カクヨム底辺ユーザーの僕が、なぜiTunesでオリジナル曲を配信する事になったのか

三文士

第1話 その経緯

「審査通ったってメール来たから、早ければ明後日には配信始まると思うよ」


一緒にバンドを組んでいるメンバーからきたLINEのメッセージを見ても、自分達の作った曲がiTunesで発売されるという実感は全く沸かなかった。


2016年10月16日。


僕は、オリジナル曲を発売する事になった。




「カクヨム底辺ユーザーの僕が、なぜ iTunesでオリジナル配信をする事になったのか」


こんな物々しいタイトルをつけている当エッセイだが有り体に言ってしまえばiTunesなんて誰でもオリジナル楽曲を配信する事が可能なのだ。


自分で納得できるレベルの楽曲。


最高にイカしたジャケ。


少々のお金。


そして、批判も覚悟の上でリリースするという勇気。


これだけあれば誰だって、今すぐオリジナル曲を配信できる。インディーズ配信を仲介してくれるサイトは世の中にゴマンとある。試しにGoogleに訊ねてみると良い。


では何故カクヨムで細々と小説を書いている僕が突然曲の配信なんぞし始めたのか。


実は、順序は逆である。


音楽活動の一環として、小説を書いていたのだ。


元々は高校を卒業してからずっと音楽をやっていたのだが、僕個人ののっぴきならぬ事情でしばらく活動を縮小せざるを得なくなった。当分ライブ活動は控えないとならない。でも、せっかく録りためた楽曲たちをこのまま埋もれさせてしまうのは心苦しかった。何の為に貴重な人生の時間を使ってあれやこれやと試行錯誤してきたのか。人に聴かせる為じゃないのか。


何か、何かできる事があるはずだ。ライブやレコーディングができなくても、何か自分の音楽の為にできることがあるはずだ。僕は足りない頭で必死に考えた。


その結果一つの答えに行き着いた。


「そうだ、小説を書こう」と。


あまりにも意味不明過ぎると、皆さんは思うだろう。僕もそう思う。だがちゃんと理由がある。


きっかけはTwitterだった。音楽アカウントで始めたTwitterだったがその拡散力にはいつも圧倒されていた。しかしなかなかフォロワーが増えない。手当たり次第にフォローしまくっても誰も自分のツイートを拡散してくれない。フォロワーが少ないと拡散力も低い。いわゆるアルファと呼ばれる数千人以上のフォロワーがいるユーザーになるには、相当のセンスと努力。そして膨大なログイン時間と運が必要だった。これに時間を費やすのはあまりに無謀すぎる。しかしいざ曲を発売するとなった時に拡散してくれるフォロワーが必要だ。ライブをしなくてもYouTubeで曲を聴いてくれるオーディエンスが必要だ。


何か毎日細々と続けられてフォロワーを増やしていける方法はないだろうか。


その結果まず「小説家になろう」に行き当たった。Twitterには小説を書いているユーザーが数多く存在していて大概が「なろう」に登録していた。しかも彼らは同じサイトに登録している者同士だったら九割無言フォローでもフォローを返してくれる。アルファでなくても千人以上のフォロワーがいるユーザーはざらにいた。しかも作品のリツイートをバンバンしてくれる。アクセスしてくれるかは別にしても宣伝効果はありそうだった。


しかもボカロPやニコ動の歌い手など、様々な畑違いの人たちの作品も時折タイムラインに上がっている。


これならいける。幸い小説は書いた事はなかったが読むのは好きだった。


と言った具合に実に安直な考えで「なろう」に登録を済ませ小説を書き始めた僕だったが、気がつけばいつの間にか歌詞を書くよりも小説を書くほうが楽しくなってしまっていた。本末転倒を見事に体現した男がいかにして再び当初の目的を思い出したのか。


それはまた続きで。ひとまず最後まで読んでくれてありがとうございました。


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