01-6

 結婚とは、本人たちが了承の上で、内縁と言う形もあるのだが、法律的に結婚するのには書類の提出が必要だ。

 嘉寿はその書類を作成したが、まだ提出をしていない。

 昼間は学校があるし、帰ってからは親を回避しながら維持しなくてはいけないことがある。

 しかし、それは本当の理由ではない。結婚記念日をこの男は決めているのだ。その日に提出するのだ。

 その日まで、鍵付きの部屋の鍵付きの机の引き出しにしまわれている。

「起きよ。起きろ、かず。朝だよ、起きるんだ」

 いつもの目覚まし、いつもの目覚め。起きて、CDを最後まで堪能する。

 そして、親に嘉寿と名付けてくれたことに心の底から感謝を捧げる。「神姿るみなの七転抜刀」の主人公の名前はかずと呼ばれている。

 まさに、神の啓示としか思えなかった。だから、ゲームやアニメから声をとれば、すべてが自分へのささやきボイスに早変わりだ。

 全部聞き終わった後、ベッドから体をおこし、体を伸ばす。そして、るみなの抱き枕に熱い抱擁をする。

 今日は体育のない日だ。パジャマを脱いでクローゼットを開けてプリントシャツを物色する。

 そして、それを颯爽と着込むと、上に学校指定のシャツを着て、学生服を着ていく。もし万が一、制服チェックに引っかかっては問題なので徹底的に制服に関する規則校則を調べ、今では一分の隙もない制服の優等生だ。

 持ち物検査も引っかかったことはないし、これからも引っかからないだろう。そういうものを持ち込まないからだ。

 見た目イケメン、服装清廉潔白、成績優秀、人現関係良好。自分を守るためとは言え、対外的に優等生だ。去年なんかクラスの連中に危うく生徒会長に推されるところだった。

 部屋の姿見の前に立ち、自分の姿を確認すると昨日、ベーゼを捧げたのとは別の写真立てにいってきますと手を振った。

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