嫌いですか?」

言いぶりから、自分は何もしていない偽善者の様な、口振りに俺は怒りがこみ上げてきた。

「まぁまぁ、そう怒らずとも、今から状況を説明しますとも…」

俺はゴクリと喉を鳴らして、その胡散臭い奴の話を聞くことに…いや、聞かなければいけなくなってしまったのだ。今の状況下を明確に知る為にはコイツの話は重要だったから…



さぁ、此処から猛暑の夏の日の公演〜……

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