ガラスの靴のツンデレラ、ガラスの棺のいばら姫

壺中天

ガラスの靴

 

 夏の黄昏、六本木。白いシフォンに赤い靴。

 壊れたヒールをぶら下げて歩いてるツインテールの少女みかけた。


 裸足みたいにみえるけど、ガラスの靴でも履いてるのかな? 異人さんとかに連れてかれそう。


「おーい、そこの美少女。ナンパしていいか?」

 なんか危なっかしくて声かけてみた。

「その評価は嬉しい。だが、ことわる」

 偉そうだな、お嬢様。


何故何故なしてなんでや、おれ叫びムンク

「むろん、顔だが」


「が~ん、すごすごと引き下がろう」

 スニーカー脱いで渡した。匂うけど水虫じゃない。

「待て。次に、会ったらさそっていもいいぞ」

 呼びとめる彼女の白い足は、小さくてぶかぶかだった。


「本当か!」

 ぬかよろこび。

「断るがな」

 がっくし。


「……」

「諦めるな」

 無表情にはげますな。


「期待していいか?」

「よい」

 あ、すこし笑った。



 おれの手には壊れた赤い靴。

 それはそうとスニーカー返す気あるか。





 

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