YESかNOか?賢者の手に委ねられる未来の行方に、幸があるのだろうか?

 当たるも八卦、当たらぬも八卦。いや、そんな悠長な占いでは無かった。
 〇か?×か?YESか?NOか?全身全霊を掛けた究極の二択。
 回答率100%の占いには訳があった。

 これは、天涯孤独なフリーターが見知らぬ人と巡り会い、不思議な占いの能力を使う物語。

 それは神から贈られた能力=「ギフト」。それは「賢者の手」という摩訶不思議な能力。

 その力を巡って、主人公は何を語るのか?


 流されるままに現状を受け入れ、天涯孤独だった人生に、唐突に人のふれあいと温かさを感じた一茶。しかし、与えられた不思議な能力には代償が必要。何を得て、何を失うのか? まさに等価交換。お金とモノの関係同様に、現代ではお金で物を交換出来ますが、本作では情報を体の一部で交換するとしたら?
 自らの体の一部を提供する程の信用と信頼はどこからくるのでしょうか?

 様々な思惑からの欲望と執着。失意からの希望と温かな人との交わりに、最後の賭けに奇跡は起きるのでしょうか? 人の闇を照らすのは、やはり愛情なのでしょうか?


 緩急のあるストーリーに自分ならどうするのか? 考えてしまいます。
 「自己犠牲」の精神は怒涛の如く淡く悲しいラストへと誘いますが、どんでん返しのハッピーエンドに心救われ安堵します。

 物や、幸せの価値観とは、一体どこで線引きがあるのでしょうか? 自分自身にとって大切なモノとは? ふと考えてしまいました。





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