第3話 問い詰めて、問い詰めて、問い詰めて。

「優奈、何いってんの?何のことだよ。」

少しキレ気味で紘介が言ってくる。

顔はいつもの笑顔なんかじゃない、歪んで、真顔で…

紘介じゃないみたい。


私はつないでいた紘介の手を紘介の目前に引っ張り、着ていたシャツの袖を引っ張った。

「ちょっ…!」

紘介の左腕は、真っ赤だった。

切った跡が腫れていて、かさぶたすらできていなかった。

辛うじて血は出ていないが、ゆうに30本以上はあるだろう。

「もう弁解できないよ、紘介。ちゃんと話して。」

「ただ、ペットに引っかかれただけさ。優奈も知ってるだろ、俺んち猫飼ってるじゃん、遊んでたら怒ってからさ、全くだよ…」

「嘘、つかないでよ。」

いつになく冷たい私の声に、紘介も驚いたようだ。


「それ、リストカットでしょ。悩みがあるなら、話してよ。

私だって…紘介の彼女なんだからさ。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る