トマト

望んでこうなったわけではないのに


いつの間にか誰よりもあったものが消えてく


電車で置いていった忘れ物が


私が進む道の終点でいたずらに預かっている


どれ程、傷ついたのだろうと古傷に新たな傷が降ってくる


汚れたランドセルですら、ボタンがとれた制服ですら、跡が残る手首ですら


癒せてないのに


裏切られた心が、馬鹿にされた心が、騙された心が


植え付けられていく


人生の間で傷むトマトの匂いが土臭く


アスファルトで車に潰されていく

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