☆源氏の世界 ③通い婚

 現代とかけ離れた結婚のスタイルよね。通い婚。読んで字のごとく通うのよ。男の人が女の人のところに。これで一夫多妻制が可能になっちゃうのよ。その日その日でいろいろなお家に通えちゃう。「今日は誰んとこ行こっかな~」って男子は選べちゃうのよ。


 婿として認められると世間にもお披露目をして、そこのお家で衣食住の面倒を見てもらえるようになるの。姫の両親にしても、やっぱり娘を大事にしてほしいからあれやこれやとサービスするんでしょうね、お婿さんに。姫のお部屋を訪ねる以外にも姫のお父さんともお酒を飲んだりして歓待してもらうのかな。たぶん宮中で同じ職場の先輩よね、お義父さん。美味い肴用意したんやでぇ、珍しいから(中国)のモンも取り寄せたんやでぇ、ほれ、この直衣のうし(男の人の着物)なんて特別に作らせた特注品やでぇ、せやからうちのムスメよろしくな? わからはるやろ? 悪いようにはせぇへんし、なぁんてね。


 自分が出世してお金持ちになったらお家も建てられるけど、若いうちは自宅(親の家)からお嫁さんの家に通うことになるのかな。

 そうしていずれは嫁のお家を相続するか、自力でお屋敷を建てて嫁を呼び寄せるか、ということになるみたい。で、これまた自分の屋敷に嫁を呼び寄せるにしても、一夫多妻なのでやってくるのがひとりとは限らないのよ、奥さん。複数の女性を住まわせることも珍しくなかったのね。でもひとつの部屋にひとりのお父さんと複数のお母さんとそれぞれの子供達が集う一家団欒シーンを想像してはいけません。お金持ちでお屋敷も広かったようなので、女性同士は顔を合わさずに別棟で暮らすのね。で、これまたダンナは「今日はどの部屋に行こうかな~」ってことになるのかな。あるいはまだ外にも出かけていく。そして人妻にも恋文がやってくる。「きょうはダンナ来ないからいいわよ(^_-)-☆」なんて知らせたかどうかはわからないけれど、そんなこんなで許されない恋も盛り上がる。


 こうなると結婚はゴールどころではないのよね。複数の奥さんの中での一番競争? それともアバンチュールを楽しんじゃう? 

 平安時代って……恋の時代? なのかもね。


 ただ、一夫多妻制ではないとおっしゃる学者さんもいらっしゃるみたい。やっぱり正室とその他の方たちとのあいだには明らかに差があって、妻として扱うのは正室のみだという説もあるみたい。だけれどもそれにしたって、あるイミ公然と他の方ともつきあえた時代ではあるわよね。今なんて見てごらんなさいよ、連日のように不倫だ、不倫だと大騒ぎ。平安時代の男どもよ、平成にやってきたらビビるぜよぉ!


「なんと! ひとりだけですかっ!!!」


 ってね(^_-)-☆ ふん。

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