終業式、および、エピローグ

「素晴らしいラブソングでした!お姉様の声で愛が奏でられる曲を聴く日が来るなんて…」

「歌詞はもちろん、マキノのカレンに対するイメージを意識したからね」

「ぐっじょぶだわ、霧島雪夜!」


 いやあ、ラブソング作るのは初めてだったから、正直あんまり自信なかったんだけれども。良かった良かった。


「くっ…出来がいいから無下にもできない…」

「お姉様、先にログアウトするあたしの方から、マネージャに提出しておきますね!」

「あ、ああ…他の曲もよろしく…」


 本日は終業式。といっても、入学式のような式典は行われず、HRを兼ねて教室で挨拶があるだけだ。

 その挨拶も、担任AIの


「気をつけて帰省しろよー」


 だけだ。成績が配られるわけでもないしな。


「ユキヤさんは3月いっぱい滞在ですか?」

「ああ。まだちょっと見てないところがあるし、こっちにいる間に報告書をまとめておこうと思って」

「報告書?」

「一応、現地支援の立場だったからね。問題点とかいろいろ文書化しようかと。まあ、辺境コースの後に送った感想やコメントと同じような体裁になりそうだけど」

「あれ、面白かったです!今回も読ませてもらっていいですか?」

「あ、あたしも」

「あんなのでよければ…っと、ん?」


 運営からメッセージ…?


「珍しいね、運営からなんて。しかも、終了ログアウト時刻直前に」

「それが、そうでもないんだよな。この間も…え!?」

「どうしたの?ログアウトできなくなったとか?デスゲーム?」

「マリナはアニメの見過ぎ。…いや、向こうにとってはそうなのか?でも、うーん…」

「早く言いなさいよ。何があったの?」


 運営からの、割と長いメッセージ内容を流し読みして、俺はつぶやいた。


「これはさしずめ、『冒険コースの辺境化』ってところか?」

「「「「…え?」」」」

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