第11話 健康体



『健康体』


 夕暮れが過ぎて夜になると、メイドの一人の動きが悪くなる。

 腰辺りにしがみついたそれが昼間の猫の様な鳴き声で鳴いた。


「ご主人様ー、眠いですー」


 このメイド。使えない

 呆れを通り越して、思った。

 健康過ぎる。


「日が沈んじゃうと、私眠くなっちゃいます。すー……」


 寝るな。離れろ、重い。

 歩行する進路ぐらい自分で決めろ。

 ご主人に運ばれるメイドがどこにいる。

 ここにいたか。


「すー……」

「夕食抜きにするぞ」

「はぅっ、寝てません。寝てなんかいませんよほんとです!」


 涎が出てるぞ。


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