番外編 とある護衛の手記より

とある猫の回想録  プロローグ

「猫だ……。ゴミじゃなくて猫だ……」

 初めて聞いたあの人の言葉を、俺は思い出す。

 うっすらと眼を開けると、そこにはとびきり美しい少女がいた。

 煌めく氷のようなアイスブルーの眼に、雪を想わせる白銀の髪。そして、整った顔の両脇には柔らかそうな猫耳が生じている。

 女神さまだと思った。

 俺たち猫が仕える女神フレイヤさまが、俺を雪の中から救い出してくれたんだ。

 嬉しくて俺はみゃあと鳴いていた。そんな俺に女神さま微笑んでくれる。

 花が咲いたようなその笑みに、俺はいつまでも見惚れていた。

 これが俺の初恋。

 その後、この小さな女神さまが男だと知り俺の初恋は無残にも砕け散る。

 そして数年後に、彼は天然ジゴロかつ超絶鬼畜猫耳王へと成長するが、それはまた別の話。

 ここでは、俺レヴ・クラスティ・オーブシャッティンサンとその主カット・ノルジャン・ハールファグルの幼少期の話をしようと思う。

 これは俺と陛下が出会って間もない頃の話。

 俺が義父であるオルム・クラスティ・オーブシャッティンサンと出会った頃の話だ。

 


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