OITA

小暮悠斗

第1話

 日本には毎年台風が上陸し、地震も頻繁に発生する。天災の国と呼んで差支えないだろう。

 だから毎年台風、豪雨、地震などなど様々な理由により教育機関は休校を余儀なくされる。

 受験シーズンに台風が直撃して休校。台風によって齎された豪雨により川が氾濫し、休校。氾濫した川の水が校内を水浸しにしたため休校。降り続いた豪雨のため地盤が緩み土砂災害の可能性があるため休校。様々な理由で一週間もの間休校が続いた。

 

大学受験を見事に突破し、地元を離れて私は九州は豊後の国―大分県へと足を踏み入れた。

 本州出身の私は唖然とした入学早々台風が九州上陸。大分県を掠めるに止まった。しかし、ひと月も経たないうちに再び台風が上陸。今度は大分県を横断した。

 テレビに映し出される沖縄、鹿児島の両県は横殴りの豪雨の中大きく靡くヤシの葉や根元から折れた街路樹が公道を塞ぎ渋滞を引き起こしていた。

 テレビに映る気象予報士は明日には大分県にまで勢力を伸ばすと言っている。

 慣れない一人暮らしに疲れがたまっていた私は休校となることを確信し、眠りについた。

 

 五時間の睡眠を経て目覚めた私は大学からの連絡を待っていた。

 休校になる場合は講義が始まる三十分前には大学からの連絡があるはずなのだが……。

 時計の針は講義が始まる五分前を指していた。

 あれ、もしかして休校じゃない!?

 

 ノーメイクで自転車のペダルを全力で漕ぐ。

 大学に着いた私の頭は寝癖の有無が分からないほどに乱れていた。

 講義開始まで残り一分。

 階段を駆け上がり扉を開けると教授が待ち構えていて私を見据えていった。

 「大分は災害に強いからね」

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