第一話 親指立ててヒッチハイクだ!!


 アタシは澄み輝く明るい黄色の空に向けて思いっ切り右腕を上げると、その親指を全力で天に向けて掲げていた。目の前には車道! 何をしてるかっつーと……。


「ヒッチハーイクッ! ヒッチハイク! ヒィィィッチハィィィックッ!!」


 全力で叫ぶ!! 車よ、止まれ! 止まれっつってるだろーっ!?

 

 ……――その時、目の前をトラックがあっさりと通り過ぎた。

 アタシに対して、全く、一切、ピクリとも反応しねえ……。


 ちなみに今ので二一台目――ちっくしょー!!

 何だよ、何だよ、何だよっ!!

 メチャクチャ車の数が多いのに、全然、誰も止まらねえしっ!!

 

「バカヤローッ!! 止まりやがれ! 乗せろっての、全くもうっ!!!」


 アタシは地団駄を踏んだ! 

 どっちっくしょーっ! 何だよ、何だよ、女だからって馬鹿にしてんのか!? 

 あ。そうか! 

 多分アピールが足りないんだな、アピールが!!


 よーっし…………じゃあ、こうしてやるぜーっ!!



◆◇◆



 俺の名前はジャクソン=ビル――一介のしがないトラック運転手だ。

 今、俺は国道一三号線を北に向かって走っている――積荷は林檎だ。

 窓から見える三つの太陽が紫色に輝く明るい黄色の空には、呑気な雰囲気の雲が漂ってる。


「ヒヒヒヒヒヒチチチチチハハハハイイイィィィイイクウゥゥゥゥ……!」


 暫く走っている時、何かの音が聞こえた――。

 ……な、何だ!? 一体何の音だ……っ!?


「ヒヒヒヒチチチハハハイイイイイイクウウウウゥゥゥ……!!!!」


 音は左から聞こえる――俺は視線をそっちに向けた。

 そして俺は口を大きく開けて固まる他なかった。


 そこには異常に上下左右に凄い速度で動く、訳の分からないピンクっぽい物体があった。焦げ茶色に爛々と輝く無数の輝きが俺に向く――。


 あ……あああああ……っ!?

 な、何だありゃあああああっ!?


「匕ヒヒヒチチチチチチチハハハイイイイクゥウゥゥゥゥゥゥッ……!!!」


 その化物の前を通り過ぎた――その時だった、そいつは……。


「匕ィィィィイイイイッチハイイイイイイクウウウゥゥゥッッッ!!!!」


 そう叫びながら、猛然とした勢いで俺の乗るトラックに向かって走ってきやがった! 速い! 何てスピードだ!!


「う……うわあああああああッ!!?」


 俺は思わず叫んだ――あんなの見た事ねえ!

 間違いねえ、新種の魔物テネブラーエだっ!!!

 ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ! こっ、殺される……っ!!

 俺はアクセルを踏んでトラックに加速を掛ける!


 しかし、怪物はどんどん俺に近付く――そして上にジャンプした!


 「匕ッチイイイイイイイハイクウウウウウウウウウウゥゥゥッッ!!!」


 声が上から落ちてくる――そして運転席の全体が揺れ動いた。

 フロントガラスの上から何かが現れる――。


 それはサカサマの、焦げ茶色の猫の瞳を強く光らせる、褐色の肌をした、ピンクベージュの髪に猫耳を生やしている、一八五cmぐらいの背丈を持つ女の顔だ。歳は若く、二〇代にもなってない様な雰囲気である。

 てか、え……ええええええええ!? な、何だ、何なんだ!?


「匕ッチ……ハイクウウウウウウウウウウウウウウッッ!!!!!!」


 女の両手がフロントガラスに掛かって――そしてそこにヒビを入れる。

 

「乗せろや、こんちくしょーーーーーーーーっ!!!!」


 女はカッと目を見開いた――猫の瞳の瞳孔も同時に大きく開く。

 そして女はフロントガラスに凄まじい速度と勢いで、非常に素早い頭突きを何度も何度も何度も何度も繰り返す!!

 

 打撃のせいでヒビは大きくなり、今にもガラスは割れてしまいそうだ。

 凄まじい恐怖が俺を襲う――俺は口を大きく開き、思わず叫んだ!


「う……うわああああああッッッッ!!?!?!?」

「乗せろやああああああ! 乗せろやあああああああっ!!!」

「ひいいいいいいっ!? お助けっ! お助けぇぇぇっ!!」

「アタシを乗せろおおおおお!!! 乗せろおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


 こんな怪物を乗せたら、俺はどうなるんだ!?

 きっと食われるに決まってる! 

 アクセルを俺はベタ踏みした――。


 こんな所で殺される訳にはいかない!!

 俺には可愛い女房と子供達がいるんだ!

 ああっ! 神様!! どうかお助けを~~~~~っ!!!

 

 俺は何も考えずに反射的にハンドルを左に切った――。

 その時だった――俺は身体中に浮遊感が生まれるのを感じた。


 何でだ!? 

 ん……そうだ、この感じ――宙に舞ってるんじゃないか!?


 俺――まさか空を飛んでる!?



◆◇◆


 

「……成る程。本当に車上強盗目的ではなかったんですね?」

「てか、初めっからそういってんじゃん! アタシはヒッチハイクがしたかっただけなんだって!!」


 道路の路肩を越えて、その向こうの地面にトラックが顔を突っ込んでる。

 荷物の林檎は辺り中に散乱し、それに乗ってたトラックの運ちゃんらしきオッサンは意識を失って、担架に乗せられて救急車の中に入ってった。

 アタシはというと、両手首に手錠を掛けられ、パトカーの後部座席に座らされてる。目の前には左胸に銅色のライオンの刺繍が施された黒っぽいカーキ色の制服を着た、アタシより頭半分背が低い黒い肌の女性が座ってた。

 彼女は〈契約の騎士〉レオン・ナイト――階級的には銅位だ。結構強そうな雰囲気がある。

 彼女は顔を左に向ける――そこにはフレイムオレンジ色の肌をしたライオンの子供が座っていた。ソイツは口を開く。


「ファイアン、どうですか?」

「ああ、アナベル。彼女は本当に嘘を吐いてないな――純粋にヒッチハイクをしたかっただけの様だね」


 ライオンの子供は可愛らしい声を発した――。

 すっげぇ可愛いなぁ。ああ、超撫でてみたいなぁ~♡


「それで、どうして貴方はヒッチハイクをしていたのですか? その理由を仰って下さい」


 アナベルって名前を呼ばれた黒人の銀位の騎士は、ベルトポーチから手帳と万年筆を取り出す――。その仕草はすっげー気取ってて、何かヤな感じだなぁ……。

 てか、理由……かぁ。あんま無関係な奴に聞かせたい話でもねーけど、黙ってたらマズい事になりそうだよな。こういう時の勘は、アタシ、結構当たるんだよ。

 しゃーねーな。喋っちまおう……。

 アタシは息を軽く吐くと目を閉じ、頭の中から思い出を引っ張り出したのだった。

 瞼の裏に、白い髪と褐色の肌と澄んだ栗色の瞳を持つ、アタシより三つ歳上の男――ダチ公のオスカーの笑顔が浮かぶ。


 そう――アタシはアイツに逢いたいから、親指立ててヒッチハイクやってんだよ。



◆◇◆



 スカッと晴れたいい天気――アタシは鏡の前で自分の姿を眺めた。

 そこにはアゴラン王国の王立自由騎士団フリーボーン・ナイツの制服を着ている自分の姿が映ってる。

 それは白いマント&濃いめの赤色をした軍服で、左胸に四つ葉のクローバーを咥えたツバメを中に入れた盾枠エスカッシャン紋章の白い刺繍が施されている。

 ちなみにこの紋章は、アゴラン王国の紋章だ。

 っちゃい頃からずーーーーっと憧れてた制服! ようやく着れた!

 うーん、アタシってば、超カッコイイぜ~!! へへへっ♪

 アタシは顔を正面に戻した。

 親父譲りの焦げ茶色の瞳と、そしてお袋譲りのピンクベージュ色をした髪と猫耳が見え、そして自慢の同じ色をした猫の尻尾が楽しげに揺れている姿が見える。

 へへへ♪ テンション上がってるぜ!

 そん時、部屋のドアが優しい感じでノックされる――。

 

「ベッキー=バーバラ=バートランド君。準備はいいかな?」


 のどかな響きをした男の声――アタシが通ってる学校の校長先生だ。

 彼は好き勝手やってたクズなアタシを、六つの頃から丸一二年、ずーっと暖かく見守ってくれた恩人だ。飯を食わせてくれた事だって、一◯回や二〇回どころの話じゃない。この人にゃ義理がある――。


「うっす! いいっすよ、校長先生!!」


 ドアが開く――そこから白い髭を生やした豹の顔をした男、校長先生が笑いながら顔を見せる。


「おお、凄いな! ははは――これで君も、一人前の女騎士レディ・ナイトになったんだな。本当におめでとう」

「いやいやいや、先生のお蔭っすよ! マジで感謝っす!!」

「いやいや、私は何も大した事はしとらんよ――そうそう、そう言えば君のお母さんは? 姿が見えないのだが……」

「お袋っすか? 具合は悪くして寝てるんすよ――今はアガサ伯母さんが側にいる感じっす」


 アタシのお袋――女手一つでアタシを育ててくれた、世界で一番大事な人だ。

 だけど、そんなに身体が丈夫な人じゃない。

 特に最近は持病が悪化してて、すっごく体調が悪い――これからはアタシがお袋を支える番だ!


「おーい、ベッキー、いるかー?」


 古馴染みの皆の声がした――アタシは口を開く。


「おう、いいぜ! 入れよ!」


 ドアから身長二mの、頭に短めの牛の角を生やした、褐色の肌をした男、アタシのダチの一人であるブランドン=オルコットだ。


「んじゃ、入るぜ――おおっ! すっげえな、ベッキー! おい、皆、見ろよ!! ベッキー、マジでヤベエって!!」


 ブランドンは後ろを向いた――そして、アタシのダチの皆が一斉に部屋の中に入ってくる。皆、男ばっかりだ。


「うわ~、マジで騎士になったんだな~……」

「わおっ! すっげえなベッキー!」

「ベッキー、任官試験合格、おめでとうな!!」


 アタシは気恥ずかしくなって、右手で頭を掻いた――。

 そんなに褒めるなよ! 照れるだろーが♪ へへっ!


 ――と、アタシは皆を見渡した。

 あれ? ――。


「あれ……? おい、オスカーの奴は? どこ行ったんだ?」


 ブランドンの奴が口を開いた――。


「オスカー? ああ、だったら家の方じゃねえか? 魔術ウィズ・スキルの練習でもしてんじゃねえのか?」

「あっ、そうか――へへ、じゃあ、ちょっくら行ってくらぁ」

「おう。祝賀会は一六時からだからな~。忘れんなよ!」

「ああ、分かったぜ!」


 アタシは部屋を出ると、今いる場所――ハドソン村の集会所を後にしたのだった。



◆◇◆



 一〇分程歩いて、アタシは村の北の端にある低い山の中腹に向かった。


 グネグネした道を昇っていくと、そこには、そこそこデカイ二階建ての家が見える。そこはアタシのダチの一人、オスカー=アップルトンの家だ。

 箒の音が聞こえる――家の前で、同じ顔をした、頭に兎耳を生やし、兎尾を尻から生やした赤茶色の髪をした背がっさいメイド二人が掃き掃除をしていた。エイミー=キキマイ=ファーカーにアンジェラ=キキマイ=ファーカー。歳はどっちも一五。彼女達は双子の姉妹で、二年前から、ここんで働いてる子達だ。


「おう、エイミー、アンジェラ!」


 アタシの声を聞いた二人は振り返り、そして驚いた顔になった。

 何だか楽しくなって、コッチも笑っちまう――。


「あら、ベッキーじゃない! その格好……あ! アンタ、自由騎士フリーボーン・ナイト試験に合格したのね!?」

「凄いわ、ベッキー、おめでとう!! よく頑張ったわね!!」


 二人の真っ直ぐな褒め言葉に、アタシは頭を右手で掻いた。顔が熱くなっちまう。

 メッチャ嬉しいぜ~♪ いや~楽しいなぁ♪


「へへっ、あんがとよ! あ、そうだ。オスカーの奴、いる?」

「オスカー様? ちょっと待ってて。エイミー、彼女にお茶を出しておいて。私はオスカー様を呼びに行ってくるから……」

「分かったわ、アンジェラ――ねえ、ベッキー、ハーブティーとアールグレイの2つがあるんだけど、どっちがいい?」

「ハーブティーがいいかな? あ、そうだ。クッキー食いたいけど、ある?」

「ええ、あるわよ――」


 エイミーは笑いながら頷いた。

 よっしゃ! ここの家で出されるクッキーはマジで美味い!

 どんくらい美味いかっつーと、アタシの好きな食い物リストの上位3位に入るレベル! アタシは鼻歌交じりでスキップしながら、エイミーの後を付いてったのだった。

 クッキー、クッキー、クッキー♪ ふん、ふふん、ふふふ~ん♪

 ああ~! 早く食べたいっ! マジで楽しみだぜ~♡



◆◇◆



「そうか――そんなに容態が悪いのか」


 僕は薄暗い部屋の中で口を開いた――。

 自分の目の前には、右膝を立てて跪く、黄色いローブを身に纏い、目深にフードを被った人物がいた。


「はい――挙兵の時は、そろそろ近しい事でしょう」


 男の声がそう告げる――。

 僕は胸の奥に溜まった息を吐いた――そして笑った。


 そうか――そうか……。

 僕の……いや、『俺』の義兄を殺し、母を殺し、姉を奪ったあの男が――。

 弱り果てて……死が近いとはな!


「くくく……ははは……!! はははは……!!!」


 愉快だ! 何て愉快なんだ! ああ、楽しい笑いが止まらない――。

 自分でも信じられない程に笑いが止まらない。


 ああ、愉快にも程がある。笑い死にしそうだ!

 こんなに嬉しい事があっただろうか!!


 六歳の頃から、一五年間――こんな日が来るだなんて!

 ああ、実に楽しい! 楽しい! 楽しい!!


 心の高揚を表に出さない様に、笑い終えた『俺』は慎重に口を開く――。


「跡継ぎは誰だ――やはり、か?」

「はい――です」


 そうか――他の王族連中ではなく、やはりあの女をか。

 さて、どうしてくれよう――。

 彼女は姉の『忘れ形見』だ――たった一人残された『俺』の家族。

 だから殺すのは忍びない――そして何よりも、彼女は


「……は母親の身分の事から、元々宮中で人気がない――。追い出される様に仕向けろ。さすれば、残った連中にを投下してやるだけでいい。そうするだけで、大混乱が発生する事だろう。我らが事を起こすは、それからだ」


 そして、担ぐべき神輿としてが相応しかった事を、どいつもこいつも悔やみながら死んでいく様にしてしまおう。

 『俺』は奥歯を噛み締めた――怒りの焔が頭の中に、心に、身体中に満ち満ちていく。拳を全力で『俺』は握り締める――。

 王族め……あの男の悪行邪業あくぎょうじゃごうに加担した事は決して許さない――この世に生まれ落ちた事を悔やむ様な最後を迎えさせてやる。

 必ず……必ずだ!!


「は――では、その様に」


 黄色いローブの男は立ち上がり、『俺』に頭を下げると、部屋を退出していく――扉が閉まった。

 丁度、その時だ――部屋に近付く気配を感じる。

 この感じは……恐らくはアンジェラだな。

 『俺』は母の形見である白い半透明の結晶で作られた、長さ三〇cmの魔術杖マジステッキを手にし、振るった――。


♫・Poilda Poilda Nnbavad Syusyuco――.(風よ 風よ 音の妨げを 解け)


 古代ミュンショ語の魔術展開呪文ウィズ・スキル・ソングを『俺』は歌う。魔術杖ウィズステッキは光り輝き、部屋中に張り巡らされていた不可視の風壁は取り払われる。それは防音の魔術――『俺』が得意とする、『音の魔王』カルージ=アイトラとの契約で得た、音を操る風の魔術ウィズ・スキルだ。そしてアンジェラは黄色いローブを着た男が退出した所とは違う扉を四回ノックし、それを二回続けた。


「お寛ぎの所、大変失礼します。――オスカー様、ベッキーが来ています」


 『俺』は驚きに目を丸くした――そんな、彼女がこっちに来るだなんて!!

 歓迎会の時に行けば逢えると思っていたから、完全に予想外だ。

 ああ、まずいな――下手をするとこの部屋を覗きに来るかも知れない。

 俺は慌てて部屋を片付け初めた――。

 この部屋には『俺』の計画を記した書類、『部下』や『仲間』との間で交わした書簡類、その他諸々、『俺』の企てが書き記された物が壁に貼り付けてあり、そして部屋の中央にあるテーブルや、筆記机の上に広げられている。

 大急ぎでそれらを回収して『秘密の場所』に全て放り込むと、『俺』は右拳に仰々しい咳払いを落とす――そして息を吐いた。

 胸の中心が妙に強く鼓動してくる――ああ、ベッキー! 君のせいだ!!

 『俺』の最も愛する人――こんなにも早く逢えるなんて!

 ああ――どんな風になったのだろう。

 『俺』にどんな顔を見せてくれるのだろう。

 ああ――ベッキー! ベッキー! ベッキー!!

 『俺』に生きる勇気を、そして立ち上がる力をくれた愛しい人よ。

 これは運命――間違いない! 運命、運命、運命だ!!

 やはり彼女と『俺』は結ばれる運命だったのだ。

 よし――決めた。決めた! 『俺』は決めた!!

 ならば、何がなんでも成し遂げねば。

 義兄の報復の事もある、母の復讐の事もある、姉の雪辱の事もある。

 だが最も大事なのは、ベッキー、君を幸せにする事だ!!

 ああ――愛するベッキー!! 大好きなベッキー!

 ベッキー=バーバラ=バートランド!!

 待っていてくれ! 究竟くきょう 

 それが『俺』の一番の夢だから!

 ああ、ベッキー!! 君を愛してる! 愛してる! 愛してる!!

 だから共に至ろう! 共に至高に! 遥かな高みに!!


「ああ――分かったよ。ありがとう、アンジェラ、今、行こう」


 『俺』はアンジェラに返事をした――声の調子は昂ぶった心に引きずられる事はなかった様だ。震えもなく、不用意に上ずった調子でもない。普段通り平静だ――。

 しかし、女性は些細な事から全体の事実を見抜く眼力を持っている事が多い。

 最大限用心しないと――ベッキーに抱いた『俺』の恋心の事もそうだが、について微かな証拠を掴み、それが破綻に到る事を避けねばならない。

 古来より、何も知らないメイドや女性が思わぬ形で謀議の証拠を見抜いて掴み、結果、それが端緒となって、様々な計画が破綻に追い込まれる事は多い。

 ただでさえ、男は女性に比べると、元々がとても粗雑な部分が多い。そのせいで配慮・神経の細やかさ・視野の広さ・観察力という点では、男は女性に全く太刀打ち出来ない――微かな事でも女性からは訝しがられると考え、慎重に慎重を期すべきだ。

 『俺』は頭の頂点から両手足の爪先に到る隅々にまで神経を行き届かせた――。

 そして椅子に座り、肩甲骨を寄せて背筋を伸ばし、肩から力を抜き、目を閉じて呼吸をする――異邦人の国ウィキーニア・ゲンマから来た、ソートーシューなる教義を奉じるゼンソーという名称の異邦人ホーモ・ウィキーニアの神官から教わった、ゼンの呼吸法だ。

 舌先を上顎の歯の裏に着け、素早く鼻から深く息を吸い、吸った時よりも倍以上の時間を掛け、ゆっくりと静かに、細長く息を吐く――。

 それを五分程繰り返した。頭の中心に白い光が集まっていく様な気配を感じる。

 思考が静かになり、昂ぶった心臓が次第に落ち着いてくる――。

 よし。これでいいだろう――これできっと、彼女達に感情を悟られる事はない。

 『俺』は椅子から立ち上がる――そして服を着替える為に、クローゼットに向かう。さてと――『彼女の友人』という演技をする用意を整えるとするか。

 姿見鏡の前に立ち、上着とシャツを脱いだ――。

 そこには右胸から左脇腹に掛けて、大きな斬撃の傷跡が残っている。

 これは『あの男』によって付けられた傷だ――。

 『俺』は笑った――愉快な出来事が今日は本当に多過ぎる。

 今日という幸運な日を過ごせる事を、俺はブリタリオン大陸創生の女神ブリタリア=ブリトンに心から感謝したのだった――。


 

◆◇◆



 うおおおお! チョー美味え! マジで美味え!!

 応接間に通されたアタシはクッキーをひたすらに頬張った! 

 あー! 美味い! 美味過ぎる!! マジでたまんねえ~♡

 どうしてここのクッキーは、こんなにも美味いんだ!?

 よく分かんねえけど、美味いからいいか! へへっ♪


「ベッキー、もうちょっと落ち着いて食べたら? 喉に突っかえるわよ?」


 エイミーがハーブティーを上品な作りのカップに注ぎ、それを俺の前に置く。それを俺は一気に飲んだ――うん! こっちも美味え!!


「てか、二人が淹れてくれるハーブティーって、いっつも熱過ぎないよな? 何で?」

「熱いお湯を使ったら、苦味が強く出て味が悪くなるハーブもあるの。だからハーブティーを淹れる時は、使うハーブによって、お湯の温度を変えないと駄目なのよ。特に甘い味のハーブを使う時は低い温度で淹れた方がいいんだよ、って……アンタ、アタシより三歳年上でしょう? そういうのって知らないの?」


 うへ~……怒られちまったぜ。

 エイミーとアンジェラって、アタシより年下なのに、何か母さんっぽいつーか。姉貴? そんな感じがする。そういやアンジェラとエイミーって、下に弟とか妹とか結構いるんだよな? だからなのかな? そんな風なのって。


「あっそう? ふーん。そうなんだな――」

「アンタってさ、本当に男の子みたいよね――何かさ、弟相手にしてる時思い出すよ」

「え? そう?」


 まあ、確かにいわれてみると、アタシ、ガキの頃から男の子としかツルんでねーよな。女友達っつーと……うーん。思い浮かばねえ。二人の従姉妹とアンジェラとエイミーくらいしかいないって感じだぜ。

 そん時、扉が開いた――。

 そこから白い髪、褐色の肌、澄んだ栗色の瞳を持つ、背はアタシより頭一つ分高い男……オスカーの奴が顔を見せる。アイツはアタシの顔を眺めると歯を見せて笑った。何か嬉しそうな顔してんな~。アタシも逢えて嬉しいけど!


「やあ、ベッキー! どうしたんだい? いきなり尋ねてくるなんて?」

「ああ、村の公民館にいなかったんで、また風邪でも引いて寝てんじゃねーかって思ってさ」

「ああ、ほら、祝賀会が一六時からだろう? だから後でもいいかなって――ほら、ここの地域の地層に関する論文書いてたんだ」


 そしてオスカーは、アタシに分厚い書類の束を見せた。

 ……すっげー複雑な数式とか、訳の分かんねーイラストとか、意味が分からねー専門用語がゴチャゴチャいっぱい書いてあって、何かヤベエって感じがマジでする。あ。ヤベ――ちょっと目ぇ回ってきた……。


「お、お……おう……な、何かスゲーな――……」

「いや、学士号を取る為の物だから、そんな大した内容じゃないよ――そうそう、遅れ馳せながら、自由騎士任官試験、合格おめでとう! 本当によく頑張ったね ベッキー、凄いよ!!」


 オスカーはアタシをハグして、背中を優しく撫ぜてくれた。

 ああ、コイツの撫ぜてくれる感じって、何か気持ちいいんだよな~♡

 ふふふ♪ とっても嬉しいぜ!


「おう、ありがとよ!」

「ああ、そうだ――これ、用意してたんだ」


 そう言って、オスカーは応接間の壁に埋め込まれた金庫を鍵を使って開けると、その中から黒い小箱を取り出した。

 その中には指輪が入ってる――澄んだ銀色な感じの物だ。


「これ、プレゼントするよ――母さんの形見なんだ。よかったら貰ってよ」


 ……え!? お、おい、マジか!?

 すっごくアタシは慌てた。何でそんな大事な物を!? 訳分かんねーし!!


「はぁ……!? ちょ、ちょっと待てよ。お袋さんの形見って……いやいやいや、受け取れねえって!」


 オスカーの奴は、楽しそうに笑いながら首を左右に振った――。


「いや、いいんだよ――アンジェラやエイミーがはめるには、これは大きいし、それにこれは女物だから、僕が使うには、ちょっと何だからね。それに……君だからいいんだよ」

「何でだよ?」

「ほら、随分と前にもいったと思うけど、僕の母さんは君と同じ〈血統騎士〉エクスパーソナル・ナイトだったんだ」


 アタシはその時思い出した――確か……三年ちょっと前の事だ。

 オスカーと一緒にアタシは、村の東にある彼のお袋さんの墓にお参りに行った。そん時に色々話してくれたっけ?

 話の内容はあんま憶えてないけど、オスカーの暖かそうな雰囲気の表情だけは思い出せる。


「ああ……そういやそうだっけ? あ。じゃあ、だから、コイツを……」

「うん。お守りだよ。ちゃんとそれは大地神ゲオルギウスの洗礼を受けた指輪だから、きっとご利益があると思うよ。指輪の裏を見て。ちゃんと認証彫刻も施されてるから」


 アタシはその通りにした――オスカーがいった通り、指輪の裏には草花が絡まった剣の彫刻が施されている。この剣はゲオルギウスの象徴――神剣アスカロンだ。これがあるって事は、この指輪は本物……ゲオルギウス神殿で洗礼を受けた奴だ。

 ちなみにこの神様はどんな神様かっつーと、豊作の神様な上に、アタシら〈血統騎士〉エクスパーソナル・ナイトの守護神だ。

 その姿は、デカイ剣……神剣アスカロンを右肩に担いだ、人のよさそうな笑顔を浮かべたオッサンだ。アタシが五つの時に、魔物テネブラーエと戦って死んだ冒険者の親父に顔が似てて、個人的にはすっげー親近感がある。

 だからかな? この指輪を触ってると、不思議と心が暖かい感じになった。

 親父が生きてた時の思い出が蘇ってくる。アタシは楽しい気持ちになって、思わず笑ったのだった。


「へー……でもさ、これアタシの指入んねえぜ。お袋の指になら入りそうだけど――てかさ、本当にいいのかよ、マジで貰っても」

「ああ。さっきも言っただろ? このままじゃ宝の持ち腐れだし――それに君は僕の大事な友達だ。その新たな門出を祝いたいんだよ」


 オスカーは真っ直ぐな瞳を俺に向けた――。

 根負けだ。アタシの降参――しょうがねえな。貰っといてやるか。

 溜め息を軽く吐いて、アタシは笑った――オスカーは穏やかに笑う。


「おう――ありがとよ」


 アタシは右手を差し出し、それにオスカーは左手を向ける――。

 ガシッと二人一緒に握り合う――彼の手は柔らかくて優しくて、まるでお袋みたいだ。何か嬉しいぜ♪ へへっ♪

 そしてアタシ達は三時間ぐらい積もる話をして、そして揃って家を出た――アンジェラとエイミーからは、何でか知らねーけど、妙に楽しげな顔で見送られたのだった。何だよ、一体……? 変な奴ら――。



◆◇◆



 夜通しで宴会やって皆と笑って楽しんで、そんで翌朝――旅の準備を終えたアタシは、村の出入り口に立った。見送りにはダチの皆。それに校長先生、車椅子に座ったお袋の姿があった。当然、オスカーの姿もある。

 アタシは貰った指輪に麻紐を通してネックレスにして首から下げ、右肩に荷物を担いだ――さてと旅にでるぜ!

 まあ旅に出る……つっても、こっから歩いて二日ちょいの場所、この村があるドイル郡の群都シャーロックにある冒険者酒場〈一頭の赤毛馬亭〉に行って、本格的に自由騎士フリーボーン・ナイツの活動を始める感じだ。

 でも最低一年間はこの村には帰れない――何故なら、その間は研修期間だからだ。その間は先達の冒険者、ベテランの自由騎士フリーボーン・ナイツの下で、座学の勉強だけでは知り得ない『実地の知識』って奴を身を以て習得しねーといけねえ。メンドくせーが、それが決まりだ。

 だけど、その決まりを守る奴には、ご褒美として国の方から色々と特典が貰える。

 特に近親者・配偶者に傷病者……まあ、アタシんみてーな感じの家には、国から高度医療を受けられる恩典が与えられる。

 お袋の持病にゃ、特効薬がある。だがそいつは高い薬なんで今まで手が出せなかったが、この制度のお陰で何とかなりそうなんだ。

 だからアタシは〈血統騎士〉エクスパーソナル・ナイトに生まれて、本当によかったって思う。お袋は親父が魔物テネブラーエ殺されてから、ずーっと弱い身体に無理を重ねて頑張ってきた。そのせいで、元々強くない身体が駄目になっちまった。だけど安心してくれよ! ガンガン金稼いで、何の苦労もない様にしてやっから!


「じゃあ、お袋、先生、皆――元気でな!」

「ええ、行ってらっしゃい、ベッキー――気を付けてね」


 お袋は笑ってアタシに手を振る――。


「ベッキー君、達者でな――」

「じゃあな、ベッキー! また来年なーっ!」

「待ってるぜ、ベッキー!」


 校長先生、ブランドン、皆――暖かい笑顔を俺に向けてくる。

 そんな中、オスカー――アイツは寂しそうな顔になってた。


「ベッキー――」


 アイツは口を開く――そして酷く深刻そうな顔になった。

 

「怪我のない様にね――本当に……君の幸運を心から祈るよ」


 何つーか、すっげードヨーンってしてるっつーか。

 てか、何だ、アイツ。変なの――暗くなる事ねーじゃねーか。1年くれー村離れるだけだっつーの……。 あ、まさか……。


「お前さ、アタシがいなくて寂しいのかよ――」


 アタシは意地悪な気持ちが湧いて口を開いた――。

 するとオスカーは頬を染めて、恥ずかしそうな、バツの悪そうな顔になる。

 へへっ、可愛いなぁ♪ 


「……そうだよ――寂しいよ。君といると、楽しい事ばっかり起きるからさ。皆だって、実はそう思ってるだろ?」


 その場にいる全員が、アイツの言葉に一斉に頷いた――。

 今度はアタシが何だか恥ずかしくなっちまう――。

 アタシは舌を軽く打った――アイツは笑う。それがムカつく。


「……馬鹿。だから、また帰ってくっから。寂しくて泣くんじゃねえぞ!」

「君もね、ベッキー」

「うっせえ、バーカ! ――じゃ、じゃあ、アタシ、もう行くからな。皆、あばよ!!」


 アタシは走り出した――これ以上、アソコにはいられねえ。このままだとアタシがイジられるかも知れないし。

 イジるの好きだけど、イジられんの、アタシ、あんま好きじゃねーんだよな。


「じゃあな、ベッキー!」

「しっかりやれよ!」

「元気でなー!」


 皆の声が背中に掛かる――アタシは笑いながら振り返った。


「じゃあなー、皆ーっ!!」


 そしてアタシは右手を振って、走り去る――。

 ああ、何だかちょっと泣けてきたぜ。

 皆、バイバイ! また逢おうぜ!!



◆◇◆



 ベッキーの姿が村外れの丘の向こうに消えた――。

 でも、僕達は動かなかった。

 言葉にはしなかったけれども、皆の思いは1つだって分かる。


(ベッキー、どうか達者で!)


 僕も、皆も、その思いで胸が満ちている――。


 ああ――だからベッキー、僕は……。

 いや――『俺』は決めた。


 例え多くの人間を殺してでも、国を滅ぼしてでも。

 その為に数え切れない惨劇と不幸を産んでも。

 死屍累々を山と築こうとも――。

 

 一◯◯人を殺し、一〇〇〇人をしいし、一万人を滅しようとも。

 その数の何百倍、何千倍、何万倍の命を砕こうとも――。


 ベッキー……。 

 そして君をにして、絶対に幸せにしてみせる!!


 ああ、ベッキー、ベッキー、愛しいベッキー!!

 大好きだよ、本当に大好きだよ! 大好きだ!!

 

 好きだ、好きだ、好きだ、好きだ、好きだ、好きだ、好きだ、好きだ、

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 とっても、とっても、とっても好きだ!! 大好きだ!!!


 本当に愛しているよ! ベッキー! ベッキー! ベッキー!!!!


 だから『俺』は戦うよ――君を幸せにする為に。

 母上から貰った『力』を使って……。

 

 『俺』はベッキーの母親……リンジーさんの側に寄って、右膝を立てて跪く。

 未来の義母上ははうえ様だ――敬わなくては。 


 彼女はベッキーと同じ猫耳と尻尾、髪と肌の色をしているけれど、瞳は違っていて嫋やかな菫色の瞳をしている。ああ……美しい。

 

「後の事は僕、そして皆に任せて下さい――なあ、ブランドン?」

「おうよ。てか、何でそんな感じなんだよ、お前って――」

「そりゃ、そうだよ。僕の夢はベッキーと結婚する事なんだから。心象をよくしておかないと駄目だろう?」


 その時、ブランドンを始めとした皆が驚いた顔になる――。


「ええっ、オスカー、マジかよ!?」

「何だって!? お前本気か!?」

「おおお、ヤベエな!」


 皆の驚き、喜び、意表を突かれた顔を見て、『俺』はとても楽しい気分になって笑う――ふふ……機先を制する事が出来たみたいで、何だかとっても愉快だ。


「ああ――だから地質学の教授になりたいんだ。そうした方が、生活も安定するし、この村に却ってずっといられるからね」


 ブランドンは不思議そうな顔になる――。


「何でだよ、教授っつったら、大学校の先生だろ? 何でこっちにいられんだよ?」

「実を言うとね、ここいら近辺は、古い地層の宝庫なんだよ。遥か昔の、神代歴以前の大巨獣の化石も沢山埋まってる。それを発掘調査する事になる感じかな? だからだよ」

「へー……そうなのかよ。お前、色々と考えてたんだな――」


 僕は視線をリンジーさんに向ける――彼女は穏やかな笑みを浮かべたのだった。


「ふふ――あの子はお転婆だけど、でも凄くいい子なのよ。きっとオスカーちゃんとも、ずっと仲よく暮らせるわね?」


 その瞬間――『俺』は大きく笑いたくなる感情を押さえ込むのに、理性の全てを使った。待て、待て、待て、今は堪えろ。笑うんじゃない――穏やかに、静かに。

 

「ええ、僕もそう思います――もし、幸運にも彼女の眼鏡に適う事が出来ましたら、その時はリンジーさん、貴方を義母上と呼んでもよろしいでしょうか?」

「ふふ――分かりました。オスカーちゃん、その時はよろしくね?」


 『俺』はブランドンの方を見た――ちょっと面白くないって顔をしている。

 知ってるんだよ、ブランドン――君が彼女の事を好きだという事ぐらい。

 だけど駄目なんだよ――君じゃ駄目なんだ。ベッキーを幸せにする事は出来ない。

 『俺』じゃないと駄目なんだよ。絶対に駄目なんだ。

 いいかい? 絶対に『俺』じゃなきゃいけないんだ!


 その理由は分かるかい、ブランドン?

 君じゃあ、ベッキーは兎も角、リンジーさんを豊かにさせる事は出来ないだろう?

 『俺』は出来る――出来るんだよ、ブランドン。ふふふ……。


「そうそう、高度医療に関する事ですけど、その手続き、お手伝いしますよ。確か書類、届いてましたよね?」

「ええ――ローランティア語だから、ちょっと読めなくって。色々とお願い出来るかしら?」

「はい――お任せ下さい。じゃあね、ブランドン、皆、校長先生、僕はこれで……」


 『俺』は彼女が座る車椅子を押し――ベッキーの家へと向かう。

 ああ――義母上様。慈しませて頂きますよ。

 さあさあ、何なりとお申し付け下さい――。


 大きく鼻歌を歌いたい気分で胸がいっぱいだ。

 任せて、ベッキー――君の母にして、『俺』の義母上は、『俺』が守る!!

 絶対にだ、絶対にだ、絶対にだ!!


「少し肌寒くなってきましたね――ああ、だったら、後で煙突掃除をさせて下さい。女手では大変でしょうし」

「いいのよ、そんなに気にしなくても――」

「大丈夫です。こう見えても、僕、結構力持ちですから――」


 荒れ狂う感情は声からは感じられない。普通の声だ。

『俺』は内心でガッツポーズをした。

 好感度が上がっている感じだ。よしいいぞ――いい調子だ。はははは!!


 ベッキー達、母子の住む家が近付いてくる――。

 ああ、ここにずっと通えるだなんて……心が踊って、もうどうしようもない――。


 本当に『俺』には類まれなる強運がある――。

 ああ――本当に最高だ! 最高だ!! 最高だ!!!

 ははは――はははは! あはははははは!!


 義母上に見えない様にして、『俺』は声を上げずに、静かに満面に笑みを浮かべるのだった。楽しくて楽しくて、本当にたまらない! 最高の気分だっ!

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