11. 修行

『さて、それでは汝の冒険者カードを出してみよ』


 目の前の蒼龍は唐突に話題を変えた。結局、蒼龍の試練はどうなったんだろう。いいのかな?


主様ぬしさま、カードを出す」

「ああ……うん、わかった……あれ? 」


 冒険者のカードが手元にくるように念じたけど、出てきてくれない。


「出てこないんだけど……」


 さっき、一度出し入れはしているので、これでいいはずなんだが……


「冒険者のカードよ、出てこい!」

「……」


 やっぱり、何も出てこない。


『なんじゃ? 汝は冒険者では無いのか? 冒険者で無いものが、妾の邪魔をするかー!』

「わ、わわ、ちょっと待って! 出します! 出しますから! 冒険者のカード! 冒険者のカード!!」


 突然怒り出した蒼龍に思わずテンパってしまい、何とか冒険者のカードを出そうとするのだが、全く出てくる気配が無い。


「スン!」

「主様、名前を呼んであげて」

「名前? あ、ああ、えーと、ググ! お願い! 冒険者のカードを!」


 鎧の名を呼んで、冒険者のカードを求めると、あっさりと僕の手元に冒険者のカードが出てきた。


「は、はい。ほら! これです! これです!」


 とりあえず蒼龍の怒りを鎮めないといけないので、頭をさげ恭しくカードを蒼龍に向けて差し出した。


『なんだ、持ってるんじゃん。最初から出してよねぇ、こっちも色々あって忙しいんだからさぁ……あっ……』


 女子高生っぽい喋り方をするドラゴンて何なんだろう……

 そう思っている僕の視線に気が付いたのか、蒼龍はバタバタと羽根を払うようにした後、何事もなかったかのように。


『ふむ、よかろう、確かに冒険者のカードだ』

「……」

『なんだ! その目は?』

「あの……普通に喋っていただいてもいいんですけど……」

『……』


 蒼龍はなぜか上下左右を見回し、あらためて僕の方を見て、


『そう? そうだよね。ボクもそう思ってたんだ! だけど、ドラゴンは厳かに喋らないと駄目だっていう人が多くてさぁ。結構面倒なんだよね。意識して話し方を変えるのって』


 と、くだけた口調で話し始めた。


「はぁ」


 確かにこっちの方が会話しやすいが、あっさりと口調を変えたなぁ。

 身の丈が10メートルはある巨大なドラゴンが、若い女性の声で話をするというシュールな状況ではあるけど、とりあえず襲われる事はなさそうなので安心した。しかも、ボクっ娘かぁ。


『それじゃ、カードも確認できたし、試練にいってみようか。ボクも死なないように手加減はするから、頑張ってね』

「へ? ぶっ!」


 蒼龍がそう言った瞬間、僕の全身に大きな衝撃が走り、僕は一直線に壁に向かって吹き飛んだ。そして、そのまま僕の身体は壁に激突し、跳ね返って転がる。


「はへ……」


 鎧のおかげか全くダメージはなかったものの、突然の事態に思考が追い付いていない。今、殴られたの? なんで、突然?


「主様、使って」


 僕の視界の隅でスンがそう言うと、一瞬だけ光輝き、刀に姿を変えた。僕は慌てて転がる刀を拾い上げ、黒刀を鞘から抜き、蒼龍に向かって構えた。


『へー、さすがだね。全然ダメージが無いみたいだ。それじゃぁ、次行くよ』

「ちょ、ちょっと待って……はぶっ!」


 蒼龍が目の前で横に一回転すると、僕はその尻尾で盛大に打ち上げられた。


 長い長い滞空時間。これは天井が高くて助かったなぁ。あ、でも天井が近づいてきた……あ、徐々に上昇速度が遅くなってきた。これは天井にぶつかる事は避けられそうだ。避けられそうなんだけど……この後って……僕には蒼龍みたいな翼が無い。


 慌てて必死に手足をバタつかせてみたけど、重力には抗えるわけもなく……


「おぉぉぉぉちぃぃぃぃるぅぅぅぅ!」


 僕はニュートン先生が発見した万有引力の法則に従って落ちる、落ちる! 落ちるー!


「うわぁぁぁぁぁぁぁべぶっ………がっ!……べぶっ!」


 顔面から床に落下、そのまま、少し跳ね返って、また床に叩きつけられた。


『へー、これでもノーダメージなんだ』

「も、もう怒った。なんで、こんな目に僕が合わなきゃならないんだ!」


 痛くはないけど、精神的なダメージはあるんだ! こうも理不尽な暴力を受けると、いくら温厚だと前世で評判だった僕でも、堪忍袋の緒が切れる。僕は、打ち上げられた拍子に落としてしまった黒刀を拾って構え、ヤケになって叫んだ。


「くそ! やってやるぞ! こい! ぶっ!」


 また爪で吹き飛ばされ、転がった。へへ、今度は少しだけ踏ん張ったので壁までは届かなかったぞ! 僕はまた手放してしまった日本刀を拾い、三度みたび構えた。


『へー、やるじゃん。じゃぁ、どんどん行くよ!』

「くそー、今度こ、ほぶっ」


 その後も、僕は何度も吹き飛ばされ、それでも立ち上がる。

 ダメージは無いけど疲労は蓄積していく。それでも僕は何度も、何度も意地になって立ち上がった。


 スンと出会って少し気持ちが楽にはなっていたけど、また今回、僕の意図に関係なく、僕は理不尽な暴力にさらされている。前へ進もうと言ったのは僕かもしれないけど、スンはここの事を知っていたのかもしれないけど……今度こそ、今度こそは、僕は襲い来る事態に、心の底から抗おうとしていたんだ。何度倒されても、何度吹き飛ばされても、僕は黒刀スンを拾い、蒼龍に向かって構えた。


 何十回か何百回か転がされた後、


『はーい、今日はここまで。ボクも宿題があるんで続きはまた明日ね。ここは試練をクリアするまでは誰も入ってこないから、明日の朝まで好きにしていていいよ。じゃぁねぇ。バイビー!』


 蒼龍は突然こう告げ飛び立っていった。


「ふぅっ、ふぅっ、ふぅっ、ふぅっ」


 だが僕は暴力の時間が終わったことにも気が付かず、蒼龍が飛び去っていた方向をただ睨みつけていた。


「主様、今日の分、終わり」

「ふぅっ、ふぅっ、ふぅっ………………あれ?」


 いつ僕は黒刀を手放していたんだろうか。僕は目の前にいつのまにか人の姿に戻った全裸のスンが立って僕を正面から抱きしめてくれている。


「あれ、ドラゴンは?」

「帰った。続きは明日」

「そうかー」


 全身からどっと力が抜けた……今日の分が終わりってどういう事だろう……そういえば宿題がどうこうとか言っていたように聞こえたけど……いいや、このまま寝ちゃおう。


「主様、栄養補給はした方がいい、主様……」


 もう無理、僕は意識を手放した……

 

----- * ----- * ----- * -----


「ははうえー、ははうえー」


 そうベッドで泣き叫ぶ僕を母上はそっと抱きしめ、背中の汗を絞ったタオルで優しく拭いてくれる。僕は母上の柔からなオッパイに顔を埋めて、その温もりに心の底から安堵する。


「ははうえぇ!、シャルルは怖い夢を見ていましたぁ! ドラゴンが何度も何度もシャルルの事を殴るんです。悪い人も沢山いました。シャルルは奴隷にもされました。シャルルは海賊船にも乗りました。怖い大人にたくさん、ぶたれましたぁ!」


 僕の位置からは暗くて母上の顔は見えないけど、母上は泣き喚く僕の頭を優しく撫でてくれている。どんどん、胸の奥に溜まっていた苦しみが溶け出していく。


「シャルルは、ずっと母上と一緒にいていいんですよね。旅になんか出なくていいんですよね」


 ああ、そうだよな。僕はまだ4歳なんだから母親の元から離れて旅に出なくてもいいんだ。でも、僕はこの世界で生きて行くためには……前世で何も成せなかった僕が生きて行く意味を見つけるには……




「主様、もう朝」

「え?」


 僕を呼ぶ声に、目を開けた。すぐ目の前にはスンの顔が……


「うわ、ご、ごめん」

「主様、今日も情熱的、ぽっ」


 スンの棒読みの声を聞きながら、僕は周囲を見回す。


「あれ……昨日……そうか、僕はあのまま寝ちゃったんだ」

「そう。もう朝。そろそろ準備が必要」


 僕はまた毛布にくるまって全裸のスンを抱きしめていたみたいだ。僕たちのすぐ横には昨日と同じように洗いたてのような着替えと朝食が置いてある。僕が抱きしめていた腕を離すとスンは起き上がり、先に着替えを始めた。


「これってスンが用意してくれているの?」

「していない」

「じゃあ、誰が?」

「……」


 どうやら答えてくれないみたいだ。

 そういえば、あの母上のオッパイの感触、本当に夢だったのかな……スンの胸のあたりをじっと見つめるけど……


「違うか」

「主様、早死にを希望?」

「ご、ごめん」


 なんで解った?


「とりあえず、着替えて朝を食べよう。準備が必要って、また昨日のドラゴンが来るの?」

「試練は終わっていない」

「そうか……でも、試練って僕の場合、そっちのドアから出る必要は無いんだけど……」

「この部屋は試練の間、入った人全てが対象。例外は無い」

「なんか、ゲームみたいだね」

「そう、これはゲーム」

「はい?」


 どういう事なんでしょう?


「この世界はゲームみたいにレベルアップする世界じゃないって、スンは昨日言っていたよね?」

「この試練は造り主の作品」

「あ、ゲームってそういう事」


 父上あの野郎! とんでもないものを作りやがって。

 ここはどうやら父が用意した試練というなのゲームらしい。


「試練はどうすればクリア出来るの?」

「蒼龍を倒すか、自分が死ぬか……蒼龍に認められるか」

「倒すのは無理っぽいな。死ぬのも無しで。そうなると認めてもらうしか無いか……」

「主様、頑張れ」




「……」

「……」

「……」

「スン、すぐ来るんじゃなかったの?」

「理解不能」


 朝食を食べて準備運動をし、蒼龍がやってくるのを待った。

 来ないので昼食を食べて、昼寝をして、もう一度準備運動をして、おやつを食べて……


「忘れられたって事は無いよね。……どうしよう、このままこの部屋から出れないで一生を終える事になったら……」


 そうボヤいた瞬間、上空からバタンと何かが閉じる音がした。そして、


『ごめん、ごめーん、遅くなった。今日は居残りがあってさー』


 バサバサっと翼を動かす音を立てながら、蒼龍が降下してきた。


「え、どこから入ってきた? それに居残り?」


『そそ。こっちの話しはいいからさ、早速始めようか。えーと……ああ、そうそう、シャルル君だったね。うん、それじゃ、今日も頑張って行ってみようーか! お姉さんも遅れた分、ちゃんと取り戻せるよう、きっちりと頑張るからさ』

「ぶべっ!」


 蒼龍は、僕の疑問には一切答えず、そこまで言い切ると、昨日と同じように尾を振り回し、僕の事を吹き飛ばした。

 

----- * ----- * ----- * -----


 僕はあれから何日も何日も、繰り返し蒼龍に挑み続けた。


 たまに蒼龍が来ない日があったり、朝から来る日があるなど不規則ではあったけど、毎日のように蒼龍に吹き飛ばされているうちに、僕は蒼龍の攻撃を少しずつ避けられるようになった。人間、慣れというものは恐ろしいものだ。


 さらに何日も、何日も……途中で数えるのをやめたので、何日経過したかなんて分からなくなった。そして、何日も何日にも……多分、何ヶ月かは経過したと思われるある日、僕はとうとう、蒼龍の攻撃を、吹き飛ばされる事なく受け止める事が出来た。


「や、やった! 止めた! 止めたよ!」


 すでに刀は手放しており、僕が両腕をクロスして蒼龍の尻尾による攻撃を受け止めた瞬間を、スンは全裸のまま膝を抱えてみていた。


「主様、ようやく第一歩。まだまだ」


 僕の全力の努力の成果はまだ、最初の一歩らしい。

 尻尾を受け止めた衝撃による摩擦熱で、周囲は少し焦げたような匂いが漂っていたが、これでも、まだまだって事のようだ。


 その証拠に、


『お、シャルル君、ボクの尻尾をよく防いだね。じゃあ、攻撃も次の段階だね』


 蒼龍もあっさりと、次の段階へ進むといい出した。 


「え、ちょ、ちょっと余韻に……」


 僕としてはやっと目に見える成果が出てきたと思って、少し余韻に浸りたかったのだが、そんな僕の気持ちはお構いなしに、蒼龍は口を少し開けた。


 口の中が青白く光り輝き、


「うわ!」


 口から白い光りが僕に向かって吐き出された。


 僕は慌てて側転をしながら、その攻撃を避ける。これってドラゴンブレスじゃん。当たったら、ヤバイやつだよね。


『いいねー。それじゃ、どんどん行くよ!』


 蒼龍はドラゴンブレスを連発する。僕はそれを全て回避してみせる。伊達に何ヶ月も攻撃を食らっていた訳では無い。攻撃手段が変わっても蒼龍の癖はこの身体に染み付いている。たとえ新しい攻撃パターンだとしても、乗り越えてみせる!


 僕はドラゴンブレスを避けながらも、スンに、


「スン! もう1回刀に……」

「面倒」


 そう言いながらも、スンはすくっと立ち上がり、抜身の刀に早変わりする。僕は転がるように、刀を拾い、転がった勢いを踏み込む力に変えて、蒼龍に斬り込む。


「うおー」


 これまでも何度か斬り付けた事はあったけど、今までは一度も蒼龍を傷つける事は出来ていない。それでも今日こそは!


『うわっと』


 僕の攻撃が鋭かったのか、これまでとは違い、蒼龍は翼を使い上空へ逃げた。よし! 僕は斬りかかる際に踏み出した足を思い切って踏ん張り、その反動を使って、上空に逃れた蒼龍目掛けて跳び上がった。


「いけー!」


 真下から見える蒼龍の下腹部……ここなら! 僕が渾身の思いを込めて放った突きは、狙い通り蒼龍の腹部に吸い込まれ……


『痛ーい!』


 突然、蒼龍の姿が消えた。


----- * ----- * ----- * -----


 僕は蒼龍がいた場所をすり抜けてしまった。そのまま壁に足をつき、地面まで戻る。

 僕が降りた後を追うように、蒼龍が消えたあたりに突然現れたセーラー服を着た女の子が、ゆっくりと降りてきた。


「ふう……おめでとう、シャルル君。試練、クリアだよ」

「え、え? 誰?」


 僕の前に降り立ったのは、黒いストレートのヘアスタイルを持つ、モデルのような長身の高校生くらいの女の子だった。セーラ服を着ているから、本物の女子高生にも見える……女子高生?


「でも女の子にこれはひどいよ。反省してね」


 突然現れた日本にいるような女子高生に混乱している僕をよそに、その子はそういうと、スカートのお腹の部分を数センチほど下げた。そこには、赤い引っかき傷のようなものがある。ついでに、白い布地が少し見えているけど。


「こんな場所に傷をつけられるなんて……ボク、もうお嫁にいけないかも」

「どういう意味……え?」

「この姿では初めましてだね。ボクが蒼龍の間の試練を担当していたミヤだよ」

「ミヤ?」

「これで、君は蒼龍の試練をクリア。ここでの修行で十分な強さを身につけたので、合格とします」

「修行?」

「そう、このダンジョンでの試練は、冒険者を鍛えるために勇者が作ったものなんだ」


 どういう事? 修行って何? ええ?


「うん、シャルル君は免許皆伝。また行き詰まった時は、ここへ戻っておいで。その時は、ボクが師匠として鍛え直してあげるから」


 そうか……毎日、僕と戦っていたのは僕を鍛えるためだったのか。少し疑問は持っていたんだよな。攻撃と攻撃の間で無駄に時間を取る時があったり、わざと僕の攻撃を受けるような時間を作ったり。今にして思えば、稽古を付けてもらっていたって事か。


 それにしても……


「これも全部、父上のお膳立てかー!」


 父上、絶対殴る!


「これでボクもしばらく学業に専念できるよ」

「学業って?  そういえば、たまに宿題とか居残りとかって言ってましたけど……」

「そう、ボクの本業は学生。ここでの姿はボクにとっては仮初めのもの」

「どういう意味?」


「説明は面倒、主様が理解する」


 スンが突然、人間の姿に戻り、いつもの言葉を発した。僕がショートソードを手に握っていたせいか、スンと僕は手をつないでいる状態になっていた。そして相変わらず元に戻った時は全裸だ。鞘に納めておけばよかった。


 鞘が服になるために、鞘から出した状態のまま、人間の姿に戻ると、どうしても全裸になってしまうらしい。


「そうだね、面倒だね。シャルル君が自分で理解するまで、答え合わせはお預け」

「主様、頑張れ」

 

 今は、教えてくれないんだ。仕方が無い。とりあえず鞘を投げ捨てた場所に現れたスンの服を拾い、スンに渡す。


「ミヤさん」

「師匠と呼んで」

「し、師匠……」

「はい」

「長い間、ありがとうございました。僕もこれで強くなれた気がします。状況的には不本意でしたが……」

「うん、よく頑張ったね」


 どれだけ長い時間、ここで戦っていたんだろう。師匠ミヤの一言にこみ上げてくるものがあり、涙が溢れ出てきた。そういえば、時間がかなり経ったせいで、棘のように刺さっていた海賊船や奴隷だった時の辛い気持ちが、薄まった気がする。


「それじゃ、出口……本当は入り口なんだけどね。入り口はそっちね。元気で、また遊ぼうね」

「はい!」

「それと、ここと外の時間は隔絶しているから、君は浦島太郎になるよ」

「え、どういう……」


 外はもう何十年も経過しているっていう事?


「うそぴょーん、騙された?」


 うそぴょんって。

 それに、理解が追い付かず騙されるほどの間もなかったので、なんとも感じていない。


「くそ、引っかからなかったか。まぁ、時間の流れが違うのは事実なんだけど、浦島太郎とは

逆バージョンなので大丈夫」


 逆バージョン?


「ここに入った瞬間、外の世界とは隔離されていたので、外の時間はまだ、シャルル君が入ってきた時間のままなんだ」

「そう……なんですか……」


 隔離っていう事は、もう会えないという事なんだろうか?

 師匠だと知ったその日に永遠の別離れとか、寂しすぎるんですが……


「外の世界っていっても、ドアを開ければ繋がるような便利なものなんだけどね」


 そういうもんなんですね。少し焦りました。まぁ、師匠もさっき、また修行したくなったら、来なさいとか言ってたしな。


「じゃぁ、ボクはもう行くよ。ちょっと今日は宿題が多くてね……それじゃぁ、バイビー!」


 そう言って師匠は女子高生のまま、浮き上がり天井まで上がって消えてしまった……師匠、スカートで上がっちゃダメだって、今度会うときには教えてあげよう。


「主様、出発」

「あ、ああ、そうだね」


 僕の主観的には何ヶ月ぶりかになるんだけど、入ってきたドアと反対側にある扉を開いた。


 ドアの向こうは懐かしのダンジョン。

 そして、


 凶悪そうな顔つきをしたむさ苦しい男達が数十人……

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