プリムラ・ジュリアン

この街で一番大きな商会の小間使いとしてよくうちに来ていた君。

私は同じ年頃の遊び相手が欲しかったのだけれど、君はいつも忙しそうで私が声を掛けるとすぐに走って帰ってしまった。


でもそんな君が私に花をプレゼントしてくれた。

いつもみすぼらしい格好をしている君。もちろん花を買うお金すら無く、私がもらったのは君が描いた花の絵。

藍色のプリムラ・ジュリアン。

商会の主が捨てたであろう羊皮紙の手紙の裏側に、たぶん暖炉の炭を使って描いたと思われる。

色はブルーベリーだろうか。

私の家にはもっとキレイな絵は沢山あるけど、それでも私はとても嬉しかった。


その花は今でも枯れることなく私たちの家に飾ってある。

花言葉は、永続する愛。

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