勝敗!

 水を張ったボールの中には一匹の金魚が泳いでいた。

 私は、あの小赤に勝ったのだ。

 しかし――


「お嬢ちゃん、残念だったね」


 ―—店の親父は、私のポイを見てそう言った。


 今、私が手に握る私のポイには、大きな穴が空いている。

 あの小赤は、私のポイと心中を決め込んだのだ!

 私の紙ポイには、もはや一割もすくえる部分が残っていない。

 これでは金魚すくいを継続することは不可能だろう。

 つまり、試合ワンゲームの終了を意味していた。


 私は、私に敗北を教えたあの小赤を打ち取った。

 しかし、彼奴は自らを私に差し出すことで、仲間がすくわれることを阻止したのだ。


 私は、もう金魚をすくえない。


 支払った100円という金額。

 それに一匹だけの金魚が、果たして対価として釣り合うだろうか?


 そう自分に問いかけた時、私は彼奴に勝ち、そして同時に負けたのだと悟った。

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