愛されし夢

如月李緒

第1話 将来のユメ

『ぼくの将来のユメは』

 そこまで書いたところで、ぼくの手はピタリと動きを止めた。

 カチ カチ カチ カチ…と時間だけが過ぎていく。

「どうしよ……」

 ほとんど白紙の原稿用紙。

 ぼくは何も書けず、すぐに諦め自分のベッドに転がる。


 ───ああ、夢だ。

 目の前には数年前に死んだ父さんと、今ではいつも働きづめの母さん。そして、その中心にはニコニコと笑うぼく。

「パパ!これ、なんのサシン??」

「おぉ、この写真はな……」

 まだ小さかった頃の思い出。


 数日後、ぼくは美術館にいた。それは、学校行事の1つ、遠足によるもの。

 僕はふらふらと飾られている写真をみていた。

「───っ」

 その絵をみた時は、頭をおもいきり殴られたような気分だった。

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